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【辻にぃ見聞】イ・ボミのバースデー優勝を決定づけた“縦の精度”

ゴルフ情報ALBA.Net 8月23日(火)13時3分配信

イ・ボミの28歳バースデー優勝で幕を閉じた『CAT Ladies2016』最終日。前半で一時独走状態になるも、後半の失速で全美貞(韓国)、大江香織とトータル9アンダーで並びプレーオフにもつれこんだ。流れ的には苦しいかと思われたが、プレーオフ1ホール目(18番パー5)であっさりとバーディを奪取。劣勢かと思われた場面での“貫録勝ち”について、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が『深層』を語った。

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■ 3日間のあいだに“的確に効く”修正ができる本当の強さ

 「ウェッジでピンを狙う際の“縦の精度”はツアーNO.1。自分の落としたいキャリーから2歩以内で打ってくる精度。賞金ランク上位者に共通することではありますが、普段の練習でも10ヤード刻みの精度に特にこだわっている。短いクラブは縦距離の精度、長いクラブはラインを出す精度。これが彼女のショット力の理由です」(辻村氏)

 プレーオフは532ヤードのパー5を使って行われた。距離面でも、打ち上げのホールロケーション面でも2オンが難しく、3打目の勝負となる。この時点でショートゲーム巧者であるイ・ボミに流れは傾いたのかもしれない。実際、イ・ボミは3打目を残り120~130ヤードにおき、ピン真横1mにぴたりとつけた。『プレーオフに入ってからは“30分だけ”集中しようと思った』と優勝会見で語ったように、イ・ボミは勝負どころで集中力を高めて、完璧に縦の距離感をあわせてきたのだ。

 今大会のボミは3日間を通してスイングが定まっていたわけではなかった。バックスイング時のトップの位置が定まらず、毎日違う感覚でプレーをしていたという。だが、『最終日は“右ヒジが締まってトップに入る”ことだけを意識していました』と、自身の状態を鑑みて対処できる修正力がプレーオフのスーパーショットに繋がった。

 「“右ヒジが締まった”意識を持つことで右ワキが締まり、手元が体の近くを通すことができる。そうすればスイング軌道が安定して、かつパワーも伝えやすくなります。自身の強みをしっかりと理解した上で修正できるのが、イ・ボミの“本当の強さ”です」(辻村氏)

 イ・ボミは出場15試合ですでに今季4勝。賞金女王レース独走状態を突き進むが、今週開催される「ニトリレディス」で大会連覇の可能性も…。

 「ニトリレディスは1年間のなかで最もグリーンが速く“13.5フィート”は出るでしょう。ボミのパッティングの特徴は、ボールを押し出すようにストロークして、ボールとヘッドが同じように動くこと。高速グリーンになればなるほどタッチが合ってくる。今年から4日間大会となり、賞金額も2000万円アップ。ディフェンディング大会でモチベーションは高いはずですからね」(辻村氏)

■ 優勝争いの東浩子はアプローチが成長。ショット力を活かせるように!

 イ・ボミとともに今大会を盛り上げたのは、同じく最終日最終組でラウンドし、ツアー初勝利を果敢に狙っていった東浩子だ。終盤の3連続ボギーで涙の敗戦となったが、ここ1か月は好調を維持している。理由はアプローチ面の成長によると辻村氏は分析する。

 「サントリーレディスまでは予選落ちが多かったですが、同大会からアプローチの打ち方を変えています。それまでは“球をつっつく”アプローチで寄せるイメージが出にくかったと思います。いまはボールを運ぶイメージを持てているので、どんなライからでも対応できるようになった。彼女は“フェースの下から2番目の溝に当てる”ことを意識して練習に取り組んでおり、確実に成長しています。もともとショット力が高いので、アプローチの成長により果敢のピンを狙っていけるようになった。1ラウンドで1~2個ボギーは減らせています」(辻村氏)

 プレースタイルを尊敬するボミと2日間の同組ラウンドが強みになった、と試合後に語った東。目の当たりにした“女王の強さ”は、初シード獲得のために戦う残り試合での力になるだろう。


解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:米山聡明)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:9月13日(火)19時10分

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