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松平春嶽が乗ったのと同じ?自転車 福井県が史料基に復元試みる

福井新聞ONLINE 8月20日(土)8時23分配信

 日本で初めて自転車に乗った幕末の福井藩主、松平春嶽の史実を後世に伝えようと、福井県が当時の自転車の復元に取り組んでいる。史料から、試乗したのは欧州の三輪自転車が有力とされており、県内で保管されている当時の部品を参考に年度内に完成させる。イベントなどで活用し、県民の自転車利用促進につなげていく考えだ。

 県が復元のヒントにしているは、春嶽に仕えていた藩士が書き留めた「御用日記」の記述。1862(文久2)年に江戸霊岸(れいがん)島(現東京都中央区)の藩邸で、自転車を意味する「ビラスビイデ独行車(どっこうしゃ)」を家臣の佐々木長淳(ながあつ)が組み立て、大老井伊直弼(なおすけ)から隠居・謹慎処分を受けていた春嶽が楽しく乗り回した様子が記されている。長淳は直前まで横浜に滞在しており、横浜港に陸揚げされたものを持ち帰ったとみられる。

 福井市立郷土歴史博物館学芸員だった西村英之・同市美術館長が2000年に見つけ、自転車伝来の国内最古の記録となっている。

 当時、西村さんが自転車の歴史に詳しい技術史研究家の梶原利夫さん(東京)に問い合わせたところ、「ビラスビイデ」はフランス語で速い乗り物を意味する「ベロシピード」がなまった言葉ということが分かった。さらに欧州で二輪自転車が量産される前の時期だったことや、組み立ててすぐ乗っていることから、あまり練習のいらない三輪自転車と推測されるという。

 坂井市の「みくに龍翔館」には、1977年に市内の旅館から寄贈された直径約1メートルの車輪など当時の自転車部品4点が保管されている。現地調査した梶原さんは「春嶽が乗ったとみられる三輪自転車の形は分かっておらず、寄贈品の由来も不明」として、春嶽との因果関係は断言できないとする。ただ「1850年代に欧州で作られた貴重なものであることは間違いない」と語る。

 同館の角明浩学芸員は「幕末期の自転車部品と判明したことは意義深い。復元で自転車の形が分かれば、自転車部品を今後展示する際に、活用できる」と期待を寄せる。

 県は梶原さんの監修で復元した後に、体験試乗会を開催する予定。県交通まちづくり課は「春嶽が日本で初めて自転車に乗ったことや、当時のユニークな形を知ってもらいたい」としている。また自転車利用の機運醸成とセットで、2018年の福井国体に向け、自転車で会場に移動しやすい環境整備を進めることにしている。

福井新聞社

最終更新:8月20日(土)8時23分

福井新聞ONLINE