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今年の2大音楽事件!?ストリーミング配信のみでトップ10、曲が増えるアルバム……“アルバムの概念”が変わる?

M-ON!Press(エムオンプレス) 8/20(土) 18:07配信

音楽史上初のコンセプトアルバム──そう評されることもあるザ・ビートルズの名盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が発売された1967年から、50年近くの時が経った。

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そんな2016年、「アルバム」という概念を更新するかもしれない、ふたつの出来事が注目を集めている。



ストリーミング配信のみで、ビルボードにランクイン

1993年生まれの期待の新生代ラッパー、チャンス・ザ・ラッパー。5月に発表された彼のアルバム『Coloring Book』が、ストリーミング配信のみで、ビルボードアルバムチャートにおいて最高7位を記録した。

このヒットによって、同作は「CD、ダウンロード販売なしのストリーミング配信のみ」で、トップ10入りを果たした初めてのアルバムとなったのだ。

そもそも、なぜ販売されていない音源がチャートインするのか。その理由は、2014年に行われたビルボード側のチャートルール改正にある。

ビルボードアルバムチャートでは、1,500回のストリーミングでの視聴を、1枚のアルバムセールスに換算。

つまりルール上は、販売されていない作品でも、チャートインすることが可能になっており、このルールのおかげで『Coloring Book』がチャート上でヒットを記録することができたのだ。

このような前代未聞の事態を受けて、グラミー賞もアルバムの受賞資格を変更。これまでは、CDやアナログレコード、そしてダウンロードできる音源がノミネートの対象であったが、来年2017年2月に発表される第59回グラミー賞からは、ストリーミングのみでリリースされたものも対象になる。世界最高峰の音楽賞が、ついに重い腰を上げたのであった。



つねにアップデートできるプロジェクトとしての「アルバム」

一方、カニエ・ウェストは、アルバムという概念そのものにチャレンジしている。

今年2月に、最新アルバム『The Life of Pablo』を発売したカニエ。彼はその後、発売済みの同作に曲を追加し続けることで、「アルバムを進化させる」というプロジェクトを始めた。

まず3月には、フランク・オーシャンをフィーチャーした楽曲「Wolves」を、ヴィック・メンサとシーアといったさらなる豪華ゲストが参加したバージョンにアップデート。

6月には新曲「Saint Pablo」を追加するなど、本人の「このアルバムは生きている」という言葉どおり、アルバムはつねに更新され続けている。

そもそもアルバムリリースを騒動にするスキルに長けたカニエ。制作が伝えられていた2013年末からこのアルバムタイトルを『So Help Me God』『SWISH』『WAVES』と何度も変更させるなど、“アルバム発売前”から話題を振りまき続けた。

そして、“アルバム発売後”も、既存のアルバムの概念にとらわれずに、アルバムを「完成された作品」ではなく、「何度でも更新できる断続的なプロジェクト」として扱うことで、リスナーの興味を引き続けている。

ストリーミング配信のみでビルボードにランクイン、アップデートされ続けるプロジェクトとしてのアルバム──。“アルバム”というリリース形態の行方を左右するかもしれない、このふたつの重大事件の続報に、世界の音楽ファンが注目している。

最終更新:8/20(土) 18:07

M-ON!Press(エムオンプレス)