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「止めて、止めて」バドミントン金、ピンチ救ったベンチの絶叫 「逆転も、あり得るな」息吹き返す

withnews 8月25日(木)7時0分配信

 リオデジャネイロオリンピックのバドミントン女子ダブルスで、日本バドミントン史上初の金メダルを獲得した高橋礼華(あやか、26)と松友美佐紀(24)の「タカマツ」ペア。デンマークとの決勝は、敗退寸前に追い込まれながら、5連続得点で逆転勝利を果たしました。2人を救ったのは、ベンチから飛んだ絶叫でした。(朝日新聞スポーツ部記者・清水寿之)

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3連続失点「正直、もうだめかな」

 バドミントン女子ダブルス決勝、デンマーク戦の最終第3ゲームの終盤、高橋、松友組は3連続失点で、16―19の劣勢に立たされました。
あと2点取られたら、負け。「正直、もうだめかな」と松友の頭に諦めの気持ちが湧く一方で、ある思いが芽生えます。

「一球でもいいから、相手に『おっ』と思わせよう」

 相手のサーブ。コートの後方を守る「後衛」の高橋が相手コート奥へと打ち返しました。と同時に、コートの前方を主に守る「前衛」の松友が、すっと前へ出ます。ラケットを立てて構えると軽く差し出し、シャトルにちょこんと当てました。意表を突くプレーに相手の足は止まり、シャトルは静かに相手コート前方に落ちました。

「プッシュをせず、ラケットを止めろ」

 159センチの松友は他の選手に比べて、ラケットを持つ手の位置が低いのが特徴。ラケット面が相手からは見えづらく、球筋を相手に読まれにくいのが長所です。

 追いつ追われつの第3ゲーム中盤、松友はらしくないミスが続きます。早く決めたいあまりに、ラケットを前に押し出して強い球を返す「プッシュ」と呼ばれるショットが多くなっていたのです。

 日本のベンチはそんな松友を冷静に見ていました。プッシュをネットに引っかけて18点目を献上したとき、コートサイドにいた中島慶(けい)コーチ(54)が「止めて、止めて」と叫びます。「プッシュをせず、ラケットを止めろ」という意味でした。

無心の境地へ

 松友は3点差をつけられたこの場面で、その指示を思い出します。そこで、それまでプッシュをしていた構えから、緩い球を打ち返したのです。ふっとわいた松友の遊び心とベンチワークで、相手の連続得点は止まりました。

 17―19。デンマークペアには、まだ笑みを浮かべる余裕がありましたが、このプレーから流れは変わります。

 この後続くプレーを、高橋ははっきりと覚えていません。「タカマツペア」は無心の境地に入っていきます。

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最終更新:8月25日(木)7時0分

withnews