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【ブンデスリーガ開幕展望】バイエルン 圧倒的な戦力差、前人未到のリーグ5連覇に向けて視界良好

SOCCER KING 8/26(金) 16:30配信

 ジョゼップ・グアルディオラ前監督が去り、ミランやレアル・マドリードでチャンピオンズリーグ(CL)優勝を勝ち取った名将カルロ・アンチェロッティ監督が就任したバイエルン。昨シーズン、過去のブンデスリーガでどのクラブも成し遂げられなかった4連覇を決めた王者は、その地位を一層揺るぎないものにすべく、着々と準備を進めている。

■大物2選手を補強で国内は盤石

 この夏は、ドルトムントに戻っていったドイツ代表MFマリオ・ゲッツェをはじめ、モロッコ代表DFメディ・ベナティア(ユヴェントス)、デンマーク代表MFピエール・エミール・ホイビュルク(サウサンプトン)、元ドイツ代表DFザーダール・タスキ(スパルタク・モスクワ)、MFセバスティアン・ローデ(ドルトムント)ら5人が、完全移籍、もしくはレンタル移籍で放出された。しかし、いずれの選手もレギュラーポジションを確保していたとは言い切れず、彼らの移籍はアンチェロッティ監督にとっても、そこまで大きな痛手とはならないだろう。

 翻って新たに加わったのはドイツ代表DFマッツ・フンメルスとポルトガル代表MFレナト・サンチェス。他にはU-23バイエルンからニクラス・ドルシュとファビアン・ベンコーの2選手が加入し、計4名となった。アンチェロッティ監督はチーム始動を前に「既に十分な戦力が揃っている」と発言し、それ以上の補強を行う予定がないことを明かしているが、既存戦力のポテンシャルを発揮させることにおいては、世界でもトップクラスの指揮官である。欧州屈指の選手層を誇るバイエルンの現在の顔ぶれは、同監督の目にも頼もしく映っているのだろう。

 特に、今夏の移籍マーケットで大きな注目を浴びたフンメルスとR・サンチェスは、ドイツナンバー1クラブの即戦力として活躍が期待される。前者の加入は、バイエルン最終ラインの層が厚くなったことを意味するだけでなく、ライバルであるドルトムントの戦力ダウンにも一役買っている。さらに同選手はバイエルンの守護神GKマヌエル・ノイアーやDFジェローム・ボアテングとドイツ代表でも長らくともに戦っており、コンビネーションの構築といった、いわゆる新加入選手が抱える問題とも全くの無縁。近年のバイエルンにおいて最も費用対効果の高い補強である。またR・サンチェスも、底知れない潜在能力を持つポルトガルの逸材で、ユーロ2016では同国を優勝に導いただけでなく、最優秀若手選手賞も受賞するなど、脚光を浴びた。彼ら2選手の補強により、マイスターシャーレ(優勝皿)獲得への障壁は、より一層低くなったと断言できる。

■スタメンの人選は極めてオーソドックス

 ところで、アンチェロッティ監督といえば、ミランを指揮していた時代からほぼ一貫して4バックを用いることで知られており、実際にこのプレシーズンでも、最終ラインを4枚で固定して戦ってきた。また、“カメレオン”の愛称を持つ同監督は、対戦相手によって柔軟に戦術を変更することはあるものの、前任者のような、ある種“奇抜”とも言える選手の配置とは無縁である。そのため右SBには元ドイツ代表DFフィリップ・ラームもしくはブラジル人DFラフィーニャ、センターバック(CB)はドイツ代表DFジェローム・ボアテング、フンメルス、スペイン代表MFハビ・マルティネス、元ドイツ代表DFホルガー・バトシュトゥーバーの4人のうち2人、そして左サイドバック(SB)にはオーストリア代表DFダヴィド・アラバもしくはスペイン人DFフアン・ベルナトが起用される見込みであり、人選は極めてオーソドックスだ。つまり、グアルディオラ前監督の寵愛を受け、本職の中盤ではなくCBや右SBにコンバートされたドイツ代表MFジョシュア・キミッヒのような選手も、今後はそう出てこなくなるだろう。

 今のところ開幕戦の欠場が決定的なのは、ボアテング、バトシュトゥーバー、ブラジル代表MFドゥグラス・コスタ、フランス代表MFキングスレイ・コマン、オランダ代表MFアリエン・ロッベン、そしてサンチェスの6人。このうちコマンだけは、14日に行われたドイツ・スーパーカップに出場しているが、その他の負傷メンバーはテレビで戦況を見つめることしかできなかった。しかし、ピッチに立つ人数の半分近い選手を欠いておきながら、昨シーズンリーグ2位のドルトムントを相手に、アウェーで2-0の完勝を飾っている。今回の対戦では、ドルトムントがバイエルンの倍以上のシュートを放ち、コーナーキック本数、一対一の勝率、そしてボールポゼッションやパス成功率といった部分でもバイエルンが下回るという、近年では珍しい現象が起こった。しかしながら、序盤のピンチをことごとく防ぎ、きっちりと2ゴールを奪って無失点の完勝を飾るあたり、アンチェロッティ・バイエルンのほうが、トゥヘル・ドルトムントより1枚も2枚も上手だったと言わざるをえない。

■懸念されるCFの層の薄さ

 さて、全く隙のないように見えるバイエルンであるが、FWの層の薄さだけは若干気にかかる。昨季、ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキは、外国籍選手としては史上初めてとなるシーズン30得点を決め、また1976-77シーズンのディーター・ミュラー氏以来となる30ゴール以上をマーク。その能力に疑問の余地はなく、コンスタントに出場することができれば、今シーズンもさらなる金字塔を打ち立てる可能性も十分にある。しかし、バイエルンにおいて純粋なセンターフォワード(CF)と呼べる選手は、このレヴァンドフスキ以外におらず、ドイツ代表FWトーマス・ミュラーがここ数シーズン、同ポジションを経験しただけ。まだ各国代表選手がチームへ合流していない期間に行われたアメリカ遠征では、アメリカ代表FWジュリアン・グリーンが1トップを務め、インテル相手に3得点を決めるなど結果を残した。しかし、万が一レヴァンドフスキが負傷で欠場した場合、そしてその試合がCL準決勝など極めてインテンシティが高い試合だった場合、ミュラーとグリーンにレヴァンドフスキと同じCFとしての働き、そして得点力を期待することは不可能である。

 ただし、この不安箇所はあくまで、4シーズンぶりのCL制覇に視線を移した場合の話。ブンデスリーガにおいては依然として、他の追随を許さない圧倒的な戦力を保持しており、“南の星”と自らを形容するドイチャー・マイスター(ドイツ王者)に、敵らしい敵は見当たらない。前人未到のリーグ5連覇に向け、視界は極めて良好である。

文=鈴木智貴

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最終更新:8/26(金) 16:42

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