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イ・ジョンヒョン(from CNBLUE) 多彩な歌声で魅了した、真心の伝わるソロ・ツアー/レポート

エキサイトミュージック 8月26日(金)18時15分配信

 
■イ・ジョンヒョン/【1st Solo Concert in Japan~Welcome to SPARKLING NIGHT~】
2016.08.18(THU) at 東京国際フォーラム ホールA
(※画像4点)

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「僕をこんな強い人間にしてくれたのは、ファンの皆さん」

CNBLUEのギター&ヴォーカル、イ・ジョンヒョンが初のソロ・ツアー『イ・ジョンヒョン(from CNBLUE) 1st Solo Concert in Japan~Welcome to SPARKLING NIGHT~』を開催、8月18日(木)に東京国際フォーラムにてファイナルを迎えた。

ステージは赤いドレープのカーテンで縁取られ、その奥には同じく赤いカーペットの敷かれた階段が見える、ゴージャスなセット。開演予定時刻の18時30分が近づくと、急かすように手拍子が自然発生。バンド・メンバーがスタンバイした後、満天の星空のようなライティングの下、ジョンヒョンが階段を下りてきた。

黒スーツのインには白いシャツ、ノーネクタイの襟元はラフにはだけているものの、実にエレガント。CNBLUEのライブで見せるロック然とした佇まいとは180度異なっている。ピンスポットを浴びながらスタンドマイクの前に立つと、伸びやかなフェイクからアルバム収録曲「Moonlight Swing」を、目を閉じたままジャジーに、大人っぽく歌い始めた。スウィングする小気味よいリズムが加わりテンポアップすると、ダンサー2人を従えてハンド・マイクに切り替え、体を揺らしながら軽やかに歌唱する。ギターを持たず歌に集中する、“シンガー”ジョンヒョンの世界が繰り広げられていく。

続いてCNBLUEで自身が作詞作曲した「These days」「Lucid dream」の2曲を披露。前者はハスキーな歌声でやるせなく、後者は打って変わって明るく、ファルセットを巧みに盛り込んで、いずれも表現力豊かな歌唱力を存分に発揮した。

3曲を歌い終えて少しホッとしたような笑顔を見せると、「今日で最後です。切ないな」とツアーが終わることを惜しみつつ、「最後なので、ガッと盛り上がっていきたいですね。皆さんの意気込みを見せてください!」と呼び掛け、再びソロ・アルバムの楽曲群へ。ナイトクラブのような官能的なムード漂う「Call me」では、間奏のベース・フレーズに乗せ自らダンスする見せ場も。続く「Hate you」ではステージを歩きながら、ジャズ・ピアノに乗せ少し気怠く歌い、いつにないムードで魅了した。

R&B調の「I just need a..」は、まずはアカぺラで“ラララ”と歌い始めると、マイクを客席に向けシンガロングを求めていく。練習の後、「本番はもっとデカい声で!」と“注文”すると、その声を合図にバンドの演奏が始まり、観客は大きな声で曲に参加。会場の一体感はグイグイと高まっていく。とはいえ、ただ賑やかなムードで盛り上がるだけでなく、ジョンヒョンは歌に込められた複雑な心情を声色でしっかりと表現しており、思わず聴き入ってしまった。水の中を泳ぐかのように気持ち良さげに揺れながらステージを自由に動き廻り、伸び伸びとした美声を響かせると、大喝采を浴びた。

「ありがとう。今日はなんか声がデカくて、皆さんいい感じ。あんまり俺が怒らなくてもできそう(笑)」と観客の歌声を称えるが、SNS等で「“私、ジョンヒョンが怒るのも好き”って(書き込まれているのを見て)、ダメですよ!(笑)」と釘を刺す。

また、「こんなにたくさん来てくれると思わなくて、ちょっと感動しました」とも語り、「皆さんに元気をもらって、まだまだ行けるなって」と自信を得られた様子。「(最終日という)すごい日なので、皆さんにもすごい思い出をつくってあげたいし、僕もそうだし。素敵な夜をつくりたいので、デカい声で!」と再び強く求めると、CNBLUEの「Blind Love」へ。通常はジョン・ヨンファ(Vo,Gt)がヴォーカルを執るパートでは観客にマイクを向け、まるでファンとデュエットするかのように歌い繋いでいく。サビ直前には「行きますよ?」と声を掛け、明るく客席が照らされる中、全員でサビを大合唱。最後は手をウェーブさせるようにジョンヒョン自らが振ると、観客もそれに倣う。会場は幸福な一体感で満たされていて、「最高!」と後奏に乗せて彼が叫んだのも自然なこと、と頷けた。

