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どこまでスマートになった? ソニーとパナの4Kテレビをガチ比較

ITmedia LifeStyle 8月26日(金)20時41分配信

 本連載のテーマは、人と家庭向けエレクトロニクス機器とのスマートな関係について実践を交えながら考察することである。今回は“家電の王様”として長くお茶の間に君臨している「テレビ」が、今どれぐらいスマートな家電に進化を遂げているのか検証してみたい。

リモコンからの操作では煩わしく感じられる文字入力もスマホと連携すれば簡単

●デザイン・画質・操作性。ますますスマートになるテレビ

 2011年の夏に地上波のテレビ放送がアナログからデジタルへ完全に切り替わり、テレビの大型化・薄型化も一段落した。リビングルームに省スペース設置ができる、サイズ的にスマートなテレビが普及して、続く2012年以降はフルHDを超える「4K」へ画質が進化。映像のスマート化が進んでいる。

 そして、2015年の幕開けとともに米国ラスベガスで開催されたエレクトロニクスショー「International CES」では、テレビのユーザーインタフェースのスマート化が加速し、その後もテレビとインターネットの結び付きがますます強くなる。テレビのための“スマートOS”や“モダンOS”といったキーワードが脚光を浴び、Googleがテレビのために開発したプラットフォームAndroid TVを搭載するテレビをソニーが発表。各社がこれに続くかたちで「テレビのOS戦争」の火ぶたが切られた。同年の秋には海外の大手ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスである「NETFLIX」が上陸。先行する「ひかりTV」の4K対応VODに続いて、海外のサービスも4K VODコンテンツの配信に力を入れるようになり、4Kテレビが本領を発揮できる土台が整った。

 現在、インターネットを活用した動画配信などさまざまなオンライン対応のサービスが利用できるテレビが“スマートテレビ”、あるいは“スマートOSテレビ”のように呼ばれている。日本国内の大手テレビメーカーがそれぞれに力のこもったスマートテレビを発売しているが、中でもソニーは液晶テレビ“ブBRAVIA”(ブラビア)の上位シリーズにAndroid TVを組み込んだラインアップを強化。パナソニックもMozillaが開発する「Firefox OS」を“VIERA”(ビエラ)の4Kテレビに採用している。テレビがインターネットにつながるだけでなく、最新のOSプラットフォームを組み込むことでどれぐらいスマートになるのか、ソニーとパナソニックから最新モデルのテレビを借りて試した。

●ソニーとパナソニックの最新スマートテレビをテスト

 ソニーの「X9350D」シリーズは4Kディスプレイと、ハイレゾ対応のサイドスピーカーを一体にしたプレミアムクラスのテレビだ。本機のほかにもブラビアには、フルHDのハイスペックモデル「W870C」にまで幅広くAndroid TVを搭載するラインアップがある。

 Android TVのユーザーインタフェースは、見た目や操作感がAndroidスマホやタブレットのそれと比べて、テレビに最適化した姿ではありながらもかなりフィーリングに共通点がみられる。普段からAndroidスマホをメインに使っている方であればスムーズに馴染めるだろうし、本体設定まわりなどもスマートになった実感が得られると思う。

 パナソニックからもパネルの両サイドにハイレゾ対応のスピーカーを合体させたプレミアム4Kモデル「DX850」シリーズをお借りした。同社もフラグシップの「DX9850」シリーズから、シンプル4Kモデルの「DX600」シリーズまでFirefox OS搭載のテレビをワイドにそろえている。

 Firefox OSは一般には聴き馴染みのないプラットフォームかもしれない。PC用ブラウザのFirefoxを開発する米Mozillaがモバイル向けOSとして発表し、これをテレビ向けに発展させたものをビエラが採用している。過去には搭載するスマホも商品化され、日本ではKDDIが2014年末に「Fx0」という端末を発売したが、国内ではこれが唯一の端末になってしまった。というのも、プラットフォームの開発元であるMozillaが、今年のはじめにモバイル端末向けFirefox OSの開発終了を宣言したからだ。

