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タント、eKワゴン、N-BOX…なぜ軽自動