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マイナス金利が貸家増に拍車、節税対策も後押し-むしろデフレ要因に

Bloomberg 8月26日(金)6時0分配信

日本銀行の黒田東彦総裁は、マイナス金利の効果の一つとして住宅投資の増加を挙げているが、総裁自身も指摘しているように増加が目立っているのは「持家」より「貸家」だ。背景には相続税対策があり、空き家の増加を通じて肝心の物価にはむしろ押し下げ圧力になるとの指摘も出ている。

黒田総裁は6月16日の会見で、「住宅投資がかなり明確に伸びてきており、再び持ち直している」と指摘し、「貸家が非常に伸びており、持家はまだそれほど伸びていないようだ」との認識を示した。その上で、「マイナス金利政策の効果は、実体経済面にも徐々に波及してきており、今後、より明確になっていくのではないかと思っている」と述べた。

住宅着工統計の新設住宅戸数をみると、日銀がマイナス金利の導入を発表した1月から6月までの伸び率は、「貸家」が「持家」を上回っている。

新設住宅にはほかに、建て売りや分譲の目的で建築される「分譲住宅」があるが、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは1日付のリポートで、「分譲住宅は16年3月をピークにやや弱含んでいる」と分析。消費増税の再延期を受けて、デベロッパーやメーカーが「着工を急がない姿勢」を強めているとみている。

上昇する空室率

元日本銀行理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブフェローは7月19日のインタビューで、「貸家が増えているのは相続税対策であり、空き家をどんどん増やしていくことにつながる」と指摘。貸家の供給が増えれば「賃料が一段と下がり、CPIは一段と下がる」として物価にはむしろ押し下げ要因となるとの見方を示した。

2015年1月から相続税の非課税枠が縮小され課税対象となる人が増えたが、アパートを建てると相続税の対象となる土地・建物の評価額を大きく減らせるため、節税になる。総務省の住宅・土地統計調査によると、13年の全国の空き家数は820万戸、総住宅数(6063万戸)に占める比率(空き屋率)は13.5%と、いずれも過去最高となった。

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最終更新:8月26日(金)6時0分

Bloomberg