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琢磨、予選3番手を活かせなかったクラッシュの原因

オートスポーツweb 8/25(木) 12:28配信

 ペンシルベニア州ポコノ・レースウェイでのインディカー・シリーズ第14戦は、今シーズン2回目のスーパースピードウェイでのレース、ABCサプライ500だ。AJフォイト・レーシングにとっては、チームのメインスポンサーとなって12年目のABCサプライがレースのタイトルスポンサーも務めている。

■事前テストが好グリッドを生む
 そんな重要なレースで佐藤琢磨は予選で3位に食い込む大活躍を見せた。たった1回のプラクティスではトップ10にも入れていなかったが、事前テストで得られたデータも活かし、予選用のマシンセッティングはハイレベルなものに仕上げることに成功したのだ。

 琢磨は少しの運にも恵まれていた。オーバルでの予選アタック順はくじ引きで決めるのだが、チームメイトのジャック・ホークスワースより後で走れる順番を引き当てていた。その上、互いのアタック順が少し離れていたため、ホークスワースの走行レポートを聞いてからセッティングの最後の部分を検討し、マシンに調整を加える余裕も与えられていた。

 琢磨のアタック順が回ってくると、コース上空が雲に覆われた。路面自体と、路面に近い空気の層は少しだが温度が下がり、空力コンディション良化でコーナリングスピードがアップした。

 2013年にポコノがインディカーのカレンダーに復活した時、琢磨は予選で4位に入っている。今回の3位はポコノでの予選ベストリザルトとなった。予選3位は今シーズンのベストでもある。

「少し安全目にいったセッティングでジャックの走りが安定していたので、自分たちは予定していたダウンフォース量でアタックした。マシンはとても安定していて、走っていて気持ちが良かった。ダウンフォースはもっと削れたほどだった」と琢磨は笑顔で話していた。

■レース用セッティングを変更へ
 ところが、予選後の夕方に行なわれたプラクティスファイナルで、琢磨陣営は再び厳しい状況へと引き戻された。レース用セッティングでのマシンがスピードも安定感も欠いていたのだ。

 日曜日の午後3時過ぎにスタートするはずだったレースは、午後2時頃から降りが強くなった雨により、月曜へと順延された。

 月曜日は朝から快晴に恵まれた。しかし、風が強く吹き、スタート時刻が近づいても気温は摂氏20度に届いていなかった。昨日の雨で路面に載っていたタイヤラバーはすべて押し流されているうえに低温と強風。風向きは予選日とは逆だった。

 レースコンディションは、前日に予想されたものより更に一段と厳しいものになっていたわけだ。当然、マシンセッティングの再考、調整を各チームとも行ってマシンをグリッドに並べた。

 正午過ぎ、ABCサプライ500のスタートが切られ、幅の広いメインストレートを出場22台は一斉にダッシュしていった。ポールシッターのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)と、予選2位のジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)がトップを争う。そのすぐ後ろで琢磨は予選4位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)のアタックを退け、3番手を保って1周目を終えようとしていた。

 ニューガーデン、アレシンの順で最終コーナーのターン3に進入。彼らとほぼ同じ間隔を保って琢磨が続いていた……のだが、ここで彼は突然スピンし、1回転と少し回ってノーズ側からセイファーウォールに激突した。かなり激しいインパクトだった。琢磨の身体が心配されたが、14号車から彼はコクピットから脱出。インディカー・セイフティ・チームの救急車まで自力で歩いていった。

■琢磨が語ったクラッシュの原因
「一切の予兆なしにリアのグリップが失われ、マシンはスピンし、ターン3出口のセーフティバリアに激突しました」と琢磨は振り返った。

「最後のプラクティスの時と今日とではコンディションが大きく違っていました。風の影響についても話し合っていたし、ダウンフォースを増やす必要性を検討していました。突風を心配する声もありました。しかし、今回のスピンは突風などによるものではなかったんです」

「レース後にいろいろと調べてわかりましたが、マシンのウィングセッティングが間違っていました。計算ミスがあった。一昨日のプラクティスで遅かったから、フロントにもっとダウンフォースが必要だということになって、ウィングを立てていって、さらに大きめのガーニー・フラップを端から端まで着けました。そうしたらグリップが上がり過ぎてしまった」

「想定よりも3.5パーセントもダウンフォースが大きくなっていました。普通、僕らは0.2パーセントぐらいの話をしているというのに、3.5パーセントも違っていた。スピンして当然でした。フェニックスでの予選でクラッシュしたのも、提供されていたエアロの計算が間違っていたためだったけれど、あの時のズレは2パーセント。今回はそれより断然大きい3.5パーセントも違っていました」

「プラクティスではウイングのメインプレーンの後ろ側で空気がストールしちゃっていたようで、ダウンフォースを増やすべくガーニーを着けた。そのためにウイングのメインプレーンの角度を寝かせる必要があったんだけれど、普通は寝かせたらダウンフォースが減るのに、今回はストールしてた空気が流れるようになったものだら、寝かせたことで逆にグリップは増えてしまった。そこに大きなガーニーまで装着したので、ダウンフォースが必要な量を遥かに越える大きさになってしまっていた」

「スタート直後のターン1で“フロントの食いつきが良いな”と感じたから、ターン3に入る前にツールでの調整はしなかった。そうしたら、フロントばっかりがグリップするマシンになっていたため、リヤが突然スパーンと流れてしまいました」と琢磨は説明した。
 
 予選3位から優勝争いを……という希望は僅か1周目にして破壊された。4位走行中の終盤に追突されたミド・オハイオ。そして今回と不運なレースが続いてしまった。

 今週末は順延となったテキサス戦。248周のうちの71周が完了しているファイアストン600は、残り周回数が今週末に開催される。琢磨はレース中断の時点ですでにラップ・ダウンに陥っているため、厳しい戦いになる。早い段階でのリードラップ復活を何とか実現し、上位へと食い込んで行きたいところだ。

「ポコノでも得られたデータを基に、6月に走った時とは異なるセッティングをトライします。良いマシンが作れるものと楽しみにしています」と琢磨はテキサスへの意気込みを語っていた。


[オートスポーツweb ]

最終更新:8/25(木) 12:32

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