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「自首しろ、さもなくば殺す」 フィリピン大統領が始めた前代未聞のドラッグ戦争

BuzzFeed Japan 8月22日(月)5時0分配信

「麻薬密売人は自首しろ。さもなくば殺す」

これはギャングの言葉ではない。フィリピン大統領の公の場での発言だ

6月に就任したばかりの、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は麻薬撲滅を優先政策に掲げ、半年以内に違法薬物を一掃すると公言している。

確かに、フィリピンの違法薬物問題は深刻だ。常習者は大人だけではない。路上にはシンナーを吸いながらフラフラと歩く、裸足の子供の姿もある。

変死体で見つかった日本人留学生に覚せい剤使用疑惑が浮上したり、覚せい剤入りの液体を日本に密輸しようとした日本人が摘発されたり。日本人観光客でも、夜の繁華街で遊べば、違法麻薬への誘いをかけられることがある。

警察は麻薬密売の捜査を強化し、捜査段階で容疑者を次々と射殺している。政府の動きに呼応するように、違法薬物取引への関与を疑われる人物を殺す「自警団」も暗躍している。

8月中旬までに、警察と自警団は1500人以上を殺している。法的手続きを経ない「正義の鉄拳」で死んだ人の中には、無実の者も含まれているとの指摘がある。

だが、ドゥテルテ大統領が、麻薬組織への攻撃の手をゆるめる気配はない。批判を気にせず、犯罪組織との血なまぐさい戦いを続ける意向だ。

過激な方針に対して、国連や人権団体などから批判の声が上がっているが、フィリピンでは今でも高い支持率を保っている。

フィリピン国民は、なぜ強権的なドゥテルテ大統領に魅力を感じているのか。【BuzzFeed Japan / 鈴木貫太郎】

自警団による殺害急増、国連の警告にも耳貸さず

ドゥテルテ大統領は、選挙期間中から一貫して、当選したら「麻薬組織や汚職した役人を一掃する」と公言してきた。過去に私刑団を率いて犯罪組織と対峙した「武勇伝」を明かしたこともあった。

一方、捜査段階で警官が容疑者を射殺することを容認するなど、人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチなどから非難されてきた。米国から「法の支配」を尊重するよう求められたこともある。

警官や自警団による容疑者射殺が急増したことを受け、国連は8月18日、法に基づかない殺人を容認しないよう警告した。人権理事会が任命した特別報告者は、麻薬組織との戦いを理由に違法な殺人を正当化してはならない、と自制を促した。

しかし、こういった周囲の言葉にドゥテルテ大統領が耳を貸す様子はない。

大統領は国連の警告に対して、「クソみたいな声明を発表するな」と反発。また、声明は正式に調査団を派遣した後に出すべきと国連批判を繰り返した。

地元紙インクワイアラーなどの報道によると、自身の政策を国連が非難し続けるならば、脱退も辞さないとの強硬姿勢を示しているという。

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最終更新:8月22日(月)5時0分

BuzzFeed Japan