 パナソニックはFirefox OSを搭載するテレビを世界で初めて発売したメーカーだ。同社としてはFirefox OSが特徴としてうたう「ソースのオープン性」を生かしながら、柔軟で使いやすいプラットフォームを開発できるメリットを買ってFirefox OSの可能性にかけたわけだが、一方でモバイルやオートモーティブなどエレクトロニクスの各分野にFirefox OSが広がっていくことにも期待を寄せていなかったわけではないと思う。Andorid OSがモバイルやテレビ、PCやオートモーティブとシームレスにつながるプラットフォームであることを大きな優位性としつつあるが、かたやFirefox OSは今後もパートナーが広がらないことには、ハード機器だけでなく例えばスピード感のあるテレビ専用アプリの開発も難しくなるかもしれない。

●映像・音楽にマルチな楽しみ方ができる

 ブラビア、ビエラともに、付属するリモコンの「ホーム」ボタンを押すと、Android TV、Firefox OSをベースにしたホーム画面が立ち上がる。テレビの放送、インターネット動画やゲームアプリなど多彩なエンターテインメントへの窓口となるコンテンツプラットフォームだ。どちらのテレビもNETFLIXやHulu、dTVなどのVODサービスやYouTube動画を視聴するためのアプリがプリインストールされており、マーケットから検索して新しいアプリも追加できる。

 ブラビアではGoogleの音楽配信サービス「Google Playミュージック」が利用できてうれしい。同サービスに登録しているユーザーであれば、外出先はスマホで、宅内ではテレビで聴き放題の定額制音楽配信サービスがスマートに楽しめる。とくにハイレゾ対応スピーカーと、さまざまな音源をハイレゾ相当の良い音にアップスケールする「DSEE HX」の効果は目覚ましく、X9350Dシリーズさえあれば、もうリビングに専用のオーディオシステムは要らないのではと感じるほど。テレビの電源を立ち上げてオーディオシステムを生かしたまま、画面だけを「消画」できる機能も便利だ。

 パナソニックのビエラDX850シリーズも、ハイレゾオーディオプレーヤー&サーバとしての機能を持つBlu-ray Discレコーダー“DIGA”(ディーガ)の「DMR-UBZ1」や「DMR-BRX7020」など上位機種とHDMIケーブルで接続してハイレゾ再生が楽しめたり、音源をUSBメモリーに入れて再生、ハイレゾ対応の内蔵スピーカーで快適に鳴らせる。さまざまな音源をハイレゾ相当の音質にアップスケールする「ハイレゾリマスター」に、テレビの画面を消画する機能も抜かりなく備える。

●スマートさが実感できる音声操作への対応

 アプリの充実ぶりはゲーム系を中心にAndroid TVを採用するブラビアの方がわずかにリードしているように見える。ただ、テレビはリビングの中心に置いて、家族と一緒に使うエレクトロニクス機器である。メールやSNS、オフィス文書などプライベートなコミュニケーションの内容をリビングのテレビでチェックする機会は現実的にはあまり多くないだろう。それならばVODサービス系やオンライン動画配信系のアプリがしっかりそろっていれば十分だし、その点ではブラビアもビエラも文句はない。

 スマホとの連携については、どちらのテレビもスマホの画面をミラーリングしたり、スマホ専用のリモコンアプリで快適な操作ができることを特徴にうたっている。テレビのリモコンでは打ちづらい検索ワードやパスワードの文字入力には便利だが、それ以上に何かが劇的にスマート化する手ごたえは特に感じられなかった。

 むしろ付属の物理リモコンからでも操作ができる音声入力が、スマートライフの訪れを実感させてくれるものだった。ブラビアでは音声で入力したキーワードから、録画番組やYouTubeなどさまざまなアプリを対象に横串を刺して、テレビが自動でコンテンツを見つけてくれる。

