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円高基調いつまで?日本「有効策」見当たらず

ニュースイッチ 8月24日(水)7時59分配信

米大統領選、利上げ焦点

 1ドル=100円前後の円高基調はいつまで続くのか―。少なくとも11月8日の米大統領選までは円高圧力は弱まらないとの見方が市場では支配的だ。米大統領選の行方、さらに米国が選挙後に年内利上げを見通せる経済環境にあるかが焦点になると主要シンクタンクは見通す。ただ海外経済の下振れリスクはくすぶり、円高是正への道筋は“視界不良”。円高は日本単独の施策ではいかんともし難く、堅実に内需拡大を進めるしかないようだ。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「米景気不安が残る中、大統領選前にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切る可能性は低い」とし、大統領選が終わるまでは「円はたびたび上値を試すだろう」と見通す。

 円高が是正されるためのシナリオは「クリントン氏が勝利し、米国の先行き不透明感が払しょくされること。さらに12月利上げがみえてくること」だと分析。仮にトランプ氏が勝つと「疑いなく急激な円高になるだろう」と指摘する。

 三菱総合研究所も「大統領選の結果次第で経済政策や外交政策の大転換も予想される」と選挙後を見通す。

 肝心の米国経済については、「基調としては上昇傾向を維持」(みずほ総合研究所)、「秋以降は米国を中心とする世界経済の緩やかな回復と円高圧力の緩和が見込まれる」(三菱総研)との見方が多く、米国が利上げを決断できる方向に向かうことが期待される。

 ただ、みずほ総研は「今後の海外経済は緩やかな回復を維持するものの、当面力強さにかける状況が続く見込み」と続け、三菱総研も「米国の利上げが金融市場の予想とかい離して進むこと」をリスク要因に掲げ、「市場に『拙速な』利上げと受け止められる場合には、新興国市場や商品市場からの資金流出が再加速し、世界の金融市場が再び不安定化する可能性がある」と警戒する。

 日銀は9月20、21の両日に開く金融政策決定会合で、これまでの政策効果などについて「総括的な検証」を行う。

 市場の緩和縮小観測に対し、黒田東彦総裁は「そうしたことにならない」と観測を否定するが、「(日銀は)市場の予想を大きく上回る対応はもはや困難であり、(総括的な検証が)円安材料としても期待できない」(ニッセイ基礎研の上野氏)との指摘もある。

 為替介入も「日米合意が必要」(元財務官僚)とみられ、日本は事業費28兆円超の大型経済対策を手始めに、構造改革を着実に進める中長期の経済財政運営のほか、有効な施策は見当たらない。

日刊工業新聞経済部・神崎正樹

最終更新:8月24日(水)7時59分

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