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『FFXV』の魅力的なキャラクターと世界はいかにして作られているのか そのワークフローに迫る【CEDEC 2016】

ファミ通.com 8月27日(土)9時1分配信

文・取材:編集部 ばしを、撮影:カメラマン 堀内剛

●『FFXIV』のキャラセットアップと物理シミュレーションに迫る
 2016年8月24日~26日の3日間、パシフィコ横浜で開催された、日本最大級のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2016”。最終日となる8月26日に、レギュラーセッション“FINAL FANTASY XV - CHARACTER&ENVIRONMENT WORKFLOW”が行われた。本稿では、その模様をお届けする。

 本講演は、『ファイナルファンタジーXV』(以下、『FFXV』)における“キャラクター・パート”、“キャラクターセットアップ・パート”、“エンバイロメント(背景)・パート”の、3項目の制作ワークフローに関する議題に関するもので、それぞれのパートを、スクウェア・エニックスの第二ビジネスディビジョンに所属する3名のアーティスト、佐々木啓光氏、黒坂一隆氏、村松瑞樹氏が説明するものとなっている。

●『FFXV』のキャラクターアセットのチャレンジと取り組み
 まずはじめに、リード3Dキャラクターアーティストの黒坂一隆氏より、“キャラクターパート”における講演が行われた。講演の内容は、“キャラクターアセット概要”、“FFXVにおけるキャラアセットのゴール/チャレンジ”、“アセットワークフローと、その効率化の為のツール紹介”の3つ。

 主人公・ノクティスのデータ概要として、ポリゴン数は10万トライアングル、マテリアル数は6~8個程度、テクスチャメモリは1体辺り、おおよそ20MB程度。視点によってポリゴン数を可変させるLOD(Level of Detail)に関しては、0~7段の8段階、ジョイント数は600本と、かなりの量を使用している。

 『FFXV』で使用しているシェーダーについては、物理ベースBRDFモデルという、かなりクラシカルな物理シェーディングを利用しているが、黒坂氏曰く、『ファイナルファンタジー』ナンバリング作品では初めて、物理ベースレンダリングとシェーダーを採用した事例であるとのこと。

 続いて解説が行われたのは、『FFXV』キャラクターアセットのゴールとチャレンジについて。スライドによると、リニアワークフロー、物理ベースレンダリング、シェーダーカスタマイズ、テクスチャトリーミング、汚れ表現など、多岐の項目に及んでいるが、最終的な目標としては“打倒 PreRender!”であるとのこと。スクウェア・エニックスの第二ビジネスディビジョンは、ゲームパートと、ハイエンドフルCG映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』のチームが共同で開発に携わっているところであるため、日々進化するPreRenderの技術を目の当たりにしているからこその目標であると、黒坂氏は語っていた。また、ハイエンドで培った技術ワークフローをチーム内で共有することで、グラフィックの品質向上に大きな貢献も果たされている。

 黒坂氏自身、キャラクターアーティストとしてプリレンダリングとリアルタイムレンダリングのどちらも作業をすることがあるそうだが、両者の長所短所を実感しており、今後もリアルタイムのキャラクターアセットのグラフィック向上を目指していくとのこと。

●セットアップセクションとなることで、どのような効果が得られるのか
 “Character Setup Part”では、セットアップアーティストの村松瑞樹氏がスピーカーとして登壇。『FFXV』におけるセットアップ事例の概要が語られた。村松氏が所属するセットアップセクションでは、従来まではキャラモデルセクションとモーションセクションのセットアップ作業をおもに取り扱っていたところ、本作においては、エンバイロメントセクションとエンジニアセクションも含めて、仕事の範囲を拡大化。セットアップセクションとして独立したのは、案件ベースで統括的に取捨選択する窓口としての役目を持つためとのこと。

●背景デザインの概要とチャレンジ、ワークフローを紹介
 本セッションの最後の議題は、“Environment Part”について。リードエンバイロメントアーティストの佐々木啓光氏がスピーカーを務め、『FFXV』のEnvironment Partのチャレンジとして、世界を作る、最先端リアルタイムグラフィック技術を網羅、開発環境の構築とゲームの同時開発に取り組んでいるとのこと。

 ここで、3月のイベントで公開した動画“FINAL FANTASY XV World of Wonder: Environment Footage”を紹介。これは、『FFXV』からゲーム要素を取り除いたときに見える世界そのものをフィーチャーした映像作品。夜になる、雨が降る、朝の湿った空気、表情を変える雲、そういった当たり前のことをひとつひとつ丁寧に磨くことで、『FFXV』の世界をリアルに感じてもらうだけでなく、魔法、チョコボ、召還獣といったファンタジックなものも、あたかも現実のものであるかのようにユーザーに楽しんでもらえるように設計がなされている。

 「この規模のゲームを製作しながら、同時に開発環境を作るのは非常に困難でした。ようやく形になった我々の開発環境は、『FFXV』開発スタッフからの過酷なフィードバックを受けて、最先端かつ超実践的なゲームエンジンとなっています」と、佐々木氏はエンバイロメントの取り組みについて語っていた。

 世界を作り、最先端グラフィック技術を可能な限り実装し、開発環境を構築。ベストを尽くした結果、さまざまな課題も浮き彫りになったが、アートとテクノロジーの融合が、スクウェア・エニックス ビジネスディビジョンのテーマにもなっているとのこと。現状に満足することなく、さらなるチャレンジを続けていくことを最後のあいさつにして、本セッションは終了となった。

最終更新:8月27日(土)9時1分

ファミ通.com