ここから本文です

次回零式は「総合的に難度を下げたい」! 『FFXIV』吉田氏インタビュー【gamescom 2016】

ファミ通.com 8/26(金) 0:02配信

文:ライター Mainai、取材・撮影:編集部 古屋陽一、取材・撮影:編集部 工藤エイム

●“スキル回し”に関する今後の方針も明かされた
 正式サービスを開始して以来、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)はgamescomに毎回参加しており、『旧FFXIV』時代を含めると今年で6回目の出展。世界を代表するMMORPGのひとつとして本作は円熟期を迎えつつあるが、年末には日本、北米、欧州で2年ぶりとなるファンフェスティバルが開催されるなど、その人気は一向に冷める気配がない。そんな『FFXIV』の直近の展開を、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に直撃。大型アップデート“パッチ3.4”の情報公開スケジュールや、機工城アレキサンダー“最終章”となる次期高難度レイドのコンセプトなどを、短時間ながらお聞きすることができた。

――それでは、インタビューの模様をご覧いただこう。

●gamescom 2016出展の手応えは
──それにしても今年の『FFXIV』のインタビュールームは、去年とは趣の異なる内装ですね。

吉田直樹氏(以下、吉田) ドイツのマーケティングチームが精力的に『FFXIV』のために動いてくれていて、ヨーロッパのデータセンターを去年開設したこともあり、ドイツにおけるプレイヤー数が尋常ではないほど伸びています。今年は、機工城アレキサンダー律動編の第3層をイメージした内装にしますと担当者が報告していたのですが、実際に会場で仕上がりを見てみると、よくできているなと(笑)。

──ドイツのPRチームの主導で設営されたのですね。

吉田 そうです。去年のgamescomは『蒼天のイシュガルド』リリース直後の開催だったせいもあり、当時の彼らはイシュガルド教皇庁の執務室をイメージした部屋を作りました。それがほかのチームをいたく刺激したらしく、今年はスクウェア・エニックス各インタビュールームも凝った内装になっているようです。

──ふつうは会議室のような場所でインタビューさせていただくことが多いのですが、ここまで凝った内装の部屋ははじめてかもしれません。

吉田 今回は、スクウェア・エニックスのほかのタイトルもぜひご覧ください。でも、そんなことに予算を遣いすぎないでほしいと釘を刺しているので、うまくやっているようです(笑)。

──やはり凝ったぶんだけ費用がかさみそうです。

吉田 『FFXIV』の場合は、映画の小道具を作っている会社さんに(割安で)貸し出してもらっているようなので、実際はそれほど(予算は)掛かっていないと現地スタッフが話していました。プレイヤーのみなさんからいただいた大切な利益を予算として使わせていただいているので、ちゃんと遣わないと申し訳が立ちませんしね。

──gamescomへの出展は何度目になりますか?

吉田 僕が『FFXIV』を担当するようになってからカウントすると、新生版の初出展が2012年で、今年6年連続6回目ですね。

──プレイヤーの反応はいかがでしたか?

吉田 まだ今日はビジネスデーなので、(明日以降の)金曜、土曜、日曜が本番なのかなと。ただ、熱気が年々増しているのは参加するたびに感じます。ファンベースのPCゲーム/コンソールゲームのイベントとしては、gamescomが世界最大でしょう。双方のプラットフォームで遊んでいる方々がヨーロッパ中でこれほど多く存在することを感じられる、有意義な催しです。コンソールゲームをメインで作っている僕としてはすごくうれしいですし、その勢いをいろんなところに伝えられればなとも思っています。

──金曜から日曜までの期間で、プレイヤーと交流して感触を掴む感じですね。

吉田 ファンギャザリングという、プレイヤー主導のファンミーティングをスクウェア・エニックスがサポートするかたちで長年開いてきたのですが、それのgamescom版が明日(金曜)行われます。500人以上の応募があったそうなので、こちらも最大規模ですね。僕も顔を出す予定です。

