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Evernoteがプラン改訂!? よろしい、ならばSynologyだ!!

ITmedia PC USER 8月23日(火)19時3分配信

 Evernoteの料金プランが改定された。

 Evernoteは「すべてを記憶する」をキャッチフレーズに、さまざまなメディアの情報を一元的かつ網羅的に扱えるようにするクラウドサービスだ。ユーザー自身で作成したリッチフォーマットのメモはもちろん、Webページのクリップ、PDF、画像など、日々出会った情報を放り込んでおくことで、単なる外部記憶にとどまらない「第2の脳」として活用することができる。

【NASでプライベートクラウドを構築】

 一般向けのEvernoteには有料・無料合わせて3つのプランがあるが、特徴的な点としてストレージ容量の上限ではなく、月間アップロード容量にプランごとの上限が定められていることが挙げられる(もっとも、情報の最小単位であるノートの数と、ノートあたりのサイズに上限があるため、理論的なストレージ容量の上限はある)。

 無料のベーシックでは月間アップロード容量60MB、有料のプラスでは1GB、同じく有料のプレミアムでは10GBとなっている。そのほか、機能面の違いとして、プラス以上でモバイル端末からのオフライン利用、メールからの保存、プレミアムだとPDF/Office文書/各種ファイル内の文字検索、ノート履歴が利用できるようになる。今回の改定ではベーシックの機能制限と、プラス/プレミアムの値上げが行われた。

 まずベーシックでの機能制限だが、ノートを同期できる端末数が無制限から2台までに制限された。Evernoteは常にユーザーの近くにあり、いつでも情報を入出力できる環境でこそ活用できるもの。2台という制限は自宅環境+モバイル1台でギリギリ、使い込んでいる人ほど厳しい制限と感じるだろう(ただしWeb版は対象外)。

 有料プランの価格改定としてはプラスは月額240円が360円に、年額2000円が3100円の値上げとなる。値上げ率でいうと月額で50%、年額では55%の大幅値上げだ。プレミアムプランは月額480円が600円、年額4000円が5200円、値上げ率で月額25%、年額30%の値上げとなる。こちらもプラスほどのインパクトではないものの、値上げ率はかなり高い。

 実はEvernoteのプラン改定は2回目となる。1回目は2015年4月。それまで無料のベーシックと有料のプレミアム(4500円/月もしくは4000円/年)の2プランだったものが、新たな有料プランとしてプラス(240円/月もしくは2000円/年)が追加された。プラスはプレミアムからOffice文書/PDFファイル内検索、ノート履歴などの機能を省き、ノート最大サイズ50MB、月間アップロード容量1GBに制限した廉価版有料プラン。同時に3プランの差別化のためか、ベーシックからはメールをEvernoteに保存する機能が廃止され、プレミアムにはアップロード容量制限が無制限となった(ただし、プレミアムのアップロード容量無制限はわずか3カ月で撤廃され、10GB/月という制限が設けられている)。

 このときのプラン改定ではベーシックの制限がそれほど厳しくなかったこと、ベーシックとプレミアムの間を埋める新プラン、プラスの新設であったことからおおむね好意的に受け入れられたように思う。「年額4000円は高すぎるので多少の不満は我慢するが、年額2000円なら払ってもいい」という無料ユーザーがターゲットであり、プランを変更する気のないユーザーにとってはあまり影響のない変更だったからだろう。

 だが、今回の改定はすべてのユーザーにネガティブな影響がある。ベーシックユーザーにとっては機能制限、プラス/プレミアムユーザーにとっては単なる値上げでしかない。せめてプラス/プレミアムユーザーに対して「値上げしますが、この点は向上します」というものがあればよいのだが、Evernoteからは今後のさらなる改良・進化をお約束する、というだけでなんのコミットもない。すばらしい機能が追加されるかどうかも、それが自分のプランに適用されるか、有料ユーザーにとっては自分のプランの差別化として納得できるものになるのかもなにも保証がない状態だ。

 Evernoteは代表的なフリーミアムサービスだが、現在は経営再建のため、大幅な社員数削減や経営プランの見直しなどが図られている。無料利用者が増えすぎれば、そのコストを負担する有料利用者が「この料金はサービスに見合わない」と判断することにもなりかねず、経営判断として有料利用者に転じる見込みのない無料利用者を切り捨てることも、さらに有料利用者への負担を増やすこともありえる。そして最悪なケースはサービスの終了だ。今回のポジティブな要素のない改定を見るとそのような危機感を感じずにはいられない。

 自分の蓄積してきた「第2の脳」を企業の方針で取り上げられたり、利用を制限されたり、あるいは失ったりする危険性に対して、なんらかの手を打たなければならない時期にきているのではないだろうか。その方法の一つが「買い切りの代替アプリ」である、Synology Note Stationの利用だ。

●Synology Note Stationで「すべてを記憶する」

 Synology DiskStationは簡単にファイルサーバが構築できるNASキットだ。手軽であると同時に、ユーザー自身でさまざまな機能を追加することができる。今回はノートアプリ「Note Station」を導入し、Evernoteから移行する手順を紹介する。

 Note Stationは、Synology DiskStationの追加機能であり、管理画面DSMのパッケージセンターから導入する。Synology AssistantからDSMを起動、管理者権限でログインするとデスクトップ上にパッケージセンターのアイコンが表示されるので、これをクリックする。

 パッケージセンターには多くの追加機能が登録されている。今回の「Note Station」は生産性カテゴリにあるので、そこからインストールを行う。インストールボタンを押すだけなので特に迷うところはないだろう。