ピアノとフェイクで幕開けた「Smile」は、明るく優しいメロディーを多彩な声色で細やかに表現。スタンドからマイクをパッと外し取るアクションも鮮やかで目を引く。アコースティック・ギターで弾き語るCNBLUEの「IRONY」は何度聴いても名曲。ジョンヒョンの内面世界を思わせる、哀切を帯びた独唱に深く引き込まれた。一瞬の間を置いた後、コードを一弾きして曲を終えると、大きな深い拍手が沸き起こった。

ヨーロッパの街並みや温泉、ゲレンデ、釣りに興じる姿など、「JONG HYUN'S SHORT TRIPMEMORIES OF JONGHYUN'S SHORT TRIP」と名付けられたオフショット・スライドショーが上映された後、ライブ後半の幕開け。ジャケットを脱ぎ白シャツ姿となったジョンヒョンが再び階段を降りてステージ中央へと戻って来た。

1曲目はパーカッションとフルートの音色が愉快な「Pina Colada」。楽し気に腕を上下させ、音楽に身を任せながら歌い踊る姿を観ていると、南米の風がステージにスッと吹いたかのように感じられた。続く「Foxy」(CNBLUE)ではコール&レスポンスを盛り込みながら、ジャンプを交えて歌い踊る。「あ~、気持ちいい!」と後奏に乗せて想いを漏らすジョンヒョンが、輝くばかりの笑顔を浮かべていたのも印象深かった。続いて、大きく両腕を前後に動かし、交差させては開きながらゆったりとしたグルーヴ感を全身で示したのは、「Show Me More」。声そのものが生き生きとしていて、歌には躍動感が漲っていた。

次なる曲に向けたピアノ伴奏がゆったりと奏でられる中、今ハマッているという“ポケモンGO”について滔々(とうとう)と語り始めるジョンヒョン。現在レベルが23であること、前日にライブを終えた後、深夜2時に都内公園へスタッフと共にポケモンを捕まえに行ったことなどを明かし、「ずっと家にいてばかりだった僕を、こうやって外で(ポケモンを捕まえるため)走っちゃうような人にしたポケモンGOに感謝しますね」と語って笑わせた。

次に、「中学生の時から好きで、カラオケで10,000回ぐらい歌った曲で、皆さんに(向けて)歌いたかった曲」と紹介したのは、「I LOVE YOU」。ソロ・アルバムに収録されている、尾崎豊の名バラードの韓国語カバーである。目を閉じて歌の世界に深く入り込み、一言一言丁寧に発声するジョンヒョン。曲が進むにつれ表現のエモーショナルさが増していき、観客はその昂ぶりを固唾をのんで見守り、じっと佇んでいる。何の装飾も必要なく、歌の力だけでその世界を成立させてしまうジョンヒョンの実力をまざまざと思い知らされる1曲だった。

マイクを握り締め目を閉じて歌い終えると、ステージは真っ暗になり静寂に包まれた。そこへ、ジョンヒョンが奏でるエレキ・ギターが鳴り始め、「Nothing」がスタート。今度はブルージーなメロディーを歌い奏で、先ほどまでとは全く異なる世界を立ち上げてみせた。

いよいよ終盤に差し掛かり、ジョンヒョンは「一人でライブできるのはすごいことだな、と思って」と、ソロ・ライブの開催について、改めて感慨深げに語った。CNBLUEで何度もライブを経験し、最初はあった“舞台に上がることへの恐怖”が今はなくなった、とも。「誰も見ていないライブもやって、(CNBLUEの始動から)8年も……時間もそうだけど、すごいことだなって。CNBLUEのお陰でこうやって皆さんに会えて、本当にありがたいな、と思いました」「(ステージで緊張しない)こんな強い人間に僕をしてくれたのは、皆さんだな、と。感謝しています」と述べ、「これからもいい曲つくるので、応援してください!」と語り掛けた。

