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米大統領選まで2カ月半 くすぶる問題は誰の追い風になるのか

ZUU online 8月24日(水)8時10分配信

いよいよ米国史上初の女性大統領、ヒラリー・クリントンの誕生が見えてきた。各種の支持率調査でも州によっては10ポイント以上、トランプ氏を引き離している。しかしクリントン氏にも、メール問題や財団問題など、さまざまな火種がくすぶり続けている。

■両候補の人気はいままでで最低…どちらがマシかで選ぶ?

メール問題も一段落、副大統領候補もティム・ケーン上院議員に決まり、いよいよ本決戦に向け体制を整えつつあるクリントン陣営。急浮上した確定申告の問題も、トランプ氏が一切を拒否しているのに比べ、いち早く連邦税率34%を公表するなど、有権者からの疑念をいち早く解消し信頼を高めている。また経済政策に関しても、トランプ氏のビジネスに関する専門知識の底の浅さが露呈し、相対的にクリントン氏の支持が高まっている。

一方で、人物としての好感度は、クリントン氏40%、トランプ氏33%。わずかにクリントン氏が上回ってはいるとはいえ、8月11日までのブルームバーグの調査によれば、過去の大統領選候補者と比べても異例の低さだという。11月8日の本戦までの間、些細なことでも支持率はひっくり返るかもしれない。クリントン氏が抱えるアキレス腱とは何か。

■収束しないメール問題、財団問題…そして内容不明の第三の問題

クリントン氏を取り巻く問題は3つある。

◎メール問題
国務長官在任中、私用メールアドレスを公務で使っていたという、いわゆるメール問題。FBIは、公開されたメールの内容に関して調査し、国家的な情報漏洩は認められず「極めて不注意」ではあったが、訴追を求めないとした。一件落着と思えたが、実は国務省に提出した約3万通のメールに含まれない、44通の存在が新たに判明した。クリントン氏の「公務に関わるメールはすべて提出した」との証言との食い違いが指摘され、今後の大統領選において後を引きかねない状況だ。

◎クリントン財団問題
国務大臣在任中、クリントン夫妻や家族が主宰している財団が、多くの国や企業から多額の寄付を受け、見返りとして便宜を図った、という疑惑が浮上している。2022 年のFIFAワールドカップの開催地が決定する際も、カタールのW杯主管団体から、巨額の寄付を受けていた事実が判明している。ほかにも、アメリカ最大級のウラン鉱山をロシア関連企業に売却する際、関連団体から多額の寄付を受けている。権力による口利き、つまり利益供与が疑われる指摘であり、財団には他にもさまざまな金融取引について、疑いが生じている。

クリントン氏側は、これらの指摘は「既成事実をばかげた陰謀説にゆがめている」と釈明しているが、トランプ氏は「私の行為なら報道は4倍」と、早速この問題を種に舌戦を挑む構えだ。さらなる疑惑が明るみに出れば、大きな問題に発展する可能性がある。

◎「ウィキリークス」の創始者アサンジュ氏による時限爆弾
内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者、ジュリアン・アサンジュ氏は、CNNのインタビューに対して、クリントン氏に関する「非常に興味深い」情報を持っていると答えている。以前からアサンジュ氏はクリントン氏を批判しており、とくに報道の自由に関しては、トランプ氏よりクリントン氏への舌鋒鋭い追求をしている。内容によっては、命取りになる可能性もゼロではない。

■米国のタックスヘイブン 両候補の更なる問題が眠る?

クリントン、トランプ両氏に関わる問題もある。米国内にあるタックスヘイブン(租税回避地)、デラウェア州との関わりについてだ。ホワイトハウスからわずか160キロに位置する同州は、実はケイマン諸島やバミューダ諸島よりも最悪といわれる「タックスヘイブン」である。人口約90万人の州に、税金を逃れるため世界中から、実に約95万社の企業がペーパーカンパニーを設立している。

そしてこのデラウェア州に、クリントン氏は2社、トランプ氏にいたっては378社の企業を置いているという。タックスヘイブンを活用した、アメリカ企業の税金回避問題が、大きな非難の対象になるに連れ、両氏の政治姿勢が厳しく問われることは間違いない。

■トランプ氏が自ら崩れ、クリントン氏が生き残る選挙になるのか

さまざま問題を抱えるクリントン氏だが、それでもトランプ氏に対して優位であることに変わりない。

トランプ氏の民族や人種、宗教に関する相次ぐ差別発言、無知を露わにした乱暴な外交政策、演説原稿の盗用、その他の妄言虚言。最近では経済政策についても、専門家からさまざまな問題点が指摘されている。そして致命傷となりつつあるのが、退役軍人に対する度を超えた中傷だ。共和党の一大支持勢力である退役軍人会を敵に回せば、トランプ氏の屋台骨を根本的に揺るがしかねない。

共和党の一部から「トランプよりは」と票が流れてくる、との噂もある。さまざまな問題を抱えているとはいえ、クリントン氏は量的にも質的にも、トランプ氏よりははるかに“マシ”だということだろう。

ただ、クリントン氏の抱える問題が、一気に吹き上がる危険性もなくはない。加えて、自身は中道右派であるが、民主党内のリベラル派、中道左派、共和党支持のポピュリストたちを切り崩していかなければならない、という難しい舵取りも待ち受けている。確かに優勢ではある、しかし死角はあり、予断を許さない状況にある。投票日まで3カ月を切り、米国大統領選挙はいよいよ正念場を迎えている。 (ZUU online編集部)

最終更新:8月24日(水)8時10分

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