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スズメバチ駆除は「蜂獲り師」に 岡山・美作の熱田さん、県内全域で請け負い

山陽新聞デジタル 8月21日(日)8時30分配信

 岡山県美作市に住む「蜂獲(と)り師」の熱田安武さん(29)が、なりわいの一つにしているスズメバチの駆除事業を県内全域に拡大する。昨年は県東部を対象エリアにしていたが、ハチの習性を知り尽くした丁寧な仕事ぶりが口コミで広まり、県西部からも依頼が相次いだため。働きバチの動きが活発化する秋口を前に「殺虫剤を使わず、1匹残らず捕獲する」という作業現場を見せてもらった。

 7月下旬。美作市内の山裾にある木造2階の民家を訪ねると、庭で防護服に着替えた熱田さんが玄関上の換気口をじっと見ていた。隙間を出入りしているのは、キイロスズメバチ。屋根裏などに巣を作る危険な厄介者だ。

 「餌ではなく、巣の材料を運んでいますね。まだ数はそんなにいないはず」。熱田さんはそう話し、換気口の近くに粘着シートを設置した。すると、ホバリングと水平移動を繰り返して警戒心をむき出しにしていたハチが、次から次へと自らシートに飛び込んで動けなくなっていく。

 聞けば、スズメバチは攻撃対象に毒を吹き掛け、それを目標に仲間のハチが一斉に襲い掛かるという。「シートに毒を塗っているから、敵と勘違いして向かっていくんです」と理屈を教えてくれた。

 殺虫剤を使わないのは、薬剤を浴びて近所の庭などに落ちたハチを子どもがつかんで刺されることがあるからだ。駆除には必ず2日間をかけ、初日だけでは取り切れない「残党」を粘着シートや網で全て捕獲する。今回も翌日に民家へ出向き、ハチがいなくなったことを確認した上で、できかけの巣を取り除いた。

 2014年春に高知県から美作市へ移住した熱田さんは、愛知県新城市出身。父親らに交じって4歳のころから地域文化の「蜂追い」に熱中した。高知大大学院時代には「スズメバチの捕獲と利用」をテーマにした修士論文を書き、卒業後は“高級珍味”とされるオオスズメバチの幼虫捕獲や、狩猟などで、家族3人の生計を維持している。

 駆除を本格的に請け負い始めた昨年は、住民らから42件を受注した。エリアは美作、津山市といった県北のほか倉敷、浅口市などにも及び、民家や神社、小学校の通学路に巣を作ったスズメバチを退治した。

 熱田さんは「自分の技術が役に立ち、『ありがとう』と言ってもらえるのがうれしい。1人なので限界もあるが、できる限り引き受けたい」と話す。

最終更新:8月21日(日)8時30分

山陽新聞デジタル