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「脱北」や「亡命」の代わりに「帰順」

ハンギョレ新聞 8/20(土) 13:50配信

韓国政府、テ・ヨンホ駐英北朝鮮公使の韓国入国を「帰順」と表現 朴槿恵政権の北朝鮮に対する態度、南北対決時代に逆戻りした兆候も 1997年以降、法律用語は「北朝鮮離脱住民」

 テ・ヨンホ英国駐在北朝鮮大使館公使家族の韓国入国に対し、「帰順」、「亡命」、「脱北」など、異なる性格の用語が混用されている。海外メディアは挙って「亡命」と表現しているのに、韓国政府とマスコミの間では「帰順」と「脱北」が入り乱れている。何が適切な用語なのだろうか?

 国立国語院の標準国語大辞典によると、「亡命」とは「政治的な理由により自国で迫害を受けているか、迫害を受ける恐れがある人がこれを避けるために外国に身を移すこと」を指す。 「政治的な理由」と「外国に」が重要なポイントだ。外交官であるテ公使が国際法において別の主権国家である朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から大韓民国に避難したので、「亡命」といえる。海外メディアが「亡命」と表現しているのも、そのためだ。

 しかし、韓国政府と国内メディアは、亡命という用語を使わない。南北関係を「国と国との関係ではなく、統一を志向する過程で暫定的に形成された特殊関係」と規定した南北基本合意書の前文により、北朝鮮は外国ではなく、憲法第3条(大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属島嶼とする)の規定により、北朝鮮住民を原則的に韓国人とみなすためだ。

 問題はその次だ。統一部のチョン・ジュンヒ報道官は17日、テ公使家族の韓国国事実を発表する緊急記者会見の質疑応答で、「テ公使の脱北動機」や「テ公使の帰順」と述べるなど、二つの用語を使用した。しかし、これらの用語は政治的含意と公式性という側面で大きく異なる。

 標準国語大辞典によると、「帰順」とは「敵だった人が反抗心を捨て、自ら転向し服従するか、従順になる」ことをいう。統一部当局者は「帰順という言葉は、南北対決時代の産物」と指摘した。実際に、「帰順」は「国家有功者と越南(韓国)帰順者特別援護法」(1962年)や「越南帰順勇士特別補償法」(1979年)、「帰順北朝鮮同胞保護法」(1993年)などで、法律用語として使われてきた。ところが、1990年代に入って脱北者が急増し、従来の「特恵的支援」から「体系的・法律的支援」に政策転換の必要性が大きくなったことから、1997年に「北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律」が制定され、「帰順」は法律用語としての地位を失った。同法第2条第1項によると、「北朝鮮離脱住民」は「軍事境界線以北地域(北朝鮮)に住所、直系家族、配偶者、職場などがある人であり、北朝鮮を離れてから外国国籍を取得していない人」を指すもので、(帰順とは異なり)価値判断が排除されている。脱北者は北朝鮮離脱住民の略称である。

 こうした事情からすると、「帰順」の再登場は南北関係に対する朴槿恵(パククネ)政権の集団心理が2000年の南北首脳会談以前に対決時代に逆戻りしていることを示している。

 一方、「テ公使一行が緊急に英国を離れたため、第3国にいた娘が韓国に来られなかった」とする一部メディアの報道について、政府関係者は「テ公使に娘がいるという話は聞いたことがない」と話した。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:8/20(土) 13:50

ハンギョレ新聞