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「8月なのに内定ゼロ」「オワハラされて超泣ける」――夏の終わりの就活お悩み相談室

@IT 8月24日(水)8時10分配信

●就活は既に終盤戦?

 少し前まで、黒のスーツを着た就活生っぽい学生の姿を街でよく見かけた。熱い夏にホントに大変だと思ったりした。しかし、ここにきてその人数が減った感がある。

【オレの……オレの……オレの悩みを聞け!】

 マイナビの調査によれば、就活生の7月末での内々定率は「72.7%」とのこと(出典:2017年卒マイナビ大学生就職内定率調査<7月>)。2015年同時期調査の+3.6%増で、就活生のおおよそ4人中3人が内々定を獲得したことになる。

 2016年の就活戦線は既に終盤戦!……なのだろうか。

 上記調査とほぼ同時期にアイデム「人と仕事研究所」が実施した調査では、新卒採用を継続している企業は全体の「56.6%」と半数を超えており、逆に「既に終了している」と回答した企業は「20.6%」、それどころか「まだ何も行っていない」と答えた企業が「22.8%」という驚くべき結果が出た。(出典:2017年度新卒採用に関する企業調査(2016年7月1日状況)

 ……ということは、企業にとって2017年春卒者の採用は「まだ半ば」ということだ。

 マイナビの調査に戻ると、就活生が内々定を保有している社数は「1人平均2.0社」だ。実際に就職できるのは1社なので、今後、内々定をいただいた企業に就活生が辞退を申し入れ、内々定を出した企業の2分の1が就活生に「お祈り」されるわけだ。そうなると、現在「採用活動終了」宣言している企業も、辞退者が続出したら採用再開するかもしれない……のではないだろうか。

 この時期、大学のキャリアセンターには、就活生のいろいろな悩み相談が舞い込んでくる。「就活のトリセツ」第10回は、皆さんに憂鬱な夏から脱出してもらうべく、某大学のキャリアセンターで番を張っている筆者ナカムラアキノリが、この時期にありがちな3つの悩みに答える。今回はスペシャルゲストとして、名古屋経済大学のキャリアセンターで毎日学生と向き合っている田中宏幸先生にも協力していただいた。

●お悩みその1「気が付いたら8月。内定はまだない……」

いや、バイト忙しかったんですよ。試験も卒業かかってたし。

サボってたわけじゃないけど、就活だってしてなかったわけじゃないけど、気がついたら友達は内定もらってて、自分はまだで。あー、焦ってきたなー。もう!

●ナカムラアキノリと田中先生のアドバイス

○ナカムラアキノリ
 8月は、採用予定数に満たない企業の人事もめちゃ焦っている。しかも早くめどを立てたいので、短期決戦を挑んでくる。

 つまり、この時期の就活において成功のカギの1つは「スピード」だ。善は急げ、なのだよ。気になる企業を見つけたら、速攻アタック。この時期は大手企業の二次募集だってある日突然出てくる。これらはみな「急募」。募集がかかってから締め切りまでの期間が短いのが特徴だ。履歴書などの提出物の用意は抜かりなくやっておこう。

○田中先生
 学生も必死なら、企業もそれ以上に必死なんです。

 この時期、大学キャリアセンターには求人企業の訪問がほぼ毎日あります。名古屋経済大学では、多い日は4~5件の来客があります。「良い学生を採用したい」と、企業も必死なんです。ということは、内定がまだない就活生は、頻度高くキャリアセンターに通って採用情報をチェックするマメさが大切ですね。

 またネットだけが情報源じゃありません。特にこの時期は「口コミ」が貴重です。既に就活を終えた友達情報もちゃっかり活用しましょう。彼らはあなたにとって一番身近な成功者です。お礼にガリガリ君を1本あげれば、きっと有益な情報を教えてくれることでしょう。

○総括

 就活生は、焦る必要はない。むしろ「自分にぴったりな企業に出会えるように、じっくり構えてやってます」といえるくらいの余裕が必要だ。焦る就活生は企業から「内定を獲得できない、魅力に乏しい学生」と思われてしまうかもしれない。そうなると、もらえるモノも、もらえないのだよ。

●お悩みその2「内々定もらった途端、行く気がうせた」

内々定ゼロの同級生からすれば「ぜいたく言うな!」って感じかもしれないけど、内々定もらった瞬間に熱が冷めちゃったんです。この会社、就職しなくちゃダメですか?

