ここから本文です

人生の一冊 希望ともす いわき回廊美術館 「図書館」年内誕生

福島民報 8月26日(金)9時34分配信

 福島県いわき市のいわき回廊美術館内に年内にも、読み手の人生や考え方を変え、心に刻まれた本だけを集めた「人生の一冊図書館」が誕生する。美術館を運営する「いわき万本桜プロジェクト」とノンフィクション作家川内有緒(ありお)さん(43)=東京都=が準備を進めている。深い感銘を与えた書籍の紹介を通じて、来館者に生きる勇気や古里復興への希望を得てもらう。
 川内さんのツイッターや口コミで全国から本を募る。本にまつわるエピソードや出会った経緯、自分にとってどのような意味を持つのかなどを紹介する文章とともに展示する予定だ。
 すでに絵本、詩集、物語など約20冊が集まっている。「初めてのお小遣いで買った思い出の詩集です」「人生で一歩を踏み出す勇気を与えてくれる一冊。私にとって永遠のベストセラー」。寄せた人の思いがにじむ。中には繰り返し読んで所々折れ曲がったり、汚れたりしているものもある。
 新田次郎文学賞を受賞し、ノンフィクションの分野で活躍している川内さんが被災地取材の一環で美術館を訪れ、プロジェクトの志賀忠重代表(66)と交流する中で図書館構想が浮上した。「その人にとって最も大事な一冊だけを集めて、それにまつわる物語を伝えればきっと生きる希望や復興に向かう元気を与えられるはず」。川内さんの夫でライターの川内イオさん(37)も加わってアイデアを練った。
 美術館は市内平中神谷のなだらかな丘陵に回廊形式で広がっている。本は施設内に置いて、来館者が自由に手にできるようにする。屋外に面しているため保管箱に収める計画だ。訪れた人は豊かな自然の中で、本の世界に思いをはせる。将来的には貸し出しや本にまつわるイベント開催も検討する。
 有緒さんは「大切な本を通じて、人と人が出会える施設を目指す」、志賀さんは「行ってみたいと思ってもらえる場所にしたい」と夢を描いている。

福島民報社

最終更新:8月26日(金)11時7分

福島民報