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Windows 10を導入しない企業は成長しない?

ITmedia エンタープライズ 8月22日(月)14時24分配信

 「2016年をWindows 10の企業向け本格導入の“元年”と位置付けている」――。日本マイクロソフトの三上智子 業務執行役員Windows&デバイス本部長は、同社が先頃開いたWindows 10の機能強化に関する記者説明会でこう語った。

【画像】企業導入の決め手となるWindows 10のセキュリティ機能(出典:日本マイクロソフトの資料)

 三上氏によると、2015年7月に提供開始したWindows 10は、1年を経過して全世界で3億5000万台以上のPCをはじめとしたデバイスで利用されており、大手企業の87%で導入に向けた検証作業が進められている。「提供から2年目に入ったこれからは、多くの企業に検証段階から本格導入していただけるように支援していきたい」というのが、冒頭の発言の意図である。

 では、企業がWindows 10を採用する決め手は何なのか。果たしてWindowsの旧バージョンからの移行はスムーズに進むのか。本コラムではこうした点に注目して考察してみたい。

 まず、企業がWindows 10を採用する決め手については、今回の機能強化版「Windows 10 Anniversary Update」の内容にも端的に表れている。具体的には、データ保護機能「Windows Information Protection(WIP)」と早期侵入検知機能「Windows Defender Advanced Threat Protection(ATP)」が追加された。

 WIPはデータを暗号化して情報漏漏えいを防ぐ機能、ATPは「侵入を完全に防ぐことは不可能」という見地に立った標的型攻撃への対応策となる機能である。これらが追加されたWindows 10は、図1のように「デバイスによる保護」「マルウェア対策」「IDの保護」「データの保護」「侵入検知&対応」といった5つの領域にわたって高度なセキュティ機能を装備している。

 とりわけ印象が強いのは、生体認証周りのセキュリティだ。個々のユーザーのIDを確認し、アクセスを制限できる機能が実装されている。これまでPCのID確認には主にID・パスワードが使われてきたが、容易にハッキングされて悪用される恐れがあることから、Windows 10では「指紋認証」「顔認証」「虹彩認証」の3種類に対応した「Windows Hello」と呼ぶ認証機能が標準でサポートされている。

 つまり、企業がWindows 10を採用する決め手となるのは、まさしくセキュリティ対応である。セキュリティ対応は企業にとって必須だ。ならば、どのように計画を立てて導入に向けた検証を行い、できるだけ早く本格導入に踏み切るかを考えるべきである。企業にとってはもはや、「Windows 10を採用するかしないかという問題ではない」というのが筆者の見解だ。

●Windows 10の普及状況が戦略的IT活用のバロメーターに

 とはいえ、企業にとってはさまざまな観点から導入検証が必要であり、掛かる予算も確保しなければならない。既存のPCがWindows 10の動作条件をクリアしていなければ、ハードウェアも入れ替える必要があり、当然費用はかさむことになる。

 米調査会社のNet ApplicationsがWebトラフィックを集計してまとめた「NetMarketShare」リポートによると、2016年7月時点におけるPCのOSシェアは、図2のようにWindows 7が47.01%を占め、Windows 10はそれに続く21.13%となった。つまり、Windows 10の普及率は2割強というのが現段階だ。さらに、この数字は企業向けも個人向けも合わせたものなので、企業向けだけだと、まだ一桁台の普及率ではないかと推察される。

 そうした状況で、果たしてWindowsの旧バージョンからの移行は今後スムーズに進むのか。振り返ってみると、現在およそ半数のシェアを占めるWindows 7も、企業での導入が本格化したのは1年以上経過してからだった。マイクロソフトはそうした前例を踏まえて、「Windows 7のときを上回るスピードで普及させていきたい」(三上氏)と考えている。だからこそ、2016年が“元年”と位置付けているのである。

 もう1つ、興味深い調査結果を紹介しておこう。IDC Japanが先頃発表した2016年から2020年までの国内IT市場規模の予測によると、2016年は前年比0.2%増の14兆7973億円となり、その後の年間平均成長率は0.8%増で推移し、2020年には15兆4007億円になるとしている。

 図3がその前年比成長率の推移を示したグラフだが、IDCでは2020年の成長率がほぼ横ばいになると予測している。2020年といえば、東京オリンピックが開催されることから景気が上向く期待が持たれているにもかかわらず、である。IDCではその理由を「2020年1月にWindows 7がサポート終了となるため、2019年に更新需要増が予測されているPC市場が、その反動で大幅なマイナス成長となるため」としている。

 このIDCの市場予測からすると、企業におけるWindows 7からWindows 10への移行のピークは2019年になる可能性がある。

 こうした状況に対し、IDCは「PC市場は米国でも縮小傾向にあるが、同国ではモビリティ、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術などからなる“第3のプラットフォーム”市場関連への投資増により、ソフトウェア市場などでそれを上回る成長が予測されている。一方、日本では現状のIT戦略が続くと、オリンピック開催という景気の上昇時期においても、PC市場のマイナス成長を上回る第3のプラットフォーム関連の戦略的IT投資増が期待できない状況にある」と警鐘を鳴らしている。

 その意味では、Windows 10は第3のプラットフォームを推進する技術の1つでもある。さらに筆者が先に挙げたセキュリティ対応は、言うまでもなく第3のプラットフォームの基盤となるものである。そう考えると、とりわけ日本企業におけるWindows 10の普及状況は、戦略的IT活用のバロメーターになるともいえそうだ。

最終更新:8月22日(月)14時24分

ITmedia エンタープライズ

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