──サプライズ出演されるのですか。

吉田 gamescomに合わせてファンギャザリングを行うのですが、毎年出席しているから、「どうせ今年も来るんだろ」と思われている気がします(笑)。今年は、スクウェア・エニックスとTurtleのブースが合わせ鏡のように隣接していて、その中間にエオルゼアカフェぽい雰囲気の場所が用意してあります。『FFXIV』は超巨大なスペースになっていて、3年前にリリースしたゲームではありますが、いまだ健在であることを内外にアピールできていると思っています。

──ドイツでも『FFXIV』は相変わらずの人気ぶりでビックリしました。

吉田 ありがとうございます。今日はまだ一般の方は、抽選を勝ち抜いた人しか入場できないので、(本当の盛り上がりは)これからだと思います。


●スタッフ全面協力のもと会場でプロポーズを敢行した男性も!
──欧州のプレイヤーの方々に、吉田さんはどのような思いを抱いておられますか?

吉田 ヨーロッパとひと口で言っても、たくさんの国がありますので、やはり国ごとに国民性がまったく違います。ドイツはすごく熱いしフレンドリーですね。「いっしょに写真を」みたいなお願いだけでなく、「『FFXIV』のタトゥーを彫ったから見てくれ」という方もたくさんいますし。グローバル版全体で言えることですが、ほかのMMORPGと比較して、女性プレイヤーもすごく多いです。ガチでレイドダンジョンをプレイされている女性の方もたくさんおられます。実際、バトルチャレンジの様子をさきほどチラッと見たのですが、ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦をプレイされていた3人の女性はすべてガチの方々でした。「“真”は簡単すぎてつまらないわ」みたいな余裕の表情を浮かべているのを見て、すごいなと(笑)。

──(笑)。ゲーム外の交流の頻度は、日本よりも上なのでしょうか?

吉田 その場で集まったプレイヤーどうしでいっしょにコンテンツをプレイして、無事クリアできて歓声を上げた後、仲良くなって連絡先を交換し合う光景は頻繁に見受けられます。日本では、あまりそういうことにはならないですよね。以前よりも歓声やガッツポーズが出るようにはなったのですが、さすがに連絡先の交換までそう多くない印象です。

──ちょっと危ない感じがするので……。

吉田 イベントで仲よくなる方もいるので、皆無ではないですし、そんなことないんだけどなぁ(笑)。

──(笑)。個人的に気になるのですが、ヨーロッパの方でエオルゼア婚(『FFXIV』で出会った男女が実際に結婚すること)した方はいるのですか?

吉田 今日、『FFXIV』ブースでプロポーズされた方がいましたよ。男性からの告白文を事前にお預かりしておいて、ステージに立つMCがサプライズで読み上げ。いっしょにいた女性の方が「もしかして私のこと?」と気づいた瞬間、エターナルバンドの映像をスクリーンで上映し、それに合わせて男性がプロポーズする……という流れでした。

──スタッフの方たちがプロポーズに全面協力されたのですね。

吉田 そうですね、ドイツオフィスの粋な計らいです。僕も運よく立ち会えましたが、周囲の観客たちも大歓声と大拍手で、皆うるうるきてましたね……。プロポーズされた女性も感激して、しっかり男性の気持ちを受け取ってくださいました。

──素敵なお話ですね!

吉田 今春のPAX EASTでも、『FFXIV』で知り合った男女がフリーカンパニーのメンバーといっしょに来場されて、セフィロト討滅戦のバトルチャレンジに挑戦されていました。(男性の方が)「勝ったらプロポーズする」と話されていて、そのときも僕はその場にいたのですが、無事にクリアして指輪を渡した後、みんなで写真を撮ってお祝いしました。

──指輪の受け取りを拒まれたら大変なことになっていましたね(笑)。

吉田 フリーカンパニーの面々がかなり気合を入れて準備していたせいか、(プロポーズされた女性は)まったく戸惑う様子はありませんでしたね。

──海外ではそういうプロポーズをされる方が多いですね。

吉田 そうですね。僕たちの側としてもできるだけ協力したいので、どんどん言っていただければと。


●新たな“新式装備”には武器も含まれる!
──それではゲームに関する質問に入らせていただきます。8月27日に“14時間生放送”がオンエアされますが、そこで新情報の発表はあるのでしょうか?