 気になるキーワードを登録しておける「番組チェック」のユーザーインタフェースも、ソニーがGoogleとともにAndroid TVをベースに作り込んだもので動作もスムーズ。面白そうな番組がサクサクと見つかる。パナソニックのビエラも、音声入力への応答は素速く、認識も正確だ。リモコンで操作した方が速いような操作と、音声入力もマスターしてハイブリッドで使いこなせるようになれば、従来のテレビとは違うスマートさが十分に実感できると思う。

●次の焦点は人工知能の搭載

 検索操作と音声認識の技術はとても相性が良いことは分かった。ではもし、ユーザーに対して声で話しかけてくるテレビがあればより生活はスマートになるのだろうか。ユーザーがテレビを視聴・録画した履歴をビッグデータとして集めておき、次の番組視聴・録画のレコメンド機能として活用するというサービスは既に実用化されていて、ソニー、パナソニックはともに最新のBDレコーダーにこれを実装している。

 また、シャープはさらに一歩踏み込んで、液晶テレビ“AQUOS”(アクオス)と連携する「AQUOSココロビジョンプレーヤー」に人工知能を組み込み、ユーザーの好みを学習しながら音声でおすすめ番組を知らせてくれる機能まで実現した。テレビに話しかけられたりしたら落ち着いて見ていられないのではと思ってしまうが、ユーザーの行動パターンまでしっかりとフォローしながら、テレビ周りのエンターテインメントを楽しむ際に賢くサポートしてくれたら便利に感じられるかもしれない。全ては人工知能による学習能力の出来映えによってくるだろう。

 ソニーは今年の5月に米国のスタートアップであるコジタイと、人工知能に関する技術を共同で研究開発することを発表し、兼ねてからソニーが自社で開発してきた人工知能やロボットに関連する取り組みをさらに注力していくことを明らかにした。この取り組みが将来は、かつてソニーが手がけていた「AIBO」や「QRIO」のようなストレートなロボットの開発に生かされるのだろうか。あるいはスマートテレビにも広がっていくような期待を筆者は勝手に抱いている。

●これからのテレビはスマートホームの中核を担う家電になる

 最後に、インターネット接続機能を持つスマートテレビが、家庭の中にある他の家電機器とつながってどんなことができるようになるのか整理しておこう。BDレコーダーやNASと連携すればテレビ番組の録画や視聴が快適になるのは既に多くの方が知っているし、利用していると思う。これからのスマートテレビはさらに冷蔵庫や洗濯機などインターネットにつながる白物家電やセキュリティ機器とのつながりを深めていくかもしれない。

 ソニーのブラビアの場合、本連載でも紹介した同社の「マルチファンクションライト」と連動できるが、まだスマホを使って外出先からテレビの電源をオフできるぐらいのシンプルな内容だ。ソニーグループでは、ソニーモバイルがスマホやタブレットに冠してきた「Xperia」のシリーズ名をモバイルプロジェクターやロボットのような製品にまで広げながら、新しいスマート家電のジャンルを作り出そうとしている。

 パナソニックのビエラはセンサーカメラやドアホンとつなげば、ホームセキュリティ機器のモニター代わりになる。パナソニックはエアコンなど白物系のスマート家電も積極的に展開しているので、テレビも組み込んだスマートホームの未来図を具体的に描けるメーカーだ。同じく海外ではヨーロッパのフィリップスやボッシュ、韓国のサムスン、LGなどのメーカーがインターネットにつながるプレミアム家電機器を発売し、スマートホームの展開にも力を入れている。

 テレビはつい最近まで映像を楽しむための家電機器だったが、インターネットとの結び付きを強めながら今、マルチなコンテンツプラットフォームとして急速に変化を遂げている。やがて近い将来にはさまざまな家電、モバイル機器とつながってスマートホームの真ん中でコントロールセンターとしての大事な役割も担うことになるだろう。“スマートテレビ”は大きな変革の時を迎えている。

最終更新:8月26日(金)20時41分

ITmedia LifeStyle

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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