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家電は“電気の通った家具”――10年先も愛される製品を目指す「GLAPS」

ITmedia LifeStyle 8月22日(月)16時50分配信

 海外企業への事業売却などが相次ぎ、ネガティブなニュースの多い国内の白物家電業界だが、一方で新たにこの市場に参入したメーカーもある。彼らはどこに勝機を見いだし、どのような戦略を持っているのか。今回は、エアクリーナーの分野に新規参入を果たしたREVSONIC(レブソニック)の家電ブランド“GLAPS”(グラップス)について、クリエイティブディレクターを務める坂口信貴氏に詳しい話を聞いた。

「GLAPS」の除菌・消臭エアクリーナー「V1」

 レブソニックという社名を知る人は少ないかもしれないが、坂口氏はPCユーザーにとって実は馴染み深い存在だ。星野金属工業時代にアルミPCケースのムーブメントを起こし、2004年にアビーを設立してからは国産3Dプリンターやハイレゾ対応PCといった先進的な製品で存在感を示している。そのアビーが2015年6月にレブソニックの資本を受け入れて子会社となり、坂口氏はアビーの社長を続けながら、レブソニックが新規に参入する家電事業の陣頭指揮を執ることになった。

 レブソニックは、自動車、通信、デジタル家電など多岐にわたる分野で電子機器の製造開発やLSI設計といった業務を請け負ってきたODM企業だ。「レブソニックは、半導体開発を中心とするエンジニア集団です。260人ほどのスタッフは大抵がエンジニアで、その技術を大手メーカーに提供する形でビジネスをしてきました」と坂口氏。B2Bのため知名度こそ低いものの、技術力は折り紙付きだという。

 「その技術を表に出して、新しい“モノのあり方”を伝えていきたいと昨年10月にコンシューマー部門を立ち上げ、アビーと資本提携しました。アビーとしては今まで以上のリソースを得られる上、家電にも興味があったので組むことになりました。開発は基本的にレブソニックが行い、販売などのマーケティングはアビーが担当するという形になっています」

 現在は「elemiah」(エレミア)と「GLAPS」という2つのブランドを展開しているレブソニック。elemiahは暖房機、GLAPSはエアクリーナーと製品は異なるものの、ミニマルなデザインと新しい技術を積極的に取り込む姿勢は共通だ。例えばGLAPSブランド最初の製品となったエアクリーナー「V1」には、強力な光触媒技術「MaSSC」(マスク)が採用されている。

●医療レベルの除菌・脱臭性能を家庭に持ち込んだ「V1」

 MaSSCは、高い溶射技術を持つフジコーが開発した新しい光触媒技術だ。坂口氏によると、「他社製品でも空気清浄機などに光触媒を使っている例はありますが、MaSSCは(触媒の)密度が全く違います。一般の光触媒は基材に塗布あるいはスプレーのような形で吹き付けて作られますが、そうすると触媒がまばらで密度が低くなってしまいます。対してMaSSCは、熱で溶かしてぶつけるような形(=溶射)。すごく圧縮され、密度の高い光触媒になります」

 さらに強力な紫外線(波長365nm)を組み合わせて高い殺菌・消臭能力を実現した。「一般的な光触媒技術では405nm前後ですが、紫外線としては弱いです。V1が採用した365nmの波長は、皮膚に浴びると悪影響を及ぼすレベルの強いもの。医療分野で使われる除菌・脱臭装置に近い性能を持っています」。事実、MaSSC技術は宇宙ステーションや病院の手術室などでも脱臭のために使用されているという。

 「一般的な空気清浄機は空気中のホコリを除去することを主目的にしていますが、V1は“臭い”や“浮遊菌の除去”に特化しているので、(ホコリをキャッチする)集じんフィルターは搭載していません」。V1は電気工業会(JEMA)の基準と異なるため、「空気清浄機」として販売することはできない。「エアクリーナー」という呼び方をしているのはこのためだ。

 「購入した方は、子どものアトピー性皮膚炎対策や花粉症に悩んでいる方が多いようですね。日本アトピー協会からの推薦をもらっているので、皮膚の弱い方へのアプローチはできていると思います」。なお、医療機器レベルの強力な除菌・脱臭機能を持つV1は、仮に動作中に分解されたりすると危険だ。このため、修理やメンテナンスはメーカー対応が前提で、製品には3年の保証期間が付いている(要ユーザー登録)。

 5月に発売した「A1」のほうは、一般的な「空気清浄機」として開発されたものだ。丸みを帯びて柔らかい印象を与えるV1に対し、A1は六角形とテイストは異なる。しかし、アルミの素材感を生かしたミニマルなデザインは共通だ。一般的なプラスチック製の空気清浄機とは一線を画す高い質感を持っている。

 アルミ筐体(きょうたい)の採用については、「あえてマイノリティーを狙った」という坂口氏。「例えばデザイン家具と呼ばれるものには、何十年も売れ続けているロングセラー商品があります。家電は、いわば『電気が通ってる家具』。アルミならではの質感と良さがあり、そこに付加価値を感じてくれる人がいればいいと思います」

●「パナソニックは目指さなくていい、デロンギを目指せ」

 今後の製品計画について訊ねると、「年内に新しい空気清浄機の発売を考えています。将来的には加湿器、除湿機と広げていきますが、キッチン家電などの展開も検討しています」と坂口氏。さらに“IoTエンジニアリングカンパニー”を標榜するレブソニックの技術を生かして IoT機器の展開も検討していく。

 ただし、大手家電メーカーのように幅広い家電製品を手がけていく考えはないという。いくつかの製品ジャンルにこだわり、深掘りしていく方針だ。「人がモノにひかれるときは、“Like”の場合と“Love”の場合があります。でも、従来の家電はLikeのものしかありません。私は、皆に愛されなくてもいいから少数の“Love”を作りたいと考えています」

 この考え方はレブソニックの砂子坂宗則社長と一致しており、社長からは、「パナソニックは目指さなくていい。デロンギを目指せ」と言われたという。コーヒーメーカーやオイルヒーターなど、製品数は限られていても世界中にファンを抱えるDe'Longhi(デロンギ)。それがレブソニックが目指す、家電メーカーとしてのあり方のようだ。

 「われわれは10年先も使いたいと思える製品を作りたい。壊れても直して使い続けたいと思われる家電、リピーターの多い家電ブランド。それが“Love”だと思います」(坂口氏)

最終更新:8月22日(月)16時50分

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