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「豪州には住まわせない」難民受け入れの“アウトソーシング化”に疑問の声

THE PAGE 8月22日(月)12時20分配信

 オーストラリアの強硬な難民政策と“アウトソーシング化”に国際的な非難の声が上がっている。オーストラリアへの定住を求める難民認定申請者が、同国本土から遠く離れたパプアニューギニアや、太平洋の島国ナウルなどで隔離される形で収容生活を送っている現実は、15年前からオーストラリアの国内外で大きな議論となってきた。しかし、今月に入って英紙ガーディアンが、以前から入手していたナウルの収容所における劣悪な環境を記した文書を公開。子供に対する性的虐待が日常化している現状などを報じたことによって、オーストラリア政府が難民認定申請者を自国内に入れようとしないどころか、経済援助という名目で近隣の貧しい国に難民認定申請者の収容を肩代わりさせている実態が再び議論になっている。

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子供への性的虐待も? 収容所は人権侵害が常態化か

 ガーディアン紙が10日に報じたナウルにある難民認定者収容施設の劣悪な環境。同紙は8000ページ以上に及ぶ文書を入手し、その中で2013年5月から2015年10月までの間に施設内で2100件以上のトラブルや事件が発生していたと伝えている。太平洋に浮かぶ島国ナウル共和国は世界で3番目に小さな国家で、約1万人が暮らしている。詳しくは後述するが、この小さな島国に、オーストラリアでの定住を希望する難民認定申請者が送られ、島に作られた収容施設で生活をしている。収容所はオーストラリア移民国境警備省の委託を受けた民間企業が管理・運営を行っており、2014年に1200人を超えた収容者は、現在は460人程度にまで減少している。

 同紙の報道によると、ナウル国内の収容所で発生したトラブルや事件の約半数が、収容所内で暮らす児童に関係したもので、児童らに対する虐待や性的暴行、未成年の収容者の自傷行為などが数多く報告されている。収容所内における児童の割合は2割未満で、彼らが虐待を受けたり、自傷行為をしたりする確率が非常に高いのが特徴だ。ナウルでは年間を通して1日の最高気温が30度を超えるが、収容所では冷房設備などが十分ではなく、シャワーを浴びる時間にも制限が設けられているのだという。ガーディアンが入手した報告書では、わずか2分間のシャワーの時間を4分に延長してほしいと訴えた女子児童に対し、男性の看守が見返りとして性行為を求めていたと、教師が内部で報告していたことも判明している。

 ナウルに作られた難民認定申請者向け収容所の劣悪な環境や、頻繁に発生しているとされる看守らによる人権侵害は、何年も前から欧米のメディアによって報じられてきた。2014年1月、ナウル政府はメディアに対する報道ビザの申請料金を200豪ドルから8000豪ドルに一気に引き上げた。ビザの申請が却下された場合でも、申請料の払い戻しは行われず、ナウル政府は事実上の海外メディア締め出しを開始したのだ。これにより多くの報道機関がナウルを取材目的で訪れることが不可能となった。2014年1月以降、ナウルで収容所関連の取材に成功したのはオーストラリアのメディア数社のみだ。

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最終更新:8月22日(月)13時9分

THE PAGE