●ナカムラアキノリと田中先生のアドバイス

○ナカムラアキノリ
 就活の目的がいつの間にか、「就活に勝つ」こと、つまり「内々定をもらう」ことになってしまい、内々定をもらった瞬間に熱が冷めてしまう就活生は実はよくいる。

 そうではなくても、いざ就職先を決めるとなると、それはそれで悩みが出るのが普通だ。「本当にこの会社でいいのかな」とか「この仕事できるかな」とか。

 この悩みは結構大切だ。なぜなら、将来のことを真剣に考えるのは、就活時よりも、働くことが目前に迫った時だからだ。リアルに自分が働くことを想像したときに出てくる悩みにどう向き合うのかが、とても重要だ。

○田中先生

 もし、その会社で働く気が本当にないのなら、速攻お断りを入れるべきです。

 「正直、内々定をもらうことに走ってしまった」という就活生もいるでしょう。「多くの友達が受験するから」「先輩がいるから」「親が勧めるから」「知名度が高いから」「ここの内定持ってたらイケてんじゃね? と思ったから」「安定してそうだから」「とにかく内定が欲しかったから」……もしかすると、あなたが持っている内々定の幾つかはそんな感じで「もらえちゃった」内々定かもしれません。

 もしかしたら、内々定を頂けたことで自信が付いたのかもしれません。目線が上がったのかもしれません。そんなときは次の大きな壁にチャレンジすればいいと思います。より著名でビッグな企業、採用人数極少の狭き門な企業、専攻とは全く畑違いだけど興味のある企業……。いいじゃないですか。やるだけの価値はあります。

 ただし、就職活動はゲームではありません。「内々定の数が多いと勇者」とか、「いろんなジャンルの内々定をコレクションしたい」……という軽い考えは厳禁です。

 もし今からもう一度就職活動をする気力があるのなら、就活を再開させればいいのです。しかし、「いやー。もういいっすわ、オレ(ワタシ)……」ということなら、いったんはその企業でお世話になればいいと思います。で、「キミに辞められたら困るな」と会社の人に言われるぐらい力を付けましょう。そして数年たって、「やっぱり別の会社に行きたい」と思ったなら、堂々たる実績を武器に転職するのもアリかもしれません。

○総括

 内定ゼロで焦る就活生は、内々定を「ゲト」することがゴールのように感じているかもしれない。でもね、実は新卒での就職は、その先の長~い社会人人生のスタートにしかすぎないのだ。自分にぴったりな会社を探す時間はたっぷりあるのだよ。

●お悩みその3「オワハラされて超泣ける」

内々定をもらった企業の人事から「You、もう就職活動終わらせちゃいなYO!」というメールや電話がガンガン来て超ブルー。これって、オワハラですよね?

●ナカムラアキノリと田中先生のアドバイス

○ナカムラアキノリ

 大切なのは、その企業にとってアナタがどうしても欲しい人材だということだ。つまり、オワハラされるのはとっても名誉なことなのだ。

 採用担当者から送られてきたオワハラっぽいメールを見せてもらったことがある。「貴殿の○○○な経験や×××な考え方は、当社にとって大変魅力的であり……」みたいな内容で、○○○や×××に書かれていることは、その就活生を高く評価した理由そのものだった。これは大変うれしく、そしてアリガタイと思わないかい?

○田中先生

 オワハラをしてくる企業の動機は大きく2つに分けられます。

 1つは「採用難」。人が集まらないので、1人でも多くの内定者を確保したい。2つ目は社員として「あなたが本当に魅力的」。両者のハイブリッドもあります。

 もしあなたの魅力を大いに買ってくれているなら、それほどネチっこいオワハラは展開しないでしょう。「本当に欲しい人材に、何とかキモチを固めて入社してもらいたい」一心から、しつこい誘い文句を言ってしまったにすぎません。

 そんなときは、「ありがとうございます」と御礼をきっちり伝えた上で、毅然(きぜん)とした態度をとればよいのです。

 執拗(しつよう)に結論を迫られてつらい場合は、キャリアセンターを口実にしちゃいましょう。例えばこんな風に伝えればよいでしょう。

 「大学のキャリアセンターで、『この場で就職活動を終わらせてくださいという企業さまのお話は必ずキャリアセンターへ持ち帰りなさい』と指導されていますので、お返事は差し控えさせていただきます」

 その上で、このやりとりをキャリアセンターに報告してください。

○総括

 学生も必死なら、企業だって必死なのだ。曖昧で煮え切らない返事は、恋愛ではOKかもしれないがビジネスではタブー。企業は欲しい人材には強くアプローチしてくるし、就活生は「YES」か「NO」かはっきり答えるのが礼儀だと思う。

 中には「内々定って、企業が勝手に出したもの。辞退するときは、返事する必要なんてないでしょ?」という学生もいるらしいが、それは違う。内々定を受けるかどうかは別として、いただいたオファーに感謝し、真剣に回答することがビジネスの基本だ。

 2015年10月より約1年にわたって連載してきた「就活のトリセツ」は、今回をもって、一区切りとする。ここまで読んでくださった皆さんの、納得の就活成功を心からお祈りしたい。またどこかでお会いしましょう。

最終更新:8月24日(水)8時10分

@IT