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次世代の石炭火力発電が試運転、瀬戸内海の島で

スマートジャパン 8月24日(水)11時25分配信

 瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(おおさきかみじま)で2012年度に着手した「大崎クールジェンプロジェクト」の実証試験が本格的に始まろうとしている。

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 次世代の石炭火力発電の技術開発を担うプロジェクトで、中核になるのは「酸素吹石炭ガス化複合発電」と呼ぶ方式だ。4年以上をかけて建設した実証試験設備が8月22日に試運転を開始した。2017年3月に開始する実証試験に向けて、発電能力を引き上げながら設備の確認・調整作業に入る。

 石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)は石炭を燃焼してガスを発生させてから、ガスタービンと蒸気タービンの2種類を組み合わせて発電する。LNG(液化天然ガス)を燃料に使う火力発電で主流になっている複合発電(コンバインドサイクル)方式を石炭火力にも適用して、発電効率を向上させる技術である。

 IGCCには石炭をガス化する際に空気を注入する「空気吹」と酸素を注入する「酸素吹」の2つの方式があり、大崎クールジェンでは酸素吹を採用した。酸素吹のほうが石炭の燃焼温度を高くできるためにガスを発生しやすい利点がある半面、空気分離設備を必要とするため発電効率は空気吹よりも低くなる。

 大崎上島で試運転を開始した酸素吹方式のIGCCは発電能力が16万6000kW(キロワット)の商用レベルの設備である。実証試験を通じて発電効率(熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる割合)を40.5%まで高めることが目標になっている。

 現在の石炭火力発電で最先端の「超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)」の発電効率が40%程度で、それと同等の水準になる。大崎クールジェンのIGCCはガスタービンの燃焼温度が1300℃級で低めに設定されている。2020年代にIGCCを商用化する段階では燃焼温度を1700℃級に高めて、発電効率を46~50%に向上させる計画だ。

CO2排出量を20%削減できる

 IGCCで発電効率を高めることができれば、石炭火力で最大の問題点になっているCO2(二酸化炭素)の排出量も低減する。現在の石炭火力で主流の「亜臨界圧(Sub-C:Sub-Critical)」と呼ぶ発電方式と比べて、CO2の排出量を約20%削減できる見通しだ。次世代の石炭火力発電にIGCCが求められる理由の1つである。

 大崎クールジェンでは実証試験設備を運転して、発電効率や排気ガス中の有害物質の濃度などの基本性能を評価する。加えて石炭の種類の適合性や発電設備の耐久性、運用性や経済性についても検証する予定だ。経済性の点では発電コストが現在の商用機と同等以下になることを目指す。

 IGCCの実証試験は2018年度末まで約2年間かけて実施する。並行して第2段階の実証試験設備の建設も進めていく。第2段階ではIGCCで発生させたガスからCO2を分離・回収する設備の実証に取り組む計画だ。

 さらに第3段階ではガスから水素を抽出して燃料電池で発電する「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel Cell combined cycle)」に挑む。IGFCは発電効率をLNG火力に匹敵する55%程度まで高めることができる。究極の石炭火力発電の技術である。2021年度にIGFCの実証試験を実施して、10年間の大崎クールジェンプロジェクトが完結する。

 大崎クールジェンは中国電力とJ-Power(電源開発)の合弁事業で、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から支援を受けて2012年度に開始した。実証試験の場所は中国電力が運営する石炭火力の「大崎発電所」(2011年12月から運転休止中)の構内にある。

最終更新:8月24日(水)11時25分

スマートジャパン

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