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2.5次元キャラを実体化 実写版『弱虫ペダル』

オリコン 8月25日(木)7時0分配信

 アニメ化や2.5次元舞台など、多くのメディアミックス展開が人気の『弱虫ペダル』を、ここ数年オリジナルドラマ製作に注力しているBSスカパー!が8月26日より連続実写化する。製作の経緯や背景を長内プロデューサーに聞いた。

舞台版の役者が集結した実写版の1シーン(下写真)

■既存ファン心理に目配りし、舞台版の役者を中心に起用

 これまで2.5次元舞台やTVアニメシリーズ、劇場版アニメなど多くのメディアミックス展開で注目されてきた人気コンテンツ『弱虫ペダル』が実写で連続ドラマ化される。原作コミックは16年7月時点で45巻、累計1500万部を突破するメジャータイトル。高校生の自転車ロードレースを熱く描いた直球の青春エンタテインメントだ。製作はスカパー!で、放送は14年よりドラマを含めオリジナル作品にも注力するBSスカパー!が担う。

「BSスカパー! は11年に放送開始しました。当初はスカパー!がプラットフォームを展開する多数のチャンネルさんのプロモーションの場としてその役割を位置づけていました。しかし、定額制動画配信を含め競合する他サービスとの差別化・独占性を確保していくために、ここでしか観ることができないオリジナリティが必要だという判断から、オリジナルコンテンツ導入で編成強化を図った。それが2年ほど前のことです。新規加入者を獲得するためでもあり、視聴習慣としてスカパー!への定着性を上げるためでもありました」(プロデューサー・長内敦氏/以下同)

 以降、地上波や他サービスでは味わえない独自性を追求。一方、メジャー感のある「強いコンテンツ」へのアプローチも行っていたという。「実は『弱虫ペダル』は、2年前のチャンネル強化の時点から候補として企画を上げていたタイトルでした。有名原作モノには、今回のようにそれを渇望するマーケットがすでにありますから、当然みんな欲しい。競争率は高いです。ただ、自転車で走るシーンが全体の7、8割にもなるような作品では、逆にそのまま実写ドラマで表現するのは難しい。だからこそ、拘った製作ができる私たちにも参入する余地があるのでは、という読みもありました。ドラマ化許諾の企画提案では、パイロット映像を作るなど、熱意と確証をもって説得し、ご理解をいただきました」

 制作は東宝映像事業部、制作協力にドリマックスを配し、監督は『下町ロケット』『半沢直樹』の演出などで知られる棚澤孝義氏。東宝はアニメ版や舞台版でも製作委員会に名を連ねており、今回はいわば全方位でのバックアップ体制の要だという。

「今回のコンセプトの1つは、2.5次元を実写ドラマとして違和感なく3次元へコンバートすること。ですから、あえて可能な限り舞台版の役者さんたちを中心に起用しました。さらに既存のファンの方にシームレスにドラマへ没入してもらうため、主題歌もアニメ版EDと同じ方にお願いしています。有機的に結びついている現状は間違いなく東宝さんの力も大きいです。また、バックアップでいえば、スポーツサイクル専門店のワイズロードさんも、自転車監修としてメンテナンスや技術指導、吹き替えなども担当してくれていますし、各自転車メーカーさんにも協力いただいています。コンテンツ自体の力に、皆が集まってくれている。そういう意味でも、変なものは作れません。正直、プレッシャーはあります(笑)」

 ドラマは8月26日より放送開始。その後9月にはアニメスピンオフシリーズ最新作の劇場限定公開、9月30日からは舞台版の新作公演が開始。さらに17年1月期にはTVアニメ第3期の放送が予定されている。

「2.5次元のお客様がまず望むのは、単なる実写化ではなく、キャラクターそのものの実体化。そこから、やがて演じる俳優さんへと興味が拡大する傾向があります。アニメや舞台というデフォルメされた世界から実写ドラマの表現になったときに、そのあたりのファン心理にも入念に目配りしながら、既存のメディア展開同士を接続し、さらに大きなうねりへと拡大する役割を果たせたらと考えています」(文/及川望)
(コンフィデンス 16年8月22日号掲載)

最終更新:8月25日(木)7時0分

オリコン