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<河川敷16歳殺人>万引命令も…抵抗できず 暴力嫌で返信拒んだか

埼玉新聞 8月26日(金)22時5分配信

 埼玉県東松山市下唐子の都幾川河川敷で遺体で発見された井上翼さん(16)。親しかった友人らは井上さんが逮捕された少年たちから「金を巻き上げられたり、万引をさせられていた」「たびたび殴られていた」と打ち明けた。井上さんは少年たちの顔色をうかがう様子もみられたことから、少年たちの誘いや暴力に抵抗できなかったとみられる。

 友人らによると、井上さんは少年たちと今年5月ごろに知り合い、今月17日には一緒に遊んだという。友人(16)は7月下旬ごろから、井上さんが「金を返さなきゃ」と繰り返しこぼし、「金を巻きあげられる」「万引をさせられる」と悩んでいた様子を覚えている。友人たちは「バイクのレンタル代として、翼の財布から1万7千円を抜き取られたこともあった」「万引を命令されて翼が渋ると、殴られていた」とし、「金や暴力の関係で(少年に)返信したくなかったんじゃないか」と話した。

 事件前の17日~20日、逮捕された少年たちと井上さんを交えて温泉などに行ったという別の友人(16)は、19日夜、井上さんの不機嫌な様子が気になった。同日午後11時ごろ、2人になったとき、井上さんが「帰りたい」とこぼしていたことが忘れられないという。「(少年たちから)すぐ殴られたり使い走りにされるのが嫌だったんだと思う。まさかこんなことになるなんて思いもしなかった」。友人は井上さんが少年たちの顔色をうかがっている様子を目にしており、「嫌だと言えなかったと思う」と声を落とした。

 井上さんは今月半ばごろからたびたび、現場近くのコンビニエンスストアに一人で買い出しに行ったり、逮捕されたとみられる少年たちと一緒に来店していた。女性店員(18)によると、19日午後9時ごろ、井上さんは携帯電話で指示を受けながら、大量のパンや飲み物を買っていたという。女性は「気さくな人だった。会計時に(井上さんの)手首に5~6カ所、たばこを押し付けられたような跡があり、いじめられてるのかなと思った」と振り返った。井上さんは22日午前2時半ごろにも立ち寄り、酒を買おうとしたため断ったという。

 「ご飯を食べさせてやりたい」。友人たちは26日も事件現場となった河川敷に足を運んだ。友人は「翼を助けたかった。でも優しいやつだったから、俺たちが巻き込まれなくてよかったと思っているのかな」と語り、「翼のこと、絶対に忘れられない。こんなこと許せない」と静かに話した。

最終更新:8月27日(土)0時0分

埼玉新聞