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【ファミキャリ!会社探訪(40)】グリーがセカンダリ市場に向け設立したファンプレックスを訪問!

ファミ通.com 8月25日(木)12時2分配信

●“ファミキャリ!会社探訪”第40回はファンプレックス
 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍する各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。40回目となる今回は、ファンプレックスを訪問。
 グリーが、ソーシャルゲーム運営の専門会社として、2015年10月に設立した同社。ゲーム運営の経験があるスタッフを中心に、7つのゲームを運営している(2016年6月末時点)。グリーが培ったゲーム運営のノウハウを結集した“ソーシャルゲーム運営のプロフェッショナル集団”。今回は、設立目的や会社の将来像について、代表取締役社長・下村直仁氏、スタートアップ部・佐藤洋祐氏に聞いた。

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●グリーがセカンダリ市場に参入
――最初に、ファンプレックスという会社はどういった会社なのか、簡単に説明してください。設立された意義は、どういったところにあるとお考えですか?
下村直仁氏(以下、下村) 自分は、グリーの内製ゲームと呼ばれるゲームのプランナーの出身で、アバターなどの女性向けゲームを中心にプロデューサーをしていました。弊社の立ち上げは2015年10月15日で、最初は従業員24名でのスタートでした。現在は150名くらいに増えています。主要事業は、ゲームの運営事業で、現在は7つのゲームを運営しています。従業員の多くは、グリーの内製ゲームの開発・運営経験者です。グリーで長い期間続いているゲームの中には、すでに9年目になるものもあるのですが、我々はそれぐらい長い期間、いわばモバイルゲーム、ソーシャルゲームと呼ばれるものが始まったころから、ずっとゲームを作ってきたわけです。そうした開発や運営のノウハウを、グリー内部のゲームだけではなく、他社のゲームにも活用していくことができれば、新しい事業としてきっとおもしろくなるのではないかというのが、設立された経緯です。

――ファンプレックスはグリーの経営戦略上、発足した面があると思いますか?
下村 昨年ごろから、“セカンダリ・マーケット”という単語がソーシャルゲーム業界では語られるようになりましたが、そういった拡大傾向にある市場に対して、我々の持つノウハウを武器にして斬り込んでみるのがいいのではないか、という考えがありました。順調に新規案件の獲得もできており、設立から半年で売上も7倍ほどになりました。
 実際にほかの会社の方のお話をうかがうなかで感じるのは、人材戦略に紐付いた形で発生するタイプのニーズが多いということです。たとえば、既存ゲームの運用が続くなかで、新規のゲーム開発のために人材をスライドさせたい、というような場合です。“人材をスライド”と口で言ってしまうのは簡単ですが、人材は有限ですから、単純にスライドさせてしまうと、追加の人材を獲得するか、いま運営中のゲームのチームを縮小するか、さもなくばせっかく愛されているそのゲームをクローズするか、といった大きな判断が必要となるわけです。とはいえ、お客様が多いゲームであればあるほど、サービス目線においても、事業目線においても、おいそれと閉鎖するわけにはいきません。そんな中で、先ほどお話ししたような我々の“運営”に関する経験値が、ゲームの運営を引き継がせていただきつつ、さらにそのゲームの価値を守り続ける上で役立てられる、むしろ強みとできる、という気づきの機会をいただき、この事業を立ち上げることになりました。

――グリーで内製ゲームを手掛けていた部署が、そのままファンプレックスになったのですか?
下村 現在のファンプレックスは、全体の6~7割が直接または間接的にグリーの内製ゲームに携わったスタッフ、そして残りの約4割が、新規採用のスタッフとなっています。

――グリーにも内製ゲームを扱う部署があり、それとは別にファンプレックスが設立されたわけですね? 将来的にはどういった相互関係になるのでしょうか?
下村 ファンプレックスは、グリーの新規事業として設立された会社です。基本的には、他社からゲームの運営権などをグループとして取得し、それを100%の内容に仕上げ、運営することになります。内製の部署は引き続き、これまでの業務を続けていくことになります。

