ここから本文です

ショックに強い日本株ファンド、「泣きそう」な相場でもAIぶれず

Bloomberg 8月22日(月)0時1分配信

欧州連合(EU)残留か離脱かを問う英国民投票。緊迫ムードの中で開票状況が刻々と伝えられた6月24日の東京株式市場は、朝方買い先行で始まった。人工知能(AI)で事前に相場を予測するファンドの運用責任者、野村至紀氏(43)は売り持ちポジションを取っていたため、同僚から「大丈夫か」と声を掛けられた。泣きそうな顔をして「どうしようか」と思ったという。

しかし、次第にEU離脱票の優勢が伝えられ始めると、相場は午前10時ごろから下落に転じ、予想外の離脱決定が報じられた午後は下げ幅が大きく拡大した。AIの相場予想は当たり、東証株価指数(TOPIX)は7.3%急落。この日だけで3.43%のリターンを確保した。「この相場は人間では無理。だいたいコンピューターの方が正しかったりする」と言う。

運用会社シンプレクス・アセット・マネジメントがAIでTOPIX先物を予測して運用するファンドは、ショックに強いのが特徴だ。4月の設定以来、英国民投票のほか、7月29日には日本銀行の追加緩和など大きなイベントに直面したが、いずれも収益を上げている。同社運用本部ディレクターの野村氏は、AIプログラムについて「負けないわけではない」としているが、まれにしか起こらない「テールリスクが非常に小さいのが特徴」と説明する。

かといってAIは投票結果を予測したわけではない。安定的にリターンを出せる秘訣は、過去の相場の動きから方向性を予測する独自のプログラムにある。相場の方向性が上昇傾向を示している時でも、現在の相場が過去の平均値を大きく上回っていれば上げ余地は少ない場合がある。野村氏によると方向性と、過去一定期間の平均値との乖離(かいり)幅の2指標から、AIが買い持ちと売り持ちの比率を決める。

ベストアンサー

野村氏は、方向性の測定で使う移動平均日数について「どのくらいの期間で見るのが正しいか結論を出している人はいないが、このプログラムではその答えを出せる」と話す。AIプログラムは、過去の一定期間のデータを学習し、移動平均や平均回帰の周期などでどの程度の期間で見るのが有効かを判断し、将来を予想する。約140兆通りの組み合わせがあるというが、「人工知能の技術を使うことで6万通りに絞り込み、ベストアンサーが出せる」という。

1/3ページ

最終更新:8月22日(月)15時33分

Bloomberg