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SNSで与信の時代 Tencentなど中国P2P大手がSNS情報でデータで借入審査

ZUU online 8月24日(水)10時10分配信

テクノロジー産業からP2P市場に乗りだした中国の2大企業、JubaoとTencentが、融資部門でのリスク審査に、申込者のソーシャルメディア(SNS)情報を利用していることが、ファイナンシャル・タイムズ紙などの報道から明らかになった。

同様の動きがP2P産業で見られていた米国では、プライバシー保護への懸念から、すでに規制当局によって封じられる方向へと移行しているのとは対照的に、P2Pへの規制や個人情報へのアクセスが確立されていない中国では、ますます盛んになっていくのではないかと見られている。

■SNS上で有名人の友達がいれば審査に通る?

融資やクレジットカードの審査でリスク測定の目安として、クレジットスコア(信用評価点)制度が発展している欧米。日本でも信用情報機関を通して、申込者の個人情報を照会する環境が整っている。

しかし中国においては、中央銀行にあたる中国人民銀行が、借入審査に利用可能な個人情報を手中におさめており、以前は認定を受けた銀行にのみ公開されていた。

昨年からはTencentやAlibabaを含む大手8社にもアクセス権が与えられたが、信用情報とは名ばかりのつぎはぎだらけの個人情報なうえに、融資会社側がリスクを測るうえで最も知りたい低所得者や中小企業に関する情報は、ほとんど記録されていないという。

アクセス権のない企業はこれらの大手に手数料などを支払い、役に立つとはいいがたい情報を入手することになる。

「高質な個人情報への自由なアクセス権」を求める声が、企業間で高まっているのも当然だろう。

その結果、JubaoとTencentのような大手企業までがSNSをリスク審査に採用し始めたのだが、その基準というのが「SNS上で有名人の友達がいるならば、ある程度信用に値する人物だ」など、少々首を傾げざるを得ないようなレベルである点に、一抹の不安を感じる

■マドゥCEO「ミレニアル世代以降には、従来の信用評価が無意味になる」

例えばJubaoで融資を申し込む場合、モバイルチャットサービス「WeChat」や中国版Twitter「Weibo」を通して、Jubaoに自分のSNSデータへのアクセス権を提供する。

融資側は申込者のプロファイルやステータスをSNSでチェックし、私生活や経済状況を推測するという仕組みだ。

しかしSNSの世界はあくまでバーチャルな空間であり、仮に正真正銘のプロフィールや実生活を公開していたとしても、どこまでが正確な情報であるかは、公開者以外には知りようがない。

コンサルタンシーEY(アーンスト・アンド・ヤング)のアジアFinTech部門担当者、ジェームス・ロイド氏は、「融資審査などには財務歴が最重要視されるべきだ」と、SNSのデータを信用評価の基準として代用する危険性を訴えている。

確かに、リスクを測定するためのデータがリスクを生みだしかねないようでは、審査自体がまったく無意味になってしまう。

対照的にSNSデータサービスの米先駆け企業、Socureのスニル・マドゥCEOなどは、P2Pが盛んなうえに「WeChat」が爆発的な人気を誇る中国で、SNSを利用したリスク測定が主流になるのはごく自然な流れであり、今後さらに間口が拡大されると予測している。

またミレニアル世代が労働力の8割に達すると見こまれている2028年には、従来の信用評価システム自体が退廃している可能性も高いという。

「ミレニアル世代の多くは、車を買う代わりにUberなどの配車サービスを利用し、家を買う代わりに賃貸ですます」合理性を備えていることから、財務歴を基盤とする必要性が希薄になっていくかも知れない。

それにしてもSNSのデータを鵜呑みにして、いくらまでなら見知らぬ他人に貸すことができるだろうか。(FinTech online編集部)

最終更新:8月24日(水)10時10分

ZUU online