ここから本文です

減速する世界経済でアジアが存在感 BRICsは二極化

ZUU online 8月26日(金)19時10分配信

相次ぐテロやBrexit、米国の利上げ観測など、先の見えない状況に閉塞感すら漂いつつある世界経済。そんな中、堅調な成長を見せるのが中国やインド、ASEAN諸国である。

■世界経済の失速?原因はやはりBrexit

国際通貨基金(IMF)は、7月19日に発表した最新の世界経済見通しで、先進国(G7)の成長見通しを下方修正した。Brexitの影響で世界経済や政治、制度面で不透明感が高まるとして、2016年を4月時点予想の1.9%から1.8%に、17年を同2.0%から1.8%に引き下げた。17年も低成長が続く予想だ。

一方で、新興国については見通しを据え置いている。16年が4.1%、17年が4.6%を見込んでいる。新興国が牽引することで、世界経済全体は16年、17年ともに0.1%下方修正されたが、それぞれ3.1%、17年には3.4%成長を見込んでいる。

新興国も、Brexitの影響がないという訳ではない。IMFは、Brexitがなければ、ブラジルとロシアの好調さから、新興国の成長率は上方修正する可能性を示していたとコメントしている。ただ、好調が持続する新興国も徐々に方向感がなくなってきている。

■新興国も明暗が分かれる 影を落とす資源価格の下落

たとえば、一時期世界景気を牽引すると言われたBRICsも、明暗がくっきり分かれている。好調が持続している中国とインドに対し、ブラジルとロシアはマイナス成長に沈んでいる。同じ新興国でも資源国と非資源国で、二極化が進んでいるのだ。

中国は、16年が6.9%、17年が6.6%とスローダウンしているものの、中国政府が全国人民代表大会(全人代)で掲げた、6.5%の成長目標は上回る見通しだ。インドも、16年7.6%、17年7.4%と高成長が持続する。

ASEAN5カ国の伸びも16年4.8%、17年4.8%を見込んでいるため、アジア全体としては16年6.6%、17年6.4%の高成長が続く。外需依存度が高く、世界景気の停滞とともに伸び悩んではいるものの、拡大する内需を背景に世界景気においては、まだまだ一人勝ちの様相だ。

リオオリンピックを無事に終えたブラジルだが、期待に反して世界景気の足を引っ張っている。16年の成長は▲3.8%、17年は▲3.3%とマイナス成長が続く。ロシアも16年は▲3.7%、17年は▲1.2%とやはりマイナス成長だ。ともに資源国であるため、原油や資源価格の下落が直撃している。

ただ足元では原油や資源が反騰しており、両国の経済成長のモメンタムは上向きになってきた。IMFは今回の7月見直しでは、ブラジルの16年・17年の成長率を0.5%ずつ上方修正している。ロシアに関しても、16年を0.6%、17年を0.2%上方修正した。

株式市場は経済モメンタムを重視したようで、16年のブラジルのボベスパ指数は年初来33%の上昇、ロシアRTS指数は同28%の上昇(8月25日現在)と、世界の株式市場でもトップクラスのパフォーマンスになっている。

■先進国ひっぱるのはやはり米国

米国については、1-3月期の成長が予想を下回ったことや、米ドル高の影響などから、16年の成長率を2.2%に0.2%下方修正。ただし、2017年の成長率は2.5%の見方を継続し、引き続き先進国の成長を牽引するとした。

ユーロ圏については、1-3月期が内需主導で力強い成長となったことから、16年は1.6%に0.1%上方修正。しかし、17年の成長率は、英国のEU離脱に関する不透明感の強まりが、企業景況感や消費者心理に影響を与えるとして、1.4%に0.2%下方修正した。

日本については、円高の進行が悪影響を与えるとして、16年の成長率を4月時点の予想の0.5%から0.3%に下方修正。ただ、17年については消費税率引き上げの延期を背景に、4月予想の▲0.1%のマイナス予想からプラスの0.1%に上方修正した。

IMFは、ユーロを脱退する英国の成長を16年1.7%増、17年1.3%増と見込んでいる。ユーロ圏も上記の通り、1.6%、1.4%の予想。日本の低成長はBrexit懸念で揺れる欧州よりも低く、G7の中で群を抜いている。 景気下振れの環境下でさらなるリスクを見ておこう。

■日本はユーロ圏以下の低成長、新興国に次ぐ財政赤字

世界経済にとって、拡大する財政赤字が最大の課題だ。IMFの予想する、2016年の主要国の財政黒字/赤字予想と2016年の予想GDPの対比では、最大はサウジアラビアでマイナス▲13.5%になっている。次いでブラジルが▲8.7%、インドが▲7.0%、アルゼンチン▲6.4%となり、日本は5位で▲4.9%だ。

米国は▲3.8%の見込みで、財政破綻が懸念される欧州は、比較的GDP比では高くなく、フランス▲3.4%、英国▲3.2%、イタリア▲2.7%、ドイツ+0.1%となっている。

さらに、IMFでは英国のEU離脱に関する交渉が順調に進まない場合、世界経済の下振れリスクとなるとしている。また、欧州の銀行システムの安定性に関するリスクや、先進国・地域内での政治的分裂といったリスクもあげている。

全体的に低調な世界経済だが、中国とインドを筆頭にASEAN諸国が牽引していく形になりそうだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:8月26日(金)19時10分

ZUU online