――社名の由来を教えてください。
下村 3つの単語の組み合わせた造語です。“fun(=楽しい)”、“function(=機能)”、そしてシネコンなどで使われる“complex”です。ゲームなど、楽しいものを世の中にお届けするためのいろいろな機能が私たちには宿っていて、そうした機能を持った人たちが集まり、複合体として、ワンチームでがんばっている……という意味が込められています。

●ファンプレックスのノウハウは、いわば“秘伝のタレ”
――おふたりは、どういった経緯でファンプレックスに参加することになったのですか?
下村 私は先ほどお話したように、内製ゲームのプランナーであり、女性向けゲームを中心にプロデューサーをやっていました。その後、内製ゲームに関わるチームの規模は250名ほどになり、副部長に就任しました。ゲーム作りに重要な、いわゆる“人・モノ・お金”の管理をする立場です。組織作りや組織的な管理で売り上げを立てていく役回りです。グリーとしてチャレンジするというファンプレックスに興味があるかと聞かれて、「ぜひやりたい」と手を挙げました。そのころは、ゲーム作りからはだいぶ離れていて、人材戦略、組織戦略が中心となっていました。

――なるほど。ファンプレックスでまったく新しい業務を始めた感じではないですね。
下村 そうですね。グリーでやっていた業務が徐々にシフトしていった感じです。

――佐藤さんはいかがですか?
佐藤洋祐氏(以下、佐藤) 私は、内製ゲームの仕事もやりましたが、どちらかというと、外部の会社様との協業でゲームを運営する事業を中心としてやってきました。昨年の5月ごろから進めてきたウェブゲームの運営移管案件も、もともとは外部会社との協業案件ですが、先方もネイティブへとシフトすることを考えていたので、その案件は協業ではなく、グリーの完全内製ゲームとしてやることになりました。それと並行してファンプレックス設立の話が進行していたのですが、ちょうど自分の案件はファンプレックスで進めるほうがいいのではないかと考えました。

――担当案件とファンプレックスの方向性が合致していたと?
佐藤 はい。ピッタリだと思いましたし、お取引先との関係性にも新しい可能性を生む事業だと思いました。

――ちなみに、ファンプレックスという会社は、一般の方にはどのように見えるのでしょうか? たとえば、パブリッシャーとしてグリーの名前が出て、開発・運営としてファンプレックスの名前があるとか?
下村 どちらかといえば、表立って名前は見えないでしょうね。事業の中心は、他社から取得したゲームになりますので、グリー名義のパブリッシングのほうがわかりやすいし、お客様はどこが開発をしているかということは、あまり気にされません。コンシューマー業界における開発会社という認識が近いと思います。

――2015年10月設立から半年が経過しました。先ほど、売上は約7倍と好調のようですが、現場での実感はいかがですか?
下村 会社の設立、運営の引継ぎ・安定化のフローなど、事業の基盤づくりに成功したと思っています。事業会社様に対して、「安心しておまかせください」と胸を張って言える体制を築けました。つぎの半年は、新しい挑戦のフェーズに入ります。いままではウェブゲームの領域でしたが、つぎの半年以内に初のネイティブゲーム移管をやりきるというミッションがあるので、チャレンジしていきます。このチャレンジを通じて、ウェブとネイティブの区別なく、モバイルにおけるあらゆるゲームを運営できるようになることが目的です。

――設立されたばかりの新しい会社ですが、どのような特徴があるのか、お聞かせください。
下村 かなり素朴な会社だと思っています。スタッフからは、お客様に対していいものを届けたい、いいゲームを作りたいという思いを感じます。
佐藤 人という側面では、バックボーンが豊富なスタッフが多く所属していると思います。たとえば、これまでずっとカスタマーサポートの仕事をしてきたけれど、どうしてもゲームを作る仕事をしたいという人が、短期間でゲーム業界人になっていけるような風土があると感じています。
下村 銀行に勤めていた人を採用したのですが、「どうしてもゲームを作りたい」という情熱はありますが、ゲーム開発の“作法”は知りません。しかし、弊社のような会社では、KPIでお客様の反応を見て、それをエンターテインメントやおもしろさのフォーマットに包んだものの作りかたをするわけです。銀行で数字を扱ってきたことにより、そういった意味での相性がよさそうだなと思い、入っていただきました。ゲーム開発の“お作法”は、これから勉強して覚えてもらう必要がありますが、自分でも気づいていないような強みを持っているわけです。情熱と強みを持っている人は大事にしたいし、将来的に「ファンプレックス出身です」と言ったとき、「あの会社の出身なら、ゲームのことをわかっている」と思ってもらえるような会社にしたいですね。