吉田 基本的にはパッチ3.4に関する内容になります。

──どの程度までお話しされる予定ですか?

吉田 “14時間生放送”ではパッチ3.4で実装予定のコンテンツをすべて発表します。中身などの詳しい解説は部分的にしか行わないので、実機などでコンテンツをご紹介するのは、別のタイミングを作るつもりです。

──では、パッチ3.4特集は、2回に分けて行われるのですね。

吉田 はい、その予定です。

──前回のパッチ3.3で、メインシナリオが一応の完結を見たと思うのですが、今後の物語はどのような展開になりますか?

吉田 正確に言えばパッチ2.4くらいから始まっていたイシュガルド編が、パッチ3.3で予定どおり完結しました。(パッチ3.4では)さらにつぎの展開に向けた新章が開始されます。これまでのメインシナリオで伏線が張り巡らされてきた闇の戦士たちを中心に、物語が新しい方向へガラッと動くきっかけになります。

──パッチ3.4で、つぎの高難度レイドダンジョン向けの“新式装備”が追加されますが、こちらの製作難度はどれくらいでしょうか?

吉田 どうでしょう(笑)。難度の感じかたは人によって変わるので、何とも言えないところです。僕としてはパッチ3.2と同じくらい比較的作りやすくして、どんどん売ってもらおうとは思っています。そうすれば値段がある程度で止まるので、バトルコンテンツをメインでプレイしている人も購入しやすくなりますし、売れることがわかればみんな作り始めるため供給量も増えます。目指しているのはパッチ3.2のころと同じで、みんなが“新式装備”を買って、ガチで禁断のマテリア装着を行ったうえで、(高難度レイドダンジョンに)挑みたい人は早期攻略に着手する……という流れを作ろうと思います。ちなみに今回の“新式装備”には武器も含まれます。

──おお!

吉田 これまでは性能の高い武器は強力になりすぎる可能性があり、クラフターレシピに追加してきませんでした。今回はテストケースも兼ねて、いわゆる“新式武器”を実装しますので、ぜひ禁断した武器も振り回していただければと思います。

●次期“雲海探索”はパッチ3.5で実装へ
──ディープダンジョン 死者の宮殿(以下、死者の宮殿)では、レベル上げ/金策/武器の収集が同時に行えます。復帰者にとても便利なコンテンツですが、今後のアップデート計画をあらためて教えてください。

吉田 死者の宮殿に関しては、パッチ3.45で予定どおりフロアの追加を行います。100階まではいまの難度くらいで遊べる作りですが、101階から200階までは完全にチャレンジコンテンツなので、ガチのプレイヤーでなければクリアできないと思います。

──アチーブメントなどの報酬は用意されますか?

吉田 自慢できる要素は用意してあります。あとはジョブ別のスコアランキングが開始されるので、やり込む方はぜひワールドナンバーワンを目指していただければと(笑)。

──あくまでも自慢できる要素ですね。

吉田 はい。200階の報酬は強さに(影響が及ぶようなものに)はしてありません。ですので、ガチで挑戦してみたいという方に合わせた難度になっているのです。

──クリアにはかなりの時間を要しそうです。

吉田 シナリオは100階まで用意してあるので、物語を楽しみたい方はこれまでどおりのペースで遊んでいただければいいのではないかなと。

──ディアデム諸島の拡張をパッチ3.4以降で実施すると以前のインタビューでお話されていましたが、こちらのスケジュールに変更はありませんか?

