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ルネサス、M&Aの帰結点。株主で顧客のトヨタは外資入りに否定的?

ニュースイッチ 8月23日(火)7時39分配信

相乗効果には疑問の声も

 ルネサスエレクトロニクスが成長への道を踏み出した。最大で3000億円を投じ、電力制御向け半導体に強みを持つ米インターシルの買収に乗り出す。自動車向け半導体で製品群を強化するのが狙い。買収の相乗効果を疑問視する声もあるが、ルネサスがかねて掲げていたM&A(合併・買収)の道筋は付けた。今後の焦点は、産業革新機構による株式売却に絞られそうだ。

 ルネサスエレクトロニクスは自立成長の道を模索し、M&Aに積極的な姿勢をみせてきた。柴田英利執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)は2016年4―6月期連結決算発表の席で、「弱みを補完する対象に絞って検討している」と表明していた。

 成長戦略の軸は車載向け半導体。ルネサスは車載用ではマイコンは高いシェアを持つものの、電源系やアナログ半導体が弱い。製品を組み合わせてソリューションを提案するためにも電源系の取り込みが喫緊の課題だった。それだけに、電力制御用半導体を主力とするインターシルはまさに対象だった。

 ただインターシルは民生用や産業用途でのシェアが高い。IHSマークイットテクノロジーの南川明主席アナリストは「自動車向け半導体での相乗効果は見えにくい」と指摘。

 また営業利益率は1ケタ台で、米国企業としては決して高いとはいえない水準だ。南川氏は「競合に対して優位性の高いソリューションを提供できるかが最大の課題」だとする。

経営権を握る官民ファンドの出口戦略は

 ルネサスのM&A戦略に道筋が見えてきた今、今後の焦点は産業革新機構が保有する69%の株式の売却戦略になる。現在ルネサスの買収に意欲をみせているのは、日本電産の永守重信会長兼社長のみ。しかし、6月に就任したルネサスの呉文精社長兼最高経営責任者(CEO)は「グローバルで事業を進める上で特定の企業の傘下に入るのは望ましくない」と暗にけん制した。

 一方、トヨタ自動車など顧客であり株主でもある自動車メーカーは、外資系傘下に入るという選択肢には否定的。ルネサスの成長戦略と機構の出口戦略をどうすり合わせるのか。当分は、模索の時期が続きそうだ。

<解説>
 満を持してのルネサスの買収案件。成長に向けた第一歩として期待したい。ただインターシルについて色々と話を聞くと「優良とは言い難い」との声も聞かれる。半導体業界の再編の波に乗り遅れ、手元資金も限られる中での最善だったのかもしれない。交渉がまとまった暁には、なんとか相乗効果を生み飛躍につなげてほしい。

最終更新:8月23日(火)7時39分

ニュースイッチ