――では、おふたりの経歴について、現在に至るまでの経緯を簡単にお答えください。
下村 新卒でタイトーに入社しました。タイトーを選んだ理由は、当時タイトーは着メロ配信などを行っていたのですが、インターネットとエンターテインメント関連で仕事をしたいと思っていたので、お世話になることにしました。その後、DeNAさんがオープンプラットフォーム化するタイミングでローンチタイトルに関わっていたのですが、実際にお客様の動向が数字で見えるようになりました。そのおかげで、自分たちがやっていることが正しいのか、間違っているのかも数字ではっきりと見えるようになったわけです。その方法はおもしろいし、これなら勝ち筋が見つけられる。それならば、プラットフォーム側にいたほうがおもしろいだろうと思い、転職することにしました。
佐藤 グリーに入る前は新卒から7年間ほど広告代理店に勤めていました。そこでは、セールスプロモーションの仕事をしていたのですが、広告という仕事は、自分の仕事や企画がイマイチでも、クライアントの商品が超一流なら売れてしまいます。それでは、クライアントさんに守られていると感じ、自分で直接ものを作ったり、売ったりしないといけないと思い、転職しました。当時30歳くらいでしたが、責任ある仕事をやりたくて、いろいろと条件を絞り込んでいった結果、グリーに入ることになりました。

――まったくの異業種からの転職だったのですね。
佐藤 転職直後は、当然未経験ですから何もわからなかったのですが、そんな私にとある大型ゲームのプロデューサーというチャンスがめぐってきました。ことの重大さを理解しないまま、なぜか「いいですよ」と即答しました。結果としてはそれが正しかったわけで、それからはずっとプロデューサーとして仕事をしています。

――仕事に関するポリシーというか、仕事観はどういったものですか?
下村 もの作りというのは、やはりつらいことやたいへんなこともあるのですが、その先には、お客様が喜んでくれたり、仲間がゲームをリリースできたりすると、大きな充足感を感じることができます。そこは、作り手冥利に尽きますね。それに、多少たいへんなシチュエーションになったとしても、ある種“祭り”のように盛り上げられるマインドを持てるかどうかが、この業界を楽しめるかどうかに繋がるのではないでしょうか(笑)。楽しいものを作っているのだから、はた目には苦しそうに見えても楽しまないとウソじゃないかな、と。もちろん、楽しむためには、周囲の環境も大事だと思います。
佐藤 私の場合、未経験でこの会社に入り、短期間でプロデューサーになり、苦労しながらいまに至っているので(笑)、予測不能なくらい、意味が分からないようなチャレンジをたくさんしないと、人間は成長しないと思っています。グリーの田中(良和社長)も「1年後の自分が想像できるようではダメだ」とよく言います。想像できる範囲内の挑戦では、成長度合いもたかが知れています。RPGのゲームで、自分の村の周りをぐるぐる回っていてもおもしろくないですよね? いきなりボスを目指すくらいのことをやったほうが、ゲームとは違って、失敗しても得られる経験値はとても大きいと思います。

●ゲーム業界の登竜門になりたい
――どのような人といっしょに仕事をしたいですか?
下村 前のめりにトライできる人、周囲の人たちを大事にできる人、そして、自分から主体的にゲームを作る側に回れる人。自分の成長や「こうなりたい」というキャリアビジョンほど明確なものがなくてもいいのですが、成長に対する意欲が明確にある人がいいなと思います。
佐藤 変化を好む人というのは、刺激を受けるし、いっしょに仕事をしていて楽しいし、さらに弊社の社風にもあっているのではないでしょうか。“いつもと同じ明日を迎えたい”と考えている人は向いていないと思います。