吉田 開発チームが継続的にコツコツ作っているのは、既存のディアデム諸島のアップデートではなく、別の探索コンテンツです。こちらは、“ディアデム諸島”のリリース後、プレイヤーから寄せられてきたフィードバックを加味したうえで開発された、まったく新しいものになります。従来のものとは遊びかたが大きく異なるのですが、規模があまりに大きいために制作が難航していまして……。巨大ボスみたいなものもいるので、ごめんなさい、パッチ3.4には間に合いませんでした。本来だとこの新しい探索コンテンツの実装により、ディアデム諸島は役割を終えるはずでした。結果、新コンテンツの開発が長引き、ディアデム諸島を放置しすぎている状態になってしまったので、パッチ3.4で既存のディアデム諸島にもいくつかのテコ入れを行います。

──どのような調整が行われますか?

吉田 たとえば、バトルを楽しみたい方と採集活動を行いたい方に応じて入口を分けたうえで、リワードの入れ替えも行います。また、それなりにおいしくなるような調整も同時に加えるので、パッチ3.4公開のタイミングでもう一度ディアデム諸島に行ってもらえればと思います。新しい探索コンテンツのリリースはパッチ3.5になると思うので、その間、既存のディアデム諸島のアップデートを楽しんでいただければなと。

──吉田さんは以前のインタビューで、パッチ3.5までのタイトルが決まっていることも話しておられました。

吉田 はい。

──パッチ3.6のタイトルは決まっているのしょうか?

吉田 そのご質問はうまいですね(苦笑)。『FFXIV』の場合は2年くらい先まで決めたうえで進めているので、つぎの拡張パッケージもそうですが、すでに決めてある事柄はかなり多いです。この質問にはどうお答えしても、いろいろなスケジュールが見えてしまうので、内緒にさせてください(笑)。


●次期拡張パッケージ発売に合わせてスキル回しの簡易化を図る

──つぎの機工城アレキサンダー零式のコンセプトについて、起動編や律動編から何か変更される部分や注目すべきポイントはありますか?

吉田 総合的な難易度を、これまでの零式よりも下げる予定です。

──それは誰でも楽しめるものになるという意味でしょうか。

吉田 誰でも、は語弊があると思います。それでは難易度ノーマルの意味がなくなってしまいます。高難易度レイドであることには変わりがありません。ただ、大迷宮バハムートを全層クリアできた方たちであれば、その当時と同じくらいのタイミングで初踏破できるように、とは思っています。ギミックが難しいものもあるとは思うのですが、それ以上にいまのレベル60のスキル回しが難しく、ギミック処理と同時にDPSを高く維持することに、プレイヤースキル差が開いています。皆さんのログを解析していると、はっきりその傾向が見えます。

──と言いますと?

吉田 みなさんはギミックへの対応はできているのですが、同時に、瞬時の判断でレベル60のスキル回しを維持してDPSを出し続けることに苦労しているようです。何しろ、プレイヤー間の(DPSの)差がすごい開いてきているので……。できる人にはできる、しかし、苦手な人には相当難しい。ギミックとDPSローテーションの瞬時判断、この双方の両立が可能な方々は機工城アレキサンダー零式:律動編をしっかりクリアできているのですが、そのメンバーを8人揃えるというのがやはりネックになっていると思います。データから判断すると、装備のアイテムレベルが上がり、その分DPSが向上しますが、それだけでは(その状況を打開することは)きびしそうだ、というのがデータ分析の結果です。

──なるほど。

吉田 だからと言って、いまからレベル60のスキル回しを全部変えるようなことは不可能なので、今回はコンテンツ側の難度を、そこまできびしいスキル回しを要求したバランスにしないように心がけます。ギミックを覚え、それを回避しつつ、ランダム要素にも対応したうえで、たとえば蒼の竜血をどこで放出するのかとか、エノキアンの更新タイミングをあえてずらす……というプレイヤースキルの部分は、瞬間判断要素が多く、このあたりがDPS差に大きく繋がっています。

