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ブルドッグの遺伝子多様性は限界に達している

ギズモード・ジャパン 8月21日(日)21時10分配信

ブルドッグの特徴的なルックスの背景...。

ずんぐりした体、しわっとした顔にぱっちりとした目を持つぶちゃかわいい犬といえば、ブルドッグ。ペットとして圧倒的な人気を誇る一方で、じつは最も病弱な体質を持つ犬種のひとつともいわれています。

Canine Genetics and Epidemiologyで公開された新たな分析によると、これ以上改良された新しい種を作り出すのは、交配による品種改良ではブルドックの遺伝的多様性が不足しているためにとても難しいと指摘されています。

この遺伝的可変性の欠如は、1835年にわずか68匹の犬に由来する、集中的な近親交配を繰り返すことで遺伝子のベースがつくられた結果だといいます。ブルドッグは短命で、平均的な寿命は10年以下です。そんな短い一生のなかでも伝染病にかかりやすいうえ、ちいさな鼻腔のため暑さに弱く高体温になりやすい体質や、股関節形成不全、呼吸器疾患、指間嚢胞、アレルギーなど深刻な健康問題を抱えています。これらの原因の多くは、繁殖過程で健康面の問題よりもブルドッグの印象的な見た目を保持することが重視されてきたことにあります。

カリフォルニア大学Center for Companion Animal Healthの研究チームによると、ブルドッグのゲノムの大部分が身体的な特徴のために作り変えられたことで、正常な免疫機能を担う遺伝子の多様性が大きく損なわれてしまったといいます。研究の主著者であるNiels Pedersenさんは「今の段階で対処できることは少なく、悲しいことに、ブルドッグの多くは困難に耐えるしかない」と述べています。



「遺伝子操作による健康状態の改善は、その品種に十分な多様性が存在することが前提となる」と、Pedersenさん。「そうでなければほかの犬種と交配することで多様性を増加させるのだが、遺伝子の選択肢における柔軟性はもうほとんど残っていないことがわかった」とのこと。

数百年にわたって変化してきたブルドッグのゲノムですが、ここ数十年で特に顕著に変化しているのだとか。ブリーダーたちは残された僅かな多様性を全力でやりくりしているものの、ほとんどのブルドッグが同系交配の親から産まれています。

Pedersenさんは、問題のある突然変異を除くことは、さらに多様性を削ぐことになるため問題解決にならないといいます。レアな毛色を取り入れたり、体のサイズを小さくしたり、体のしわを増やしたりするような「変化」は解決策にならないことを強調しています。

アメリカから87匹、その他の国から15匹、合計102匹のブルドッグを対象に遺伝子を調査したPedersenさんのチーム。今回の調査ではこれらの犬と、深刻な健康問題を抱える37匹のブルドッグの遺伝子との比較が行なわれ、ブリーダーによる劣悪な環境下での大量繁殖が原因ではないこともはっきりしています。

ブルドッグの遺伝子多様性欠如の問題を解決するために活動を始めたスイスのブリーダーたちがいます。オールディ・イングリッシュ・ブルドッグスとの交配によって「コンチネンタル・ブルドッグ」を創り出そうという試みです。こうした異系交配はブルドッグの健康状態を改善する可能性があるとされるものの、これについてPedersenさんは懐疑的。純血種のブルドッグでないという理由で文句を言うブリーダーもなかにはいるのだとか。

こうしたブリーダーたちが犬のルックスを保持しようとする以上に、犬たちの健康状態にも気を配るべきときが来ているのではないでしょうか。一方で、今回の研究では「もう遅すぎるかもしれない」とも指摘されています。みなさんはこうした事実についてどう思いますか?

Top image by Aobranc/Wikimedia Commons

source: Canine Genetics and Epidemiology
George Dvorsky - Gizmodo US [原文]

(Rina Fukazu)

最終更新:8月21日(日)21時10分

ギズモード・ジャパン