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量的緩和策は効果なし? アベノミクスはもう限界なのか……

THE PAGE 8月25日(木)14時0分配信

 このところ国内の消費低迷が深刻な状況になっています。量的緩和策によって市場には大量のマネーが供給されているはずですが、都市銀行の貸し出しはマイナスに転落しています。アベノミクスはもはや限界なのでしょうか。

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急激に萎んでいく銀行融資

 日本百貨店協会が発表した7月の全国百貨店売上高総額は5598億円と前年同月比で0.1%のマイナスとなりました。売上高がマイナスになるのはこれで5カ月連続ですが、消費が弱いと物価も下落していきます。6月の消費者物価指数は、代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」が前年同月比マイナス0.5%という大幅下落となりました。マイナスは4カ月連続で、しかも下落幅が拡大しています。状況はかなり深刻といってよいでしょう。

 市場関係者をさらに驚かす統計も発表されています。これまで減ることがなかった銀行の融資がとうとう減少に転じたのです。全国銀行協会が5日に発表した7月末時点における貸し出し動向では、全国銀行の貸出金は前年同月比でプラス2.1%だったものの、都市銀行の貸出金は前年同月比でマイナス0.7%となりました。都市銀の貸出金がマイナスに転じるのは何と45カ月ぶりのことです。

 マイナスに転じたことそのものを過剰に騒ぎ立てる必要はありません。むしろ重要なのは貸出残高のトレンド(傾向)です。今年に入ってから貸出残高の伸び率低下が顕著となっていますから、融資が急激に萎んでいるのは間違いないでしょう。

投機的な動きで市場は大混乱に陥る可能性

 量的緩和策によって、日銀は毎年80兆円もの資金を市場に供給しています。日銀が供給したマネーのほとんどは当座預金に積み上がったままであると指摘されてきましたが、それでも年間80兆円のインパクトは大きく、銀行融資も少しずつではありますが伸びてきました。今後も資金の供給が続く状況であるにもかかわらず、融資が減っているのは、本当に貸す先がないことを示唆しています。

 適度なインフレという当初の目的が達成されないまま、大量の資金供給を続けることは長期的に見ると大きなリスク要因です。今はデフレ傾向が顕著でも、為替や債券などに投機的な動きがあった場合には、急激な円安や金利上昇など想定外の事態が発生し、市場は大混乱に陥る可能性があります。

対症療法的な施策はもはや限界か

 量的緩和策の位置付けについて、日銀はそろそろ見直しを行う必要があるかもしれません。もしそうなれば、アベノミクスそのものについても再検証が必要となってくるでしょう。

 日本はこれまで、なぜ経済が低迷しているのかという本質的な部分にはあまり目を向けず、財政出動の強化や量的緩和策など、痛みを伴わない経済政策ばかり選択してきました。しかし、こうした対症療法的な施策はもはや限界に来ているようです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8月25日(木)15時14分

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