──つまり、プレイヤースキルに依存しすぎていたと。

吉田 はい。基本的に2.Xシリーズまではスキル回しが単純だったので、ギミックを処理しながらDPSを維持することが比較的容易でした。加えて当時は、モンク以外“何かバフが落ちると、DPSもガクッと落ちる”というシビアなアクションもさほど多くありませんでした。モンクは当時から“疾風迅雷”がキモで、そういうジョブだったのですが、いまはどのDPSジョブにも何かしら似た要素があります。工夫の余地ではあるのですが、工夫の難度が高かったと考えています。

──難度を下げる措置は、今後も継続されていくのですか?

吉田 確定ではありませんが、ちょっといまのスキル回しは難しすぎると思うので、つぎの拡張パッケージではジョブ全体において、操作難易度は一段扱いやすくするつもりです。3.Xシリーズ中にそれらの変更を行うことは時間的に不可能なので、今回はコンテンツ側の難度を抑えることにしました。ただ先ほどもお話ししましたが、あくまで“高難易度レイド”ですので、苦労する方はいらっしゃると思います。そのあたりはアイテムレベルの補正で解決していければなと。

──難度以外の面での見どころはどのへんでしょう?

吉田 機工城アレキサンダーのストーリーが完結する点についても注目していただきたいです。ご存知のとおり今回は時間を扱った物語なので、“時間を操る”ということをMMORPGのコンテンツとしてどう見せるのか……という部分にご期待いただければと。企画担当もデザイナーたちもけっこう大胆にやっています(笑)。


──そうした時間の要素をコンテンツ内に取り込んだ理由も、プレイヤーにより楽しんでもらいたいという思いからですか?

吉田 機工城アレキサンダーの“時を扱う”部分がシナリオで語られるだけでは、本当の意味でのゲーム体験にはなりません。“時を扱う”アレキサンダーの側から見れば、敵である冒険者を排除する際に時空をゆがめる手段を用いないはずがありません。バトルコンテンツとしてちゃんとそれが消化できていないと、単に設定としてあるだけの状態になってしまう……というのが開発担当者たちの想いです。

──ストーリーの筋を通すために苦心されているのですね。

吉田 みんなノリノリで作っていたので、苦しんでいる感じはなかったです。ノリノリだった分、実装には苦しんでいたようですが……とくに見せかたで苦労するデザイナーかなと(笑)。最後はド派手になっているので、サーバークライアント型のゲームでも工夫すればなんとかなる、という部分を見ていただけるとうれしいです。

──レイドファインダーの活用状況はどのような感じですか?

吉田 使用状況でいえば、機工城アレキサンダー零式:律動編の1層と2層はものすごく活用いただけている一方、3層以降のマッチングの頻度はやはり格段に落ちます。ただし、3層はやはり挑戦できる人自体が少なく、さらに難度も格段に高いので、ある程度は仕方ないかなと思っています。僕としては1層と2層でこれだけ使ってもらえれば、十分に実装初期の役割は果たしてくれていると考えています。パッチ3.5までお待たせしてしまいますが、ワールドを超えたパーティ募集の機能が入るので、それが実装されれば、自然とそちらを使っていただけるようになるのではないかなと。

──今後に向けての改善点をお聞かせください。

吉田 レイドファインダーは条件設定のできるマッチングシステムですが、データを参照したうえで、あまり使用頻度の高くない条件をなくしてしまう予定です。条件があるだけで、マッチング頻度に影響するので、使われにくいものはなくし、条件の合致を少しでも多くするためです。

●『FFXV』とのコラボイベントも将来的に実施予定
──ヨーロッパでは、ドイツがいちばんプレイ人口が多いのですか?

