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電子マネー新幹線延伸見据え導入進む 首都圏観光客ニーズ、福井

福井新聞ONLINE 8月25日(木)18時0分配信

 現金を使わず買い物ができる「電子マネー決済」に必要な端末を導入する動きが、福井県内の店舗で広がっている。2018年福井国体や北陸新幹線の県内延伸に伴う交流人口の増加を見据え、キャッシュレス決済に慣れた都市部の観光客や、ポイントがたまる「お得さ」を知る消費者のニーズに対応する狙いだ。簡単・便利なカード決済による消費機会の拡大は、事業者側にとって集客や客単価アップにつながり、地域経済へのプラス効果が期待される。

 8月中旬、お盆休みでにぎわう福井市のハピリン1階。福井の名産品など販売の「かゞみや」福井駅前店ではイコカやナナコ、クイックペイなどの電子マネーで次々と買い物をする帰省客らの姿が見られた。

 同店では売り上げベースで約20%が電子マネーを含めたカード決済という。木瀬將盛店長は「会計のスピードが上がり、レジ待ちが短縮できる」とメリットを強調。「リピーターや新規のお客さまをつかむためには、欠かせないツール」と話す。

 大手カード会社の13年調べでは電子マネー、クレジットでの支払いは全国平均で43%に上る。北陸3県では22%で、福井県は10%台の後進県だ。それでも県内ピザ店「テキサスハンズ」の寺尾聖一社長は、北陸新幹線の県内延伸を契機に交通系の電子マネーが広がると予想し、「福井でも確実に伸びる」とみる。「今のうちから電子マネーになじんでもらい、使える店として認知を広げたい」と、7月末から全店舗に端末を導入した。

 北陸新幹線金沢開業の効果で観光客が増えている店舗でも端末導入が相次ぐ。丸岡城に近い一筆啓上茶屋(福井県坂井市)は、8月末から土産物店で取り扱いを始める。カードが使えないことで、観光客が手持ちの現金を勘案して一部商品の購入を取りやめるケースもあり、岩田龍見社長は「お客さまのニーズに応じ、利便性を高める必要があった。客単価のアップも期待できる」と話す。

 関東圏からの観光客が増加しているラブリー牧場みるく茶屋(同県勝山市)も近く端末を稼働させる。人気のソフトクリームを求め、繁忙期には長蛇の列ができる状況で、松本忠司代表は「利便性が増せば、県外のお客さまへのおもてなしにもつながる」。

 福井銀行は事業者側の利点として「カード決済は、現金利用より客単価が1~2割アップする」と説明。同行のクレジットを含めた電子マネーの新規加盟は4月以降、飲食店を中心に映画館や美容院、医療関係など21事業者・37店舗に上る。9月以降も県内の多業種で新規加盟の動きが活発で、キャッシュレス決済の普及は加速しそうだ。

 ■端末、運用コストで迷いも

 一方、コストの問題で端末の導入に慎重な姿勢を見せる事業者もある。

 電子マネーとクレジットが使える端末は11万~13万円程度。福井市内の飲食店経営者は「導入したいが、負担が大きい」とこぼす。さらにカード決済には数%の手数料が発生する。福井銀の藤田進一カード事業統括は「端末の必要性は感じながらも購入や運用のコストから小規模事業者の中には、導入を断念するケースも多い」と指摘する。

 ただ低金利下で個人の資産運用が難しい時代にあって、県内でもポイント還元率が高い電子マネーの利用者は増加すると見込まれる。ある美容関連の事業者は決済手数料分を補うため、料金を若干値上げして対応。カード決済でポイントをためる顧客は多く、そのニーズに応じた上で、収益性を確保する。

 藤田統括は「クイックペイやナナコなどのポイントをためる客層を取り込める可能性が高まる。電子マネーは日常生活に浸透しつつあり、“使える店”が選ばれる傾向は強まる」と説明している。

福井新聞社

最終更新:8月25日(木)18時0分

福井新聞ONLINE