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60代の約3割「金融資産ゼロ」 広がる格差「上流老人」への近道は?

ZUU online 8月27日(土)11時40分配信

最近、「下流老人」という言葉をよく耳にするようになった。正規雇用と、契約社員など非正規雇用との収入や福利厚生の違いなど、差が大きく開いていることをいう。現役世代だけの話だと思っていたらそうではない。60歳以上も同じように格差が生まれているのだ。

今回は、60代における金融資産の保有実態や、現役世代も含めた老後の暮らしの意識などに触れ、現役世代から準備する老後の資金について考えてみたい。

■60代の3割が「金融資産ナシ」

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2015年)」によると、60代の約3割は預貯金を含め金融資産を全く持っていないことが分かる。また、60代が必要と考える、ひと月の生活費は29万円とのことだ。総務省「家計調査(2015年)」によれば、夫婦2人世帯の平均収入は約21万3000円であるので、支出分を収入では賄えない計算になる。

金融資産がゼロだと、最低限の暮らしも送れないということになる。いわゆる「貧困」と呼ばれる生活を送っているのだろう。

反面、金融資産を保有している世帯の中で、3000万円以上の金融資産を保有している世帯は約25%あり、平均値は2462万円、中央値は1500万円であることを考えると、持っている人は非常に多額の金融資産を持っているということになる。これが、60歳以上が格差社会と言われる理由だ。この事実は、現役世代に大きなメッセージを示している。老後資金の準備は少しでも早く、30代、40代から始めておく必要があるということだ。

■30代・40代の約90%は、老後の生活が心配

同調査によれば、30代・40代の90%が老後の生活に不安を感じていることが分かる。不安は感じているが暮らしに追われて、老後資金まで手がまわらないというのが現実だろう。しかし、そのまま日々を過ごしていては、いつまでたっても老後資金を確保することはできない。確定拠出年金、財形年金貯蓄など、税金の優遇を受けながら強制的に貯蓄できる制度を活用して意識的に始める必要がある。

■「下流老人」になる3つの理由

60歳以上で経済的に苦しくなった人はなぜそうなったのだろうか。それを知った上で現役世代は対策を講じる必要がある。

(1) 年金額を把握していない
親世代が、年金だけで裕福な老後を送っていたことを知っているので、老後資金を貯める必要がないと考えていたことも理由の一つとしてあげられる。自分は何歳からいくらの公的年金がもらえるのかは理解するべきだろう。日本年金機構の「年金ネット」に登録すれば、いつでもパソコン・スマホから将来の年金額を試算できる。まずは公的年金額の把握をすることが必要だ。

(2) 40代から住宅ローンを長期で借り入れていて返済に追われている
晩婚化に伴い、住宅の購入時期が遅くなっており、退職金を全て充てても住宅ローンが残るケースもある。他に金融資産がなければ、老後資金は年金のみに頼ることになる危険な状態に陥る。住宅ローンは退職までに完済できるような期間を設定し、その上で月々に返済可能な額の借り入れとすること。身の丈にあった住宅を購入することが重要である。

(3) 成人の子どもを扶養しなければならない
非正規雇用、引きこもり、ニートなど、30代・40代の低所得者が増えているために、60歳以上の人が、成人した子どもを扶養するケースが増えている。

公的な施策が整うことに期待したいが、子どもが一人立ちできる環境を整えることが、自身の老後の暮らしを守ることに繋がるのだということも肝に銘じておきたい。

■公的年金に頼るのは危険自助努力が大事

60代の約3割の人が金融資産ゼロにもかかわらず、貧しいながらも生活ができているのは、年金制度のおかげである。年金制度が壊れることは考えられないが、少子高齢化で年金額が年々下がっていることを考えると、将来の年金額は更に厳しくなっていくことが予想される。

生活保護があるから大丈夫という人も多い。しかし生活保護は、あくまでも自助努力をすることができない方のためのものだ。公的年金のみに頼るのではなく、現役世代から老後の暮らしについて考え、計画的に金融資産を積み立てることが求められている。前述したが、老後資金の積み立てには、節税効果があり、しかも途中解約のハードルが高い「確定拠出年金」「財形貯蓄年金」「個人年金保険」などが適しているだろう。

■「上流老人」への近道とは?

金融資産と言っても預貯金だけでなく、保険、債券、株式、投資信託、不動産などがあり、それぞれに商品数も数えきれないほどある。お金がかかったとしても、他人の力と時間を使い自分に活かすというのは、限られた人生を生きるためには必要な考え方だ。現役世代から効率的に「自分年金」を確保していくことが、上流老人になるための一番の近道だ。

小野みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー。企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。FP Cafe登録FP

最終更新:8月27日(土)13時34分

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