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【陸上】奇跡呼んだ銀メダル「走順」なぜケンブリッジがアンカーだった?

東スポWeb 8月22日(月)16時14分配信

【ブラジル・リオデジャネイロ21日(日本時間22日)発】リオデジャネイロ五輪が閉幕。日本は史上最多41個のメダルを獲得した。それぞれのメダルに様々なドラマが生まれたが、なかでも世界を驚かせたのが陸上男子400メートルリレー決勝(19日=同20日)でアジア新記録の37秒60をマーク、銀メダルを獲得したことだ。山県亮太(24=セイコーHD)、飯塚翔太(25=ミズノ)、桐生祥秀(20=東洋大)、ケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)の4人が起こした“リオの夜の奇跡”。その裏では走順が大きなカギとなっていた。

 日本の布陣は完璧だった。山県に続く2走はリレー経験豊富な200メートル日本王者の飯塚。さらにコーナーでもスピードを発揮する桐生が3走、爆発力があるケンブリッジがアンカーを務めた。

 今となっては当然のラインアップに思えるが、日本陸連の苅部俊二短距離部長(47)は「100メートル、200メートルが終わってから数時間にわたって議論を重ねた」と明かす。

 キーマンとなったのはケンブリッジ。これまで故障がちで代表でのリレー経験が不足しており、バトンを受け取るだけのアンカーしかポジションはない。起用法の難しい選手だった。

 しかも、今回の五輪出場権をつかんだ昨年5月の「世界リレー」を脚の不安により辞退。「世界リレーに出て、五輪に来られなかった選手はどんな気持ちで見ていたか…」(同)。実力や調子が優先されるのは当然だが、そんな感情的な要素がメンバー選びを難しくした。

 しかし、それらを全て吹き飛ばしたのが、後半の鋭い伸びで10秒13をマークした100メートル予選での走りだった。準決勝ではタイムを落として敗退したものの、苅部部長によれば「ケンブリッジにはアンカーで使いたくなる魅力があった」。

 対照的に「3走でも4走でも自信はあるけど、自分がアンカーでメダルを取るのが理想」と話していた桐生は100メートル予選で敗退。この結果もアンカー・ケンブリッジを後押ししたはずだ。

 苅部部長は「今回起用しなかった高瀬(慧=200メートル代表)も十分にリレーの決勝を走る力は持っている。日本には飛び抜けたエースはいないが、誰が出ても遜色ない走りができる層の厚さがある」と話したが、いずれにせよ決断が下されたのはそれぞれの個人種目が終わった後。結果次第では違うメンバー、走順で違う結果になっていた可能性もあったのだ。

 ケンブリッジと桐生、明暗を分けた100メートルが結果的に歴史的快挙につながった。

最終更新:8月22日(月)16時23分

東スポWeb