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BluetoothをWi-Fiとして“再利用”、米大学が開発

EE Times Japan 8月23日(火)15時37分配信

無線信号を“変換”

 米University of Washingtonの研究グループは、Bluetoothなどの既存の無線信号を空中で反射(後方散乱)させる技術「Interscatter Communication」を開発したと発表した。1つの無線通信技術を、別の無線通信技術に“変換”できるという。

 同研究グループのエンジニアやコンピュータサイエンティストたちは、デモを披露し、業界で初めて、Bluetoothの信号を使用してWi-FiやZigBeeと互換性のある信号を生成してみせた。

 この新技術を使用すれば、医療用インプラントのような電源に制約のあるデバイスでも、標準化されているWi-Fi通信を介して別のデバイスと通信できるようになるとしている。

無線信号の「再利用」

 University of Washingtonの電気工学部博士課程の学生で、論文の共著者であるVikram Iyer氏は、「スマートコンタクトレンズや脳インプラント、クレジットカードなどの小型デバイスでは、BluetoothチップやWi-Fiチップは使えない。BluetoothやWi-Fiなどは、無線信号を生成する際の消費電力量が大きすぎるからだ」と述べる。

 しかし、これらのデバイスにInterscatter Communication技術を採用すれば、無線信号を生成する必要はなく、すぐ近くに存在するスマートウォッチなどのデバイスから伝送された無線信号を再利用することが可能だという。

 Iyer氏は、「スマートウォッチやスマートフォンなどのデバイスで、消費電力量の大きい無線信号を生成し、その信号を、低消費電力のコンタクトレンズやインプラント、クレジットカードに反射させて、独自データをエンコードすることができる」と説明する。同氏は、「Interscatter Communication技術のトランスミッターは、一般的な無線機器ではなく、アンテナに接続された単なるスイッチにすぎない」と付け加えた。

 「このスイッチをオン、オフすることにより、アンテナがどのようにエネルギーを反射するかを変えられる。Interscatter Communicationに対応したデバイスは、スイッチを適切な速度で切り替えさせすれば、スマートウォッチから送信されたBluetooth信号を反射させてWi-Fiパケットに変換し、スマートフォンに送信することができる」(同氏)

 研究チームは一例として、スマートウォッチを使い、アンテナを搭載したスマートコンタクトレンズにBluetooth信号を伝送するというデモを披露した。伝送されたBluetooth信号は、シングルトーン信号に変換される。変換された信号は、さらなる制御や伝送が可能だという。スマートコンタクトレンズでは、このシングルトーン信号を後方散乱させることで、収集した健康情報などのデータをWi-Fiパケットにエンコードする。そうすれば、スマートフォンやノートPCなどに伝送してデータを読み込める。

 Iyer氏は、「埋め込み型の医療用機器の場合、無線通信によって電池を急速に消耗すると、それを交換するための手術が必要になる。そのため、電池寿命をいかに保持できるかが極めて重要だ」と述べた。

最終更新:8月23日(火)15時37分

EE Times Japan