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社説[取材妨害・住民排除]工事止め協議の場作れ

沖縄タイムス 8/22(月) 7:25配信

 この工事は一体全体、誰のための、何を目的にした工事なのか。

 違法性の疑いのある検問が現場の県道で実施され、事前協議もなしに勝手に立木が伐採された。機動隊による力ずくの警備によって住民は強制排除され、長時間の道路封鎖によって地元住民の日常生活にも支障が生じた。

 20日には、記者も抗議行動中の市民とともに一時的に拘束状態に置かれ、取材活動を妨げられた。

 米軍北部訓練場でのヘリパッド建設工事が進む東村高江。ヘリパッド建設に反対する住民ら約30人はこの日朝、工事車両の搬入を止めようと県道70号にかかる高江橋の上に座り込んだ。

 機動隊は、座り込む市民らを抱え上げ、強制的に場所を移動させた。その上で、抗議する市民を機動隊の車両と車両の間に押し込め、隊員が人垣を作って身動きの取れない状態にした。市民らはおよそ30分にわたって道路脇に閉じ込められた。

 度を越した拘束であり、市民の権利をないがしろにする警備と言うほかない。

 沖縄タイムスの記者は、県警の腕章をつけた隊員に社員証を提示し、取材中なので出してもらいたい、と申し入れた。いったん拘束を解かれたものの、しばらくして別の機動隊員が近寄ってきて別の場所に押し込められたと言う。

 琉球新報の記者も腕章を示して取材記者だということをアピールしたが、正当な取材活動を妨害され、工事車両の資材搬入の現場に近づくことができなかった。

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 この状況は1950年代の島ぐるみ闘争を思い出させる。米軍の強制的な土地接収と、軍用地料の一括払いや新規土地接収に反対して行政・議会・地主・住民が立ち上がった、あの島ぐるみの闘いである。

 北部訓練場やキャンプ・シュワブは、本土に駐留していた海兵隊を沖縄に移駐させるため、あのとき建設されたものだ。本土の負担軽減が進んだ半面、沖縄は「基地の島」として過大な基地負担を背負わされることになった。

 日米特別行動委員会(SACO)は基地の整理・統合・縮小計画に合意した。だが、ほとんどが県内移設で、北部訓練場の過半約3987ヘクタールの返還は、SACOの返還合意面積を大きく見せるための措置だった。

 米軍は不要な部分を返還する見返りに、6カ所のヘリパッドの移設と、海への出入りを確保するための土地と水域の追加提供を勝ち取った。

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 半世紀以上も前に建設された沖縄最大の基地の不要部分を返還し、日本の予算によって新たな機能を備えた訓練基地としてリニューアルし、恒久使用する。それが米軍の狙いだ。

 一方、ヘリパッドが高江の集落を取り囲むように移設され、オスプレイの訓練に使用されることは、高江の住民にとっては生活破壊を伴う大きな負担増となる。

 政府が過半返還を強調するのは高江の暮らしや豊かな自然環境への破壊的影響を無視した一方的な主張である。

最終更新:8/22(月) 7:25

沖縄タイムス