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<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題とは何か? (24) 軍抑圧の影響残る ロヒンギャ国内避難民キャンプ  宇田有三

アジアプレス・ネットワーク 8月25日(木)6時1分配信

Q. では、ロヒンギャたちのフラストレーションはどうですか?
A. 2015年10月に訪れたラカイン州のシットゥエー郊外の国内避難民キャンプ(IDP:Internal Displaced Person)を訪れた時に感じたことをお話しします。

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キャンプの治安は基本的に、表だって警察が担っています。でも、キャンプ内に軍の駐屯地がありました。何か問題(2012年のような騒乱状態)があれば、軍が出動する態勢が整っています。やはり軍が威圧するシステムは残っています。

国内避難民キャンプの管理事務所の中に掲げられている写真は、独立の英雄「アウンサン将軍(アウンサンスーチー氏の父親)」と前の独裁者「タンシュエ上級大将」です。これには驚きました。

2011年テインセイン大統領の下民政移管したミャンマーは、軍の最高司令官はアウンミンフライン上級大将になっていました。形だけの民政移管といっても、すでに5年経過していましたし、スーチー氏が率いるNLD党が野党として発言力を持っておりました。それでも現地の人びとは、軍部の実権はタンシュエ上級大将が握っていると思っていたようです。だからこそタンシュエ上級大将の写真を飾っているのです。それほどロヒンギャたちは軍部によって抑えつけられていたのです。

そこで私が感じたのは、もしこれを一般のビルマ人やラカイン人が見たら、軍の暴力で国民を抑え込んでいたタンシュエ上級大将の写真を飾っているということで、さらにロヒンギャたちが新たに差別に晒される理由になるのではないか、と。

キャンプ内は、一見すると穏やかに見えますが、それは軍の力を背景に抑えつけられた平穏さです。でも、これ以上抑えつけられる状況が続くと、徐々に高まった不平や不満は、国内の一部の武装勢力や海外のテロリストグループ、さらに国内外の麻薬組織と結びついて(実際、起きつつあります)、爆発する恐れもあります。それがまた、社会の平穏を乱すロヒンギャとして報道されることも懸念されます。

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最終更新:8月25日(木)6時1分

アジアプレス・ネットワーク