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原発事故の自主避難者 公営入居に条件設定 群馬県と6市町

上毛新聞 8月26日(金)6時0分配信

 東京電力福島第1原発事故の避難指示区域外から群馬県内に避難中の「自主避難者」を巡り、来春から公営住宅への入居条件を厳しく見直す方針の自治体が相次いでいることが25日、上毛新聞の調べで分かった。自主避難者を対象にした福島県による住宅の無償提供が来年3月末で打ち切りとなるため。少なくとも県と4市2町は来年4月から、通常通り所得制限を設けた上で連帯保証人の確保を条件とする。東日本大震災から5年余り。自主避難者の中には有償化への反発だけでなく、「見知らぬ土地に来たわれわれを見捨てないで」と入居条件の緩和継続を求める声も上がっている。

 被ばくを避けるために福島県から本県に自主的に避難している人には、災害救助法に基づいて公営、民営を問わずに国が家賃をほぼ負担する形で住宅が提供されている。公営住宅入居の場合は所得制限がなく、連帯保証人の確保や住民票の提出も求められていない。

 県危機管理室によると、県内で住宅の無償提供を受けている自主避難者(5月末時点)は100世帯267人。このうち県と6市2町などの公営住宅に38世帯112人が暮らしている。

 自主避難者の公営住宅の入居条件を来年4月から厳格化するとしているのは県と前橋、太田、渋川、藤岡、中之条、大泉など。特に連帯保証人については複数人の確保だったり、親族や県内在住者に限るケースが見られた。

 ただ、厳格化を考える自治体側も戸別訪問などで避難者の相談に乗り始めており、来春以降に避難先がなくなるという最悪の事態を招かないよう活動中だ。最終的には、人道上の観点から強引に退去を迫るようなことはないとみられる。

 一方、同じく公営住宅に自主避難者を受け入れている桐生、館林は入居条件を厳格化するか方針を決めていない。

 借り上げの民間住宅に住む62世帯155人を含めた自主避難者に対し、家賃補助といった独自の支援策を検討している自治体も確認できなかった。

生活再建 支援を強化 福島県

 放射線量の低減などを理由に自主避難者への住宅の無償提供を打ち切る福島県側もただ手をこまねいているわけではない。6月には県内の自主避難者を支援するために生活再建支援拠点を開設した。業務委託を受けた「ぐんま暮らし応援会」が高崎市棟高町に支援相談室を設け、社会福祉士や元県職員、保険業者ら5人の支援相談員が交代で相談に応じている。28日には前橋市内で初の交流会と説明会を開き、福島県職員らが福島の復興状況や支援策といった情報を提供するほか、住宅問題などに関して個別の相談に応じる。

 応援会関係者によると、大震災から5年以上が経過し、自主避難者の間では福島に戻るか、このまま本県にとどまるか迷っている人が少なくない。子どもが大きくなったり、物が増えて避難先が手狭になり悩んでいる人もいるという。

 子どもと共に高崎市内に自主避難している女性は「子どもたちのためにも避難を続ける権利を尊重してほしい」と経済的な支援を強く求める。

最終更新:8月26日(金)6時0分

上毛新聞