――会社の将来像について、どのような展望をお持ちですか?
下村 個人的な感想ですが、“星野リゾート”を展開している星野屋さんはすごいと思っています。旅行業のなかでは珍しく、不動産を持たずに、代わりに運営という観点から、自分たちのブランドを発揮するに値する場所があれば、そこに投資したり、事業再生したりするわけです。行けると判断したら、自分たちのブランドを注入して収益化しています。そのスタイルは、我々がやろうとしている事業のアッパーバージョンではないだろうか、と。我々も、運営を会社の中心に考えていますから、モバイルやソーシャルゲームの領域において、「運営に関してはファンプレックスがいちばん」と言われたいし、トップランナーでありたいと思っています。
 それから、ゲーム業界の登竜門になりたいと考えています。「未経験だけど、エンターテインメントの領域の仕事がしたい」という情熱と、ある程度のポテンシャルを持っている人を戦力化するのは、グリーがずっとやってきたことです。実際未経験者の採用が非常に多く、勤務の継続期間や満足度も高いそうです。ファンプレックスもその文化を踏襲し、ここに入れば将来的にゲーム業界で飯が食えるよという登竜門でありたいですね。
佐藤 ゲーム業界の裾野を広げていく役割を担えるのではないかと思っています。銀行マンや会計士をやっていたスタッフがいたり、これまではカスタマーサポートでがんばっていたスタッフがいたり、ゲーム制作とは縁のなかった人たちへの間口を広げて、人材を育成し、ゲーム業界へと送り出す過程として、いままでのゲーム業界では採用されなかったような人材が新しい変化を起こすかもしれません。

――現在、転職を考えているクリエイターにひと言お願いします。
下村 とりあえず興味があるなら、飛び込んだほうが早いよと言いたいですね。弊社ではゲーム業界未経験者の採用が多いのですが、直接関係ないように見えても、その人の中にある強みだとか、能力を持っている人たちがたくさんいます。そういう人たちは、まず飛び込んだほうが早いと思います。それも早ければ早いほうが、チャレンジできる回数も増えます。また、飛び込み先の選びかたですが、いろいろな会社と会ったほうがいいですね。面接というのは、自分が選ばれるだけではなく、自分が会社を選ぶ場でもあります。波長が合うとか、ここなら仮に失敗しても仕方ないと思える会社に出会えるまで、転職のドアを叩けばいいのです。絶対に返ってこない“時間”を投資するのですから、納得できる会社に出会うまでがんばってください。
佐藤 “型を破る”ことを率先してやったほうが、将来プラスになると思います。くり返しになりますが、想像できる範囲のことをやっていてもしょうがないし、「よくわからないけどやってみます」というほうが、プラスになることが多いです。型を破るのは難しいことですが、チャンスがあるなら積極的にやったほうが、得られる経験値も多いはずです。
下村 未経験だけど、ゲーム業界に飛び込んでみたいという人たちも、それまでほかの領域で何らかの結果を出してきたはずです。ゲーム業界ならではのスキルコンバートは必要ですが、それまでのポテンシャルには一定以上も価値があります。そういう人たちに、より高い学習効率や経験を積むための環境が準備されている、かなりいい会社だと思います。未経験でも、今後の自分のキャリアに“ゲーム”を加えたいと考えているならば、グリーで約8年かけて磨き上げてきたノウハウを、いかんなくお伝えできると思います。

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<ファンプレックスってどんな会社?>
 グリーがこれまでGREEプラットフォームで培った運営のノウハウを結集し、“ソーシャルゲーム運営のプロフェッショナル集団”として、2015年10月に設立した100%子会社。プランナーやデザイナー、エンジニア、各職種でソーシャルゲームの運営に携わってきたベテランのスタッフを軸に据え、設立から半年余りで、従業員数が早くも150人を超える大所帯へと成長している。ソーシャルゲームを開発・運営している事業者から、ゲームの運営権の取得や移管を行い、運営を継続させる、いわゆる“セカンダリ市場”を主戦場とし、現在では7タイトルの管理・運営を行っている。

ファンプレックス株式会社
●代表取締役社長:下村 直仁 ●設立年月日:2015年10月15日
●従業員数:150名(2016年7月31日時点)
●事業内容:ゲーム運営事業

最終更新:8月25日(木)12時2分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。