ここから本文です

大砲あり、テスラコイルあり。ロシアのメイカーフェアは発想の宝庫だった

ギズモード・ジャパン 8月23日(火)22時10分配信

今年の7月9~10日に、ロシア初開催のメイカーフェアである「モスクワ・ミニ・メイカーフェア」に参加する機会を得た。そこでは、集まる人々が楽しみながら伸び伸びと作品を製作している様子を見ることができた。

BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国のメイカーの現場は、ますます熱くなりつつある。その中でも日本人にとってアクセスしづらい国のひとつロシアで見た「ものづくり最新事情」をレポートする。

主催者に案内してもらったFabLabモスクワ

開催日前日の7月8日に、モスクワ・ミニ・メイカーフェアの会場となるMISiS(The National University of Science and Technology:ロシア語表記МИСиС)を訪ねた。開催の前日に訪問したのは、モスクワ・ミニ・メイカーフェアの主催者でありFabLabモスクワのディレクターでもあるウラジミールさんに会うためだ。ウラジミールさんは、早速MISiS内にあるFabLabモスクワの中を案内してくれた。

電子工作室内には3Dプリンターやレーザーカッターといった基本的な機材のほかに、巨大なCNC工作機械(素材に彫刻などを施せるコンピューター数値制御の掘削機)がある。

特に目をひいたのは巨大な木工マシーンだ。「ここでモスクワ・ミニ・メイカーフェアで使うすべての家具や装飾品を製作したんだ」とウラジミールさん。通常のイベント会場で使う調度品は外注することが多いが、ここではすべての装飾品を自分たちの手でつくっている。

外に出ると、MISiSでモスクワ・ミニ・メイカーフェアの準備が進められていた。大きな看板には、MISiSとFabLab77 Moscowの表記に加え、オリジナルのキャラクターが描かれていた。

個性的な人たちが集う、モスクワ・ミニ・メイカーフェア

7月9、10日と2日間行われたモスクワ・ミニ・メイカーフェア当日は、英語ができる学生さんたちが会場内を案内してくれることになった。

最初に会った彼女は、FabLabモスクワ会場のデザインを担当しているヤロスラワさん。前の日にウラジーミルさんが話していたように、今回のメイカーフェアの会場内や展示スペースの装飾品はすべて手づくり。そのデザインを手がけたのが彼女なのだ。

レーザーカッターで装飾をほどこした看板と、そこから切り出して組み立てたイスが会場内に設置されている。

「これ、私が3Dプリンターでつくったの!」と言ってヤロスラワさんが見せてくれたのはバッグとオブジェ。幾何学的なデザインが素敵だ。バッグをよく見ると、積層したフィラメントの下に網目があるのがわかる。網の上に積層3Dプリントすることで動きのあるチェーンバッグをつくるのは、3Dプリンターを使ったものづくりとして、とても独創的なアイデアだ。

会場を歩いていると、何かに乗った人が横をスッと通り抜けていった。セグウェイがあるのかと思ったが、よく見ると黒くて重そうな鉄製の電動二輪車だった。「君! とにかく乗ってごらんよ!」と話しかけてくれたのは製作者のドミール・ザイヌラインさん。モスクワ市内にあるUniversitet Mashinostoenii(機械製作大学)に所属するロボット工学者である。乗ってみると、意外にもとてもバランスが取りやすい。

すると、ドミールさんが「v1とv2に等しく力が掛かるためには、どうしたら良いと思う?」とたずねてきた。つまり、力学的にどうやったら等しく力が分散できるか?という意味なのだが、いきなり物理の計算式を書いて聞いてくるメイカーには初めて出会った。

さらに「ここから30分くらいのところに我々のロボット研究所があるから、遊びに来なよ。ここには持って来られなかった、すごく大きなロボットや機械がたくさんあるんだ! いいな!」とたたみかける。その勢いに、もはや圧倒され、「うん行くよ」と答えてしまった(研究所の取材レポートはこちらhttp://www.gizmodo.jp/2016/08/fuzemini_maker_faire_moscow2.html)。

ロシアの人たちはとても強引で、「見て見て!」と、こちらを圧倒してくる。少し面食らうこともあるが、だからこそ彼らのものづくりに対する情熱が伝わるのであった。

子ども向けエリアの中に一際目立っていたものがあった。表示板にはЦМИТ Академия(CMITアカデミー)と書いてある。ここの展示は衝撃的だった。大砲!? 銃!? イミテーションらしいが、さすがロシアというか、つくるものがぶっ飛んでいる。

「どうして大砲をつくっているの?」と聞くと「これは子どもたちの遊ぶおもちゃ。彼らと一緒につくったものだよ」とのこと。ここでは他にも子どもたちがつくった作品を展示していた。「私たちの運営するCMITアカデミーの中を見せてあげるよ! 月曜の夕方5時に来てね」と誘ってくれた。こんな作品をつくる子ども向けの施設とは一体…?と疑問に思いながらも、彼らのもとへ見学に行く約束を交わした(見学のレポートはこちらhttp://www.gizmodo.jp/2016/08/fuzemini_maker_faire_moscow2.html)。

ここのスタッフたちはとても気さくで、ロシア人にしては英語が話せる人たちだ。新しい出会いと、見学先で見られるであろうロシアならではの「ぶっとんだもの」への期待にドキドキした。

1/3ページ

最終更新:8月23日(火)22時10分

ギズモード・ジャパン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。[new]