 インストールが完了したら早速Note Stationを起動してみよう。DSMのメニューボタンをクリックするとデスクトップにNote Stationのアイコンが現れるので、これをクリックすればよい。なお、Note Stationの動作にはユーザーホーム(ユーザーごとのホームディレクトリ)が必要となるので、ユーザーホームが有効になっていなかった場合はコントロールパネルから設定を変更しよう。

●Note Stationの使い方

 画面はEvernoteユーザーにはなじみの深い3ペイン構成。Evernoteで言うところのノートはメモ、ノートブックはメモ帳、スタックはシェルフ、保存した検索条件はスマート ノートブックと呼ばれている。

 Note Stationの使い方はEvernoteとほぼ同様だ。「+作成」ボタンをクリックしてメモ(ノート)を新規作成、右ペインでメモの内容を編集する。メモにはスタイル、フォントの種類、色、サイズ、ウェイト、インデント、文字寄せなどテキストのフォーマットのほか、表やグラフの挿入、音声や画像、動画の挿入、などができ、アイデア・情報メモとして十分な表現力を持っている。利用頻度が高いWebクリッピングもChrome拡張機能「Synology Web Clipper」が用意されている。

 また、メモとは別にTo-doリストというものがある。これはやらなければならないタスクを整理・管理するためのもので、単独で登録できるほか、メモにひも付けて設定することもできる。OneNoteのノートに対するOutlookタスクのようなもので、一つのメモに複数のタスクを紐付けることができるほか、タスク自体にサブタスクを追加することも可能だ。

●Evernoteから移行する方法は二つ

 Note StationにEvernoteのデータをインポートする方法は二つある。

 一つはEvernoteと直接同期を取る方法。Evernoteの連携アプリとして認証し、Note StationがEvernoteのAPIを叩いてノートをインポートする。

 ただし、この場合はEvernoteのAPI利用制限の上限に達してしまうことがある。そのような場合はEvernoteのエクスポートファイルである.enexファイルからのインポートを行う。

●Note Stationをより便利に使う

 Note Stationは便利だが、DSMから起動しなければならず、そのワンクッションが面倒な点でもある。だが、DSMを経由せず、直接Note Stationを起動する方法もある。

 一つはアプリケーション ポータル機能を使うこと。アプリケーション ポータル機能とはDSMから起動する各種アプリケーションのショートカットのようなもので、具体的な指定方法は四種類ある。

 一つは「カスタマイズしたエイリアスを有効にする」。DiskStationのDSMのURLの後ろにエイリアスを付け、「https://192.168.0.1/note/」のような形でアクセスできるようになる。

 そして「カスタマイズしたポートを有効にする」。特定のポート番号を指定することでNote Stationにアクセスする。HTTPとHTTPSの二種類がある。

 最後は「カスタマイズしたドメインを有効にする」。これはアプリケーション用にFQDNを指定することでNote Stationにアクセスする。オプションとしてHSTS(HTTPSでの接続を矯正する仕組み)、HTTP/2(高速化されたHTTPプロトコル)が利用できる。

 Webサーバの構築経験のある人なら、単一サーバ上で複数Webサイトを立ち上げる場合の手法と同じであることが理解できるだろう。

 アプリケーション ポータルは環境を選ばないところが利点だが、自宅PCなど通常利用する環境からであればChromeアプリ「Synology Note Station」を利用するのが楽だ。Chromeアプリ「Synology Note Station」はデスクトップ版Evernoteに相当するアプリで、デスクトップアプリのように利用することができる。もちろん、オフラインでの利用も可能だ。

●モバイルデバイスからの利用

 ノートアプリに必要なものは常に情報を収集、閲覧できること。外出先でなにかを見つけたり、思いついたりしたらその場で記録できることが大切だ。

 外出先からNote Stationを利用するには、まずSynology DiskStationのリモートアクセス機能「QuickConnect」を設定し、自宅のSynology DiskStationにインターネット経由でアクセスできるようにしておく。方法については「Synologyで始めるNAS入門 第2回:外出先から自宅のNASを活用できる『リモートアクセス機能』はこんなに便利」に記載があるので参考にしてもらいたい。

 スマートフォンやタブレットからはNote Stationのモバイルクライアントアプリ「DS Note」が利用できる。Note Stationと同様にノートを閲覧できるほか、カメラ(静止画・動画)、音声などから新規にメモを作成することができる。外出中のアイディアやメモをすぐに記録するためのアプリとして重宝するはずだ。

●バックアップでも、代替でも

 以上、Synology Note Stationについて見てきたが、Evernoteの代替としてまず名があがるのがMicrosoftのOneNoteだ。しかし、OneNoteは一部無償プランがあるものの、Office自体がOneDriveというストレージ込みのサービスに移行しつつあり、自身のデータを企業に握られているという状況は変わらない。それに対し、Synology Note Stationはオンプレミスで構築するため、データが手元にあるという安心感がある。

 もちろん、クラウドサービスはハードウェアの管理まで任せることができ、災害や停電にも個人レベルとは比較にならない対策がなされているなど、メリットが大きいこともまた事実だ。Evernoteから完全に移行するだけでなく、バックアップとしてNote Stationを利用する、Note Stationのデータ自体をクラウドストレージにバックアップするなど、クラウドとオンプレミスを相互補完することを考えてみてはいかがだろうか。

最終更新:8月23日(火)19時3分

ITmedia PC USER