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<沖縄市が米軍倉庫群受け入れ>市長、高率補助獲得急ぐ アリーナと「リンク」に反発も

沖縄タイムス 8月21日(日)11時20分配信

 桑江朝千夫沖縄市長が19日、米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の倉庫群などの嘉手納弾薬庫知花地区(沖縄市)への受け入れを表明した。8月末は来年度予算の概算要求の時期。市長の公約の目玉である多目的アリーナの来年度着工を目指し、高率の補助金獲得のリミットに間に合わせた形だ。移設費を盛り込みたい防衛省も狙いは合致。だが、基地の受け入れと振興策をリンクさせたような手法に、市議会野党からは反発が起きている。

 「アリーナについては、市長の強い思い入れと言ってもらった。概算要求を含め(必要性を)理解してもらったと力強く感じた」。桑江市長はこう喜び、若宮健嗣副大臣に受け入れを正式表明した。

 市は防衛省の周辺対策事業で通常75%の補助率を90%まで上げることを要望している。これまで「高額すぎる」と難色を示していた防衛省側だが、若宮副大臣が「実現に向けてできる限りの協力をする」と予算獲得に尽力する意向を伝えた。

 与党市議の1人はこのタイミングでの明言に「決断が早すぎる」と桑江市長の対応を冷ややかに見る。アリーナは公約実現の要であるため市議は「アリーナ建設が実現しなければ次の市長選に大きな影響が出る」とみており、「市長は焦っているようにしか見えない。アリーナに関して協力ではなく確実な高率補助を取るまで受け入れを表明するべきではない」と指摘した。

 一方で、野党議員の1人は国に揺さぶりをかけてアリーナ建設の補助や協力を求めていることを強く非難。「交渉の仕方が基地と振興策の『リンク論』が露骨すぎる」とした上で「自分の政策のため、財源確保のためなら手段を選ばない」と指摘。また、市長が東京で表明したことに関しては「怒り心頭。納得できない」とし、「上京する日に市議会臨時会があったにもかかわらず、その場では表明しないやり方が姑息(こそく)すぎる。説明を求めたい」とし、9月の定例会で徹底的に追求する構えだ。

 市はこれまで高率補助獲得のため財務省や内閣府などにも要請をした。たびたび政府関係者から「受け入れ表明が先ではないか」と迫られていた。

 早期移転を実現したい防衛省は「負担が増える沖縄市が予算を求めるのは理解できる」としながらも「内閣府の沖縄振興費と違い、周辺対策費で9割を財務省に認めさせるのは容易でない」としていた。市長が明言したことで必要最低限の材料を得て「財務省にも説明がしやすい」と歓迎する。

 一方で別の関係者は「建物を造って終わりでは振興にならない。稼働率や収益の見込みなどを説明しなくてはならない」と気を引き締めた。「断腸の思い」で受け入れた桑江市長。乗り越えなければならないハードルは残されている。

 (中部報道部・比嘉太一、東京報道部・上地一姫)

最終更新:8月22日(月)14時5分

沖縄タイムス