吉田 新生のローンチから昨年まで、ヨーロッパの主要3国であるイギリス、フランス、ドイツの中では、もともとドイツがいちばん『FFXIV』のプレイ人口は少な目でした。PC大国であり、MMORPGにも理解のある国なのに“想定数をかなり下回る”という判断でした。以降、ドイツスタッフたちが、先ほどお話ししたファンギャザリングの活動を草の根で進め、PRやマーケット施策を粘り強く行ったところに、昨年欧州にデータセンターを設置したことで、一気に花開いた感じです。ヨーロッパ全体が好調ですが、その中でもいまはドイツがユーザー数トップです。いまでもすごい勢いでプレイヤーが増えています。ドイツオフィス、コミュニティチームの努力と、データセンターによるレイテンシー改善の相乗効果ですね。

──スタッフのみなさんの努力が実ったわけですね。

吉田 ドイツのマーケティング/PRチームのスタッフ、そしてコミュニティチームは、本当によくやってくれたと思います。地道な活動をひとつずつ積み上げて、コミュニティの強化を図ってくれました。その甲斐があって、gamescomでは年々『FFXIV』のブースは盛り上がりが大きくなっています。

──ヨーロッパでの人気を継続するに当たって、気を付けている点は何でしょう?

吉田 欧州だけに絞って何かに気を配るようなことは基本的にありません。PR素材などは国や地域別に好む色合いや雰囲気が異なるので、それらを棲み分けして作っているくらいでしょうか。

──ワールド全体を意識されていると。

吉田 そうですね。とはいえ、ヨーロッパ/アメリカ/国内向けの施策はそれぞれ違うので、各地域のスタッフからアイデアを出してもらって、それに対してこちらがNGやOKを出したり助言したりするという方式を採っています。どの地域もがんばっているなか、とくにドイツのスタッフは草の根の活動が実を結んだ印象を強く受けています。いまは逆に、イギリスとフランスのチームに「あれ、ドイツに抜かれたけど……?」と言っていて(笑)。もともと欧州では、フランスがもっとも『FF』シリーズの人気が高いのですが、MMORPGの浸透がいまひとつで……。コミュニティそのものは強力なので、そこの結び付けを押し進めたいところです。

──イギリスの現状はどうでしょうか?

吉田 スクウェア・エニックスの本部がロンドンにある、言わば“お膝元”なのに! と煽っています。もちろん、どの国のマーケティングもPRもがんばっているので、あとは地域別の尖った施策の一方で、コミュニティを強化していく施策も地道にしっかりやっていきたいです。

──“お膝元”といえば、日本についてはいかがですか?

吉田 国内は新規の方がすごく増えています。じつはプレイを開始してからの継続率は、日本がいちばん長く、平均プレイ月数は世界でナンバーワンです。

──ロイヤルティもやはり……。

吉田 いちばん高いです。ただし日本はMMORPGとしての市場規模が圧倒的に小さいので、新しい世代の人たちをちゃんと迎え入れていかないと、このまま安定期に入ってしまいます。MMORPGが持つ宿命として、絶対的な“飽き”から逃げられないものですが、それでも丸3年以上プレイされている方は日本がいちばん多いです。そうした方々に満足していただけるエキサイトメントを作りつつ、新しい世代のMMORPGプレイヤーを増やすこと。そして、休止している方に対しても、拡張パッケージの発売を機に「『FFXIV』はすぐに戻れるから復帰しよう」と思ってもらえるようにしていきます。

──新規プレイヤーが増えた要因は何でしょうか?

