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驚安の殿堂・ドンキホーテが負けない理由

ZUU online 8月25日(木)17時10分配信

ドンキホーテホールディングス <7532> (ドンキ)は安売りで消費者に優しい「驚安の殿堂」として知られるディスカウントチェーン・グループだが、最近は訪日外国人の間にもその評判が広まったおかげで、観光名所化もしているという。安くて楽しいドンキは随所に独自の工夫が施された優良企業でもあり、ますます注目を集めている。

■デフレも金融緩和時代も勝ち抜くドンキの強さ

1989年3月に東京都府中市で第1号店を開業したドンキは、2016年6月期まで27期連続で増収増益を続けている。わずか12億円ほどだった売上高は連結ベースで今では7595億円に達し、店舗数も現在では245店に上る。

ドンキのビジネスモデルの特徴は、定番品とともに「スポット商品」を買ってもらいトータルで粗利益を確保する点にある。「スポット商品」とは季節外れや流行遅れになった処分品を安く買い付けたもののことで、その比較的高い利益率で、仕入値の高い定番品の薄利を穴埋めする戦略だ。ちなみに、スポット品はドンキの売上高の3~4割を占めるとされる。

ほかにも圧縮陳列や、オリジナリティの強いPOP(手書きの店頭広告)、迷路のような棚配置など顧客を楽しませる仕掛けとも組み合わせることにより、「いつの間にか粗利益の高い商品を買ってもらう」ことに成功しているのだ。

同社は果敢に買収も行い成長を後押し。2007年に会社更生法を適用され経営再建中だった長崎屋を買収し、MEGAドン・キホーテに転換したことも業績拡大に貢献している。大手総合スーパーだった長崎屋は生鮮食品や生活必需品を数多く揃え主婦やファミリー客が日中に訪れる店舗だった。そこへ若者や深夜に強いドンキのノウハウを投入することにより、グループ全体の客層を広げることに成功した。

■ドンキの強さのヒミツ「圧縮陳列」とは?

ドンキといえば圧縮陳列という言葉がすぐに思い浮かぶ。圧縮陳列とは縦に商品を積み上げ圧倒的な品揃え感を演出する手法だ。

さらに棚を迷路のように配置し宝物を探し出すように店内を回遊しながら商品を眺める楽しさを生み出している。

ドンキはこうした演出により「深夜に買い物ついでに遊びに行く場所」というイメージを作り上げ若者や多忙な会社員から強い支持を受け、ユニークかつ合理的なビジネスモデルとして一世を風靡した。

しかしながら、短時間で必要なものを効率的に購入したい主婦層や落ち着いた雰囲気を好む高齢者への、安さ以外の訴求力は弱く、敬遠されがちだった。また圧縮陳列と迷路にこだわり過ぎ十分な避難経路の確保を怠り、火災事故で死亡者を出す不祥事もあった。

その中で、店舗演出に注目されるだけでなく、安さ、品揃え、買い物のしやすさの面からも消費者の支持を高める動きを強化してきた。


通常のチェーン店の場合、消費者の要望は本部が吸い上げ商品や内装の変更などの戦略を立案し実行に移していく。それに対しドンキでは、品揃えや陳列・広告方法など現場で対応できることは店舗の判断でどんどん進める。

柔軟かつ迅速な対応によりドンキは消費者のニーズを着実に取り込んできた。例えば「パーティグッズが欲しい。」という消費者の声が多くなっていることに現場の担当者が気づき品揃えを強化する店舗が急増した結果、「パーティグッズといえばドンキ」というイメージが定着しハロウィン関連のグッズ売上は5年で10倍以上に拡大した。

ドンキでは、「電気・情報通信・ソフト・自転車」、「カー用品・玩具・バラエティ・ エクステリア」などの商品カテゴリー別の事業部制を採用しているが、これらの事業部に所属するスタッフが店舗の棚を管理する体制を構築している。商品を調達する事業部(本社)と現場の棚を預かる担当者が直結しているため、現場の声をすぐに品揃えに反映できる点が大きな強みとなっている。

■圧倒的な「安さ」と「インバウンド需要」の獲得

ドンキの大原孝治社長は、「安いという概念には『安っぽい・安い・安く感じる』の三段階活用がある。」と述べている。

一番目の「安っぽい」は消費者がバカにする絶対に陥ってはいけない段階。二番目の「安い」は市場経済における競争力の源泉で家計を預かる主婦の支持を得る段階。三番目の「安く感じる」はお祭りやテーマパークで楽しく過ごしたときと同じように高揚感から安さを実感してもらう段階だ。実際の経済価値としての安さに加え気分的なお得感を演出し、消費者に喜んでもらう点にドンキの戦略の特徴がある。

テーマパーク的な楽しさは外国人観光客からも大きな支持を得ている。2015年の訪日外国人数は1973万人だが、その半数程度がドンキを訪れたといわれている。今やドンキはジャパン・ポップカルチャーの一翼を担うともいえる存在だ。

またドンキの特徴の1つでもある深夜営業は日本の若者や会社員層だけでなく、外国人観光客にも支持されている。滞在時間を効率的に使いたい観光客にとって離日直前の深夜・早朝にお土産を買えるドンキは極めて便利だ。コンビニと比べ品揃えも圧倒的に多く一か所で欲しいものをすべて買える点も魅力だ。

このように他の大手小売業と異なるアプローチで安さ、品揃え、楽しさを追及するドンキの快進撃は当面続くのかもしれない。(ZUU online 編集部)

最終更新:8月25日(木)17時10分

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ドンキホーテホールディングス7532
3640円、前日比-50円 - 9月27日 10時5分