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買ってはいけない「変わり種投信」 得体の知れないリスクを警戒せよ

ZUU online 8/24(水) 17:10配信

どんな投資信託を買って良いのか分からないーーお客様からそのような相談を受ける機会が増えている。日銀のマイナス金利政策が追い打ちを掛け、深刻な運用難に陥っているお客様は少なくない。

一方で「変わり種投信」が注目を集めている。「グローバル・マクロ」と呼ばれる海外ヘッジファンドが得意とする運用戦略を取り入れた投信や「大災害債券」の投信運用などだ。私の銀行でもそれらの導入を望む声は多い。

■銀行内部でも高まる「ベンチマーク不要論」

変わり種投信の多くには「ベンチマーク」が存在しない。

「投資家の関心は、儲かったか、損したかだ。ベンチマークなんて必要ない」そんな意見が私の銀行内部でも高まっている。絶対リターンを追求するとは、そういうことなのだろう。

しかし、ベンチマークは本当に不要なのか?

残念ながら「ベンチマークの重要性」を理解していない銀行員は実に多い。そんな銀行員に限ってベンチマークは不要と決めつけがちだ。彼らの存在が怪しげな投資信託を助長し、顧客資産を不用意にリスクにさらしているのではないかとさえ思えてくる。

■ベンチマークのない投資信託が増えている

本来ベンチマークは測量に用いる際に「基準となる」水準点を示す用語であった。転じて投資の世界では、運用状況の善し悪しを測る「基準(指標)」を意味する。

国内株式の代表的なベンチマークは、TOPIXである。運用成績がTOPIXを上回っているか、下回っているかでその投資信託の善し悪しを測ることができる。

私は、ベンチマークは「運用者と投資家の重要なコミュニケーションツール」と考えている。投資家はその投資信託を購入するにあたり、ベンチマークに対しどのような大きさで、どのような性質のリスクがあるのか知ることができるからだ。

たとえば、ベンチマークであるTOPIXの下落局面で、投資信託の基準価額の変化は「TOPIXと比較して」大きかったのか、小さかったのか。それを知ることで運用者の腕前を評価することができる。

目論見書にはその投資信託が「何をベンチマークとしているのか」が記載されているはずだ。ところが、最近はベンチマークを設定しない投資信託が増えている。残念ながら、そのことを問題視する銀行員は少ない。

■「何に投資しているのかは分かりません」

結局のところ、儲かればどんな運用でも良いということなのだろう。しかし、銀行が金融商品を販売するにあたり、本当にそんな姿勢が許されるのだろうか。

冒頭で指摘した「グローバル・マクロ」は、株式や債券、金融派生商品などを駆使し、相場の上げ下げにかかわらずプラスの運用を目指すものである。投資家は自分の資金が一体何に投資されているのか分からない。あるときは新興国の債券に投資され、あるときは原油などの商品に投資され、あるときは日本株のカラ売りに投資されるのかも知れない。

そんな投資信託の運用を予想することができるだろうか。

ベンチマークの設定されていない投資信託の買い時、売り時をどのように判断するのか。ましてや今後のパフォーマンスを予想することなど全く不可能だ。あえて言えるのは、その投資信託の過去の成績だけである。しかし、過去の成績が、必ずしも未来の利益に直結しないのが投資の世界だ。

そんな投資信託をどのようにセールスするのだろうか?

「何に投資しているのかは分かりません。でも、過去の運用成果は良いんです。これから先はどうなるか分かりませんが…」あなたはそんな銀行員のセールストークに納得できるだろうか。

■投資の面白さは「自分で考える」ことである

「売れれば何でもいい」そう考えている銀行員が増えてはいないか。

私の周囲でも件の「グローバル・マクロ」を取り入れた投資信託の導入を望む銀行員は多い。それが売れているのなら、是非とも自行で扱いたいということなのだろう。

私はそれが望ましいとは思わない。

なぜなら、それらは我々には分からない「ブラックボックス」の中で運用されているのだから。なぜ運用がうまくいったのか、なぜ運用が芳しくないのかを説明することができないのだ。

投資の面白さ、楽しさは「自分で考える」ことにある。そのためには多くのことを学ばなければならない。変わり種投信を購入することは投資家として「考えること」「学ぶこと」を放棄する行為にほかならない。銀行員も投資家も、変わり種投信に潜む、得体の知れないリスクにもっと警戒を払うべきだ。考えることを放棄してはならない。(或る銀行員)

最終更新:8/24(水) 17:10

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