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カップヌードルの売上が好調!日清食品が愛される理由

ZUU online 8/21(日) 16:40配信

日清食品 <2897> の業績が好調だ。2016年4?6月の売上は前年同期比10%もの伸びを示している。売上が5000億円にも達する大手食品会社で、2ケタの伸びを示すのは異例である。

日清食品の株価も、2013年から15年にかけて倍以上に上昇。現在は、昨年11月の高値6620円を下回っているものの、今年5月の安値4950円からは水準を切り上げている。日清食品が快走するヒミツを探ってみよう。

■日清食品の一人勝ち?

8月8日に日清食品は2017年3月期の第1四半期(4~6月)決算を発表した。それによると、売上は10.0%増の1155億円、本業の利益を示す営業利益は21.8%増の68億円となった。

日本の食料品市場は成熟しており、大手食品メーカーの売上の伸びは日本のGDPの成長程度というのが常識とされている。日本で食品最大手のJT <2914> の4~6月の売上は前年同期比で6.2%減、第2位のキリン <2503> の売上は5.5%減、3位のアサヒグループホールディングス <2502> が0.2%増だ。即席麺で競合するマルちゃんの東洋水産 <2875> も4~6月の売上は1.2%減である。

こうしてみると日清食品の好調さが「際立っている」のが分かるだろう。

■カップヌードル45周年、どん兵衛40周年

日清食品の主力商品は、売上の45%を占めるカップ麺である。カップ麺(日清食品部門)の4~6月の売上は、6.8%増の517億円と好調だ。

発売45周年を迎える「カップヌードル」の売上が引き続き好調であったことに加え、カップヌードル初のプレミアムタイプで、これまでにない贅沢なスープが特徴の「カップヌードルリッチ」も売上増に貢献している。

発売40周年を迎えるロングセラー商品の「日清のどん兵衛」も好調だ。同じく今年発売40周年を迎えた「日清焼そばU.F.O.」も「エクストリーム」をテーマとした新CM、連動したWEBプロモーションが話題となり、売上も好調に推移している。

ロングセラー商品と言えども、時代にあわせてリニューアルし、ターゲットを絞ったマーケティングを実践していることが、功を奏したといえるだろう。

■人気の「謎肉」復活も好材料に

カップヌードルは、世界初のカップ麺でもある。日本のカップ麺の売上ランキングで、カップヌードルは1位。シーフードヌードルが3位。カレー味が8位にランクされるなど、バリバリのトップブランドといって良い。

ちなみに、カップヌードルは昨年4月に刷新している。豚肉と野菜を固めたダイスミンチ肉、ネット上では通称「謎肉」と言われ根強い人気があった具材を6年ぶりに復活させた。謎肉は2009年に角形乾燥チャーシュー「コロチャー」に切り替わったものの、ファンが多いために復活。コロチャーと謎肉を共存させて具材を充実させたこともプラスに作用している。

ロングセラー商品でも時代に合わせ、消費者の声を聞きながら変革していることが好業績の背景にあるといえよう。

■テレビCMで若者層開拓にも積極的にアピール

カップヌードルを積極的に食べていない世代は18~22歳である。同社はこの世代にアピールする広告プロモーションも展開している。

テレビCMでは2012年からAKB48を起用したほか、2013年からサメが登場するCMを展開、さらに2014年からは錦織圭などを起用して効果を上げている。

今年5月にはどん兵衛をリニューアルしている点も見逃せない。たとえば、「カレーうどん」には、具材に従来のダイスミンチ、ポテト、ニンジン、ネギに加えて、きざみあげとあげ玉を加えるなどの工夫をしている。そもそも、どん兵衛は関西と関東でだしを変えるなどきめ細かいマーケティングを実践していることも、息の長い人気につながっている。

■「カップヌードルライト+」「リッチ」で購買層拡大

女性層やグルメ層向けに、カップヌードルを手に取ってもらえるような商品開発にも取り組んでいる。

それまでは、女性層にも一定の需要が見込めるにもかかわらず、カロリーの高さや男性的なイメージから敬遠されがちな状況が続いていた。

そこで、ローカロリーの「カップヌードルライト」を投入したほか、「カップヌードルライト+」として「ラタトゥイユ」と「バーニャカウダ」など女性が手に取りやすい商品を発売。違うブランドにせず、あえて「カップヌードル」の冠をつけて商品化した。

「カップヌードルリッチ」も、新しい層を狙ったものだ。カップヌードル リッチは、最高級のプレミアムタイプのセレブヌードルで2016年4月に発売されたばかり。定価は通常のカップヌードルより50円も高い230円。味は「贅沢とろみフカヒレスープ味」と「贅沢だしスッポンスープ味」の2種類を揃えている。

■海外でも成長が続くカップヌードル

海外ではラーメンの認知度アップとともに、カップヌードルの海外売上も順調に拡大している。

4~6月の米州地域の売上は59.5%増の128億円となり、全体の売上2桁増に最も寄与した。前期より連結対象となったニッシンフーズブラジルの売り上げ増効果が大きかったので、今後も2桁の伸びが続くわけではないが、食品業界においては高い伸びを示しているのは間違いない。同社の今期通期の売り上げ予想は6.8%増だ。

■2020年に時価総額で1兆円を目指す

同社は海外を成長のドライバーとして注力しており、グローバルブランディングの促進、グローバルカンパニーの評価獲得を2020年までの中期経営計画に掲げている。

その中で、2020年度には対2015年比で海外カップヌードル販売食数を1.5倍に増やし、営業利益に占める海外の割合を11%から30%まで拡大する方針を明らかにしている。なかでも、BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国) は重点地域という。同社の時価総額は2015年で5700億円であるが、2020年には1兆円を目指す構えだ。

普段何気なく食べているカップヌードルであるが、そこには緻密な企業戦略・戦術がある。機会があれば、スーパーやコンビニで人気の高い商品、販売している棚が増えてきた商品に注目し、その企業の株価をチェックしてみてはいかがだろうか。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:8/21(日) 16:40

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日清食品ホールディングス2897
5670円、前日比-80円 - 12/9(金) 15:00

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JT2914
3815円、前日比+35円 - 12/9(金) 15:00

チャート

キリンホールディングス2503
1885.5円、前日比-7円 - 12/9(金) 15:00