吉田 この夏に打ち出したPR系の企画は、すべて新規の方を意識したものです。また、ダイレクトマーケティングもゲーマーに限定していない方面に(PRの範囲を)広げて、より多くの方に『FFXIV』を目に触れてもらうようにもしています。レベルファイブさんと協力して『妖怪ウォッチ』のコラボイベントが開催されたことで、ふだん『FFXIV』が掲載されないような媒体への露出も増えました。

──あのコラボイベントは、世界観の面も含めてチャレンジングな取り組みのようにも思えます。

吉田 日野さん(日野晃博氏。株式会社レベルファイブ 代表取締役社長/CEO)と僕というガチのゲーマーどうしが企画したものなので、「やるのであれば本気でやろう」と話しでスタートしました。一般的なコラボでは、たいてい、お互いのユーザーや利益の交換にとどまるのでコストもそれなり程度です。今回は日野さんと僕、ふたりの『FFXIV』コアプレイヤーでコラボする、ということもあって、ふつうの会社間ではありえないコラボイベントになりました。プレイヤーのみなさんもすごい勢いで武器を集めておられるので、よかったのではないかなと。ちなみに僕は出張が多く、今ようやく7本目の武器まで完成したところです(苦笑)。

──今後も話題性のあるコラボイベントを続けていく予定ですか?

吉田 やるからには本気で挑まないと面白くないので、あまり表面的なものは考えていません。機会があったり、相手さんがいれば、またガチの企画を打ち出したいなと。

──たとえば『FFXIII』や『FFXV』とのあいだで、何かコラボのようなお話は持ち上がっているのでしょうか?

吉田 『FFXV』のディレクターである田畑さんと僕は仲がいいので「何かやろうね」という話はしています。ただ、僕としてはやるのであれば、『FFXV』発売後がよいと考えています。

──どういうことでしょう?

吉田 『FFXV』が発売され、その物語やキャラクターを理解している人たちがすでにいることを前提として、『FFXIV』に登場させたほうが、絶対におもしろくなるからです。

──なるほど。

吉田 『FFXV』は未発売のタイトルなので、当然ですがバックグラウンドを十分に把握しているプレイヤーは存在しません。しっかりとリリースを迎えて、『FFXV』の世界やキャラクターが好きになった人たちが十分に増えるまで、コラボ企画の実施は待つべきだと思っています。売り上げだけを考えるならば発売に合わせて行ったほうがいいのかもしれませんが、ナンバリングどうしのコラボはそうじゃないほうがいい。お互いのキャラクターや世界観が融合するためには、プレイヤーのみなさんがそれを知っている必要があります。『ライトニングリターンズ』の際は、既に『FFXIII』や『XIII-2』が発売されており、世界中がライトニングを知っていました。そのため、『XIII-2』から『ライトニングリターンズ』へ続く、サーガの一部として、ライトニングがエオルゼアを訪れる、という内容にしてあります。そういったかたちにしていくためにも、「発売して落ち着いたら凝った企画をやろうよ」と(田畑氏と)話しています。どうせやるなら、ノクティスたちに来てもらいたいでしすね(笑)。

──それでは最後に全世界のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

吉田 今年の8月27日で新生版『FFXIV』は丸3年を迎えます。『旧FFXIV』の正式サービス開始が2010年9月30日なので、そこから数えると6年になります。累計5年目に到達した昨年は感慨のようなものがあったのですが、今年はまた通過点に戻るというのが僕の中での気持ちです。ここまで続けてこられたのは、『旧FFXIV』時代から遊んでくれている方をはじめとするすべてのプレイヤーが支えてくれたおかげです。事業面で見ても『FFXIV』はスクウェア・エニックスの柱にまで成長したタイトルなので、僕らが利益を上げるだけではなく、パッチや拡張パッケージの開発費用はもちろんのこと、ファンフェスティバルやgamescomなどのイベントを通じて、そうした部分をみなさんに還元していきたいと思います。今後また大きな発表をすると思うので、それを楽しみに待ってもらえるよう、日々のアップデートもしっかり行っていきます。これからもぜひ、長くおつきあいいただき、応援していただけるとうれしく思います。

──大きな発表が行われる日を、首を長くしてお待ちしています!

最終更新:8/26(金) 0:10

ファミ通.com