続いて、ファンから寄せられたリクエスト多数によりセットリストに組み込んだという「Kimio」を披露。CNBLUEの初期曲で、「この曲をやったら初心になれる」のだという。ジョンヒョンは観客に隣同士で手を繋ぐようリクエストしつつ、“デカい声“でのシンガロングを求め、会場全体を一つの塊にしようと熱くなっていた。笑顔で伸びやかな美声を響かせて歌い始めるが、曲間のブレイクで更に観客を煽り、「(声が)足りなかったら、家に帰りません!」と言い張る。2階席の観客を「声、遠いんですよ!」としきりにイジり、それに対する「え~っ!?」という不服そうな声を聴いて、「“え~っ!?“の声はデカいんですよ!」と冗談めかす。そんな笑い満載のやり取りで会場を掻き雑ぜ、沸き立たせた勢いのままに、「voice」(CNBLUE)へ。ジャンプしたりターンしたり、グラマラスなこのロック・ナンバーを全身全霊で歌い、溢れる熱を観客に伝え、本編を終えた。

すぐにアンコールを求める声が起き、やがて「イ・ジョンヒョン!」コールへと移り変わった後、黒いTシャツに着替えたジョンヒョンが再登場。バンド紹介(メンバー一人ひとりの素顔を一言で紹介する、ジョンヒョンの巧みな話術に驚愕した)の後、元々はアルバムのリード曲候補だったという「SHINE DROP」を披露。虹色に輝くライトの下、生き生きと朗らかに歌唱した。

「何年か前の新潟(公演)で、流れ星を見てパーッとメロディーが思い浮かんでつくった曲」と次曲を紹介。「今見ても歌詞がいいんですよ!」と自画自賛して笑わせると、「じゃあ、素敵な夜をつくってみましょうか?」と誘い、「STARLIT NIGHT」(CNBLUE)を情感たっぷりに歌った。また、ジョンヒョンへのサプライズとして、事前に配布されたプラカード(“永遠に一緒”という意味のハングルが記載)をファンが一斉に掲げた場面は壮観だった。

最後、語尾の1音をオクターブ上げて美しいフェイクを聴かせ、ジョンヒョンは「本当に最高の夜でした、ありがとうございます!」と叫んだが、またしてもアンコールを求める声と手拍子が発生。一人でステージに残り、まずはアカペラで、やがてアコースティック・ギターを肩に掛け椅子に座って「a.ri.ga.tou」(CNBLUE)を弾き語った。タイトル通り、感謝の気持ちで埋め尽くされた曲をジョンヒョンは心のこもった歌声で届け、ファンも声を合わせ、手拍子を重ねて気持ちを寄り添わせていく。

「近いうちにまたCNBLUEで戻って来ますんで!」(ジョンヒョン)とうれしいアナウンスをしてもなお、未だ満足しない観客は、なんと三度のアンコールを求めた。「何の曲聴きたい? もう曲ないんですよ、全部歌っちゃって(笑)」とざっくばらんに問い掛けたジョンヒョンは、「最後だから」とバンド・メンバーを再び招き入れ、「1曲だけお願いしていいですか?」と礼儀正しく依頼、「Blind Love」を披露した。どんなに離れてもいつでも愛してる、と誓う歌詞は、ライブの最後に贈るにはふさわしい曲なのかもしれない。後奏に乗せて「ありがとうございました!」と感謝を述べ、自身初のソロ・ツアーは成功裏に終了。

CNBLUEのロック・バンド形態とはまた違ったジャジーなバンド・アレンジの巧みさ、ジョンヒョンの歌声の多彩さ、表現の豊かさ、そして何より真心が伝わってくる率直で密な観客とのコミュニケーション……充実した2時間30分のショウだった。インタビュー取材中にも肌身離さないほどギター愛が強いジョンヒョンが、ほとんどの曲でギターを弾かず、ヴォーカリストに徹していたこともまた、興味深かった。この大きな経験をCNBLUEに持ち帰り、今後にどう反映していくのか? 次なる一歩に触れるのが楽しみである。
(取材・文/大前多恵)

最終更新:9月10日(土)10時45分

エキサイトミュージック

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。