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日本ではビッグデータ与信は広がらない。それはなぜか?

投信1 8月22日(月)16時10分配信

世界中でAIやビッグデータを用いて審査を行う与信が急速に広がっています。米国のKabbage、中国のWeLab、アフリカのBranch等が日に日に活動地域を拡大していることは、フィンテック分野に詳しい方であればよくご存じかと思います。

今回は、このビッグデータ等を用いる与信が日本では今後も広がらないことをご紹介します。

与信モデルの進化過程

20世紀後半、日本や欧米の銀行は借り手の取引記録や信用情報を取得したり、資産の保全に担保を取得したりすることによって貸付を行っていました。これが21世紀に入ると、日本を除く先進国で統計的スコアリングを用いた与信が急速に広がります。

統計的スコアリングは現在でも世界で拡大し続けています。そして、ここ数年出てきたのが、メッセンジャー、SNS、携帯電話上の情報や行動、心理データを用いて審査を行う与信です。

日本で広がらない理由1:ビッグデータ与信の不良債権比率は日本の金利水準より高い

後述する通り、統計的スコアリングやビッグデータ与信が世界的に広がっているにはそれ相応のメリットがあるからなのですが、まず見落とされがちなのはそのデメリット(といっても日本以外の国ではそれほど問題になりません)です。

それは、伝統的な手法による与信→統計的スコアリング→ビッグデータ与信と、新しいものほど不良債権比率が上がることです。

これは、十数年前に統計的スコアリングを日本全国の銀行が試して、軒並み貸付ポートフォリオが赤字になったことから、納得できる銀行員の方も多いのではないかと思います。

ビッグデータ与信は統計的スコアリングと比べてもさらに漠然としたデータがソースですので、不良債権比率も統計的スコアリングよりもさらに上がります。

日本以外の国では、単純に貸付金利を引き上げることでこれに対応し、統計的スコアリングもビッグデータ与信も広がりを見せています。

当社はエストニア、フィンランドおよびスペインで統計的スコアリングを用いて与信を行うファンドをご提供していますが、貸付金利はだいたい15~60%くらいです。

米国でビッグデータ与信を行っているKabbageの平均貸付金利は30%強と言われています。また、中国でビッグデータ与信を行っているWeLabの平均貸付金利も33%程度、ケニアやタンザニアでビッグデータ与信を行っているBranchの平均貸付金利は約150%と言われています。

日本国内では上限金利が貸付金額に応じて15~20%なので法的に上記の金利水準で貸付を行うことはできませんし、仮に法律が改正されて上限金利が引き上げられても、不良債権比率が低い(=低い金利で貸し付けられる)伝統的な与信と全く勝負になりません。

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最終更新:8月22日(月)16時10分

投信1