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相模原市と徳島県が綱引き 国民生活センター機能移転巡り

カナロコ by 神奈川新聞 8月22日(月)8時3分配信

 政府は8月末に「地方創生」の一環で検討している中央省庁の地方移転の結論を取りまとめる。神奈川では、徳島県が誘致する消費者庁所管の国民生活センター相模原事務所(相模原市中央区)の機能移転がどう位置付けられるかが焦点だ。徳島が熱烈に政府へアプローチする一方、国の消費者行政への協力を自負する相模原市は「移転対象からの除外」を求め、政府の動向に神経をとがらせている。

■道筋
 9日の内閣府大臣室。徳島県の飯泉嘉門知事が、3日の内閣改造で就任したばかりの松本純消費者問題担当相を訪ねた。

 「河野(太郎)前大臣が打ち出した『新拠点』で、新次元の消費者行政を築いていきたい。どんどん進めていただければ」

 飯泉知事は地元各界の代表者を引き連れ、就任祝いもそこそこに、消費者庁や国民生活センター移転を強力に進めるよう要請。松本氏は「8月中の決定に向け努力していく」と答えた。

 「新拠点」は移転の旗振り役だった河野前大臣が7月末に示した道筋だ。関係省庁をつなぐテレビ会議システムの未整備などの課題を背景に、河野氏は現状では消費者庁自体の移転判断を3年程度先送りする意向を表明。一方で徳島に「消費者行政の創造的フィールド」を設け、相模原事務所が担う商品テストや消費生活相談員らの研修業務についても「持って行こうと思う」と言及した。

 移転を前提にバトンを渡された形の松本氏は、河野氏と同じ神奈川選出で自民党麻生派所属の盟友。来年度の新拠点開設に向けた庁内準備チームも発足させて態勢を整えた。

■危機感
 相模原市は危機感を強める。相模原事務所の立地を「首都圏にあるがゆえに、テストも研修も容易で最適な環境」と主張。地元利用を求めた米軍基地の返還地に「苦渋の決断」で事務所を受け入れた歴史も強調してきた。

 加山俊夫市長は「徳島に移して機能強化につながるのか。開設から35年にわたり、事務所と連携して消費者行政をリードしてきた市の積み重ねを忘れてもらっては困る」とくぎを刺す。

 一方の飯泉知事は「徳島は薬学や発光ダイオード(LED)の先進地域。相模原でやっていない、今後消費者ニーズが高まる分野のテストを受け入れる」と意気軒高だ。広く研修を受け入れるため、全国から徳島への航空アクセス向上にも意欲をみせ、「『未来チャレンジ内閣』には、東京を中心にした交通体系の見直しにもチャレンジしてほしい」。

■猶予
 徳島と相模原の綱引きに直面している松本氏は12日に相模原事務所を訪問。視察後「現段階でどうするとは言えない。徳島での業務試行の結果や河野前大臣の引き継ぎ、相模原市の意向を自分なりに考慮して結論を出す」と述べた。

 3年の「猶予期間」は何をもたらすのか。国民生活センター幹部は「大臣は慎重に検討しており、どんな方針が出るか知れないが、組織や費用が肥大化しないのが大前提。われわれが相模原との関係性を重視してきたのも事実だ」と漏らした。

最終更新:8月22日(月)8時3分

カナロコ by 神奈川新聞