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<北朝鮮内部>人民軍の食料難が各地で深刻化 住民の強盗被害も多発(写真3枚)

アジアプレス・ネットワーク 8月24日(水)5時10分配信

8月に入り、人民軍兵士の食料事情が悪化していると複数のメディアが報じている。アジアプレスでは、咸鏡北道に住む取材協力者に依頼し、国境警備隊の食料事情について調査した。(カン・ジウォン/石丸次郎)

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◆規定の30%に満たない供給量、塩もない

北朝鮮国内に独自に情報ルートを持つ米国の「自由アジア放送」(RFA)は1日付けで、清津(チョンジン)市で食料不足に苦しむ部隊員らによる盗みで住民に深刻な被害が出ていると伝えた。また9日にも、新兵のほとんどが深刻な栄養失調だと伝えている。また韓国の「デイリーNK」は8日、軍糧米を過剰に徴発された黄海南道の協同農場で飢餓が発生していると伝えた。

アジアプレスの取材協力者が8月下旬に調査したのは、朝中国境の川・豆満江中流地域に駐屯する、ある国境警備部隊。その分隊長に直接会って話を聞き、周辺の農場の事情を調べた。
「最近では、国境警備隊も『ムクジ飯』を食べているそうだ。 それも1日に200~250グラムほどで、食器一杯もならない量だ。それにジャガイモを混ぜたものしか出せず、若い兵士たちは、空腹で大変辛そうにしていると言っていた。 (国からの)供給がちゃんと届かず、7月からは汁に入れる塩もなくなって、近くの協同農場に行って分けてもらっている有り様だ」。

「ムクジ飯」とは、皮つきの乾燥トウモロコシを米粒大に割ってご飯のように炊いたもののこと。
北朝鮮で軍服務を経験した脱北者は、内部協力者の調査内容について
「『ムクジ飯』は、人民軍隊でも食料が不足した時に食べる物だが、さらに塩までないというなら、兵士の食事は相当ひどいはずだ」と語る。

人民軍の一般兵士の食事は、主食1日800グラムと規定されているというが、分隊長の証言では、その30%程度にしかならない。一食当たりにすると100グラム未満で、それも低質の雑穀である。

◆優待される国境警備隊でも食料難

国境警備隊は任務の重要性から物資供給が優先され、子供が軍に入隊する際、親は賄賂やコネを使ってでも配置を願う「人気部隊」だ。また「副業地」と呼ばれる畑も持つ。そんな国境警備隊の食事が、これほど粗末ならば、人民軍の一般部隊への食料供給は深刻な水準にあることが想像される。

さらに、国境警備隊には特別な「副収入」があった。住民が中国に渡河したり、密輸したりするのを見逃す対価に賄賂を受け取るのだ。かつては「国境警備隊を3年やると家が建つ」と言われるほどだった。

「優待」されてきた国境警備隊の食事事情の悪化の原因について、内部の取材協力者は次のように言う。
「国による食料供給が減らされている上、国境警備隊の不正行為に対する検閲が厳しくなり、密輸や渡河を黙認、幇助して得られる収入が断たれて、飢える者まで出るようになった」。

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最終更新:8月24日(水)5時10分

アジアプレス・ネットワーク