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電機向け薄板、縮む対中輸出。競争激化、通商措置も

鉄鋼新聞 8/22(月) 6:00配信

 電気亜鉛めっき鋼板(EG)や電磁鋼板など、電機用薄板の主力販売先だった中国向け輸出が年々落ち込んでいる。中国ミルが生産力を付け、地産地消が進んでいることに加え、2015年は中国経済の失速による需要減、加工貿易を優遇する保税措置の見直しもあり、リーマン・ショック前の半分以下に減った。16年も回復力に乏しく、中国へ進出する日系商社のコイルセンター(CC)も戦略の見直しを余儀なくされている。

 電機向け薄板は、EGが主にOA機器、方向性電磁鋼板(GO)が変圧器の鉄芯、無方向性電磁鋼板(NO)がコンプレッサーやモーターなどで使われる。これらの対中輸出は、トウ小平氏の「南巡講話」があった1990年代半ばから拡大。EGの場合、ピークだった08年時点で中国向け輸出が119万トンに上り、全向け先の半分ほどを占めてきた。
 電磁鋼板の対中輸出は、中国政府の4兆元投資で発電インフラ需要が盛り上がり、エアコン需要も中国内で4千万台を超えた11年が直近のピークで、GOが17万トン、NOが25万トンだった。
 これらが減ってきたのは、中国地場の高炉メーカーや電機メーカーが生産能力を増やし、鋼材、製品を問わず過当競争になってきたのが一因だ。伸びなくなった日系ユーザー向けの需要に、それなりの技術力を得た中国ミル材が入り込むようになり、輸入鋼材に対する通商政策も変化し始める。
 15年7月には中国政府が加工貿易を優遇する保税措置を見直し、NOの輸入に8%の関税が課せられるようになった。GO輸入では今年7月に日本、韓国、EUに対してアンチダンピング(反不当廉売=AD)措置が発動され、日本材には39・0~45・7%ものAD税が賦課されている。
 かつてはGOやNOを中国内で造れるミルは限られていたが、宝山鋼鉄などが能力を増やしたことで中国政府も通商政策から自給化・国産化を推し進めている。
 15年の日本の対中GO輸出は4万7千トン、NO輸出は14万3千トンへと減少しており、16年はAD措置でGOは1万~2万トンにとどまりそうだ。NOは現状では減少傾向が和らいでいるものの、17年には宝鋼集団の湛江製鉄所(広東省)が年産能力60万トンの新ラインを立ち上げる予定で、関税に加えて地場材との競争はさらに激しくなる。
 電機用薄板のボリュームゾーンであるEGの対中輸出も15年には39万トンにまで減った。なお主力品種として健闘しているものの、保税措置の見直しがいずれEGにも及ぶ懸念がくすぶっている。
 日本製の電機用薄板を取り扱ってきた日系商社の中国CCは、これら環境変化で戦略の見直しを迫られている。商権を譲渡し撤退するケースや、資本関係の見直し、業態転換で新たな活路を求める動きもあり、特にGOを主力としてきたCCは今後どう顧客への供給を維持するか喫緊の課題となっている。

最終更新:8/22(月) 6:00

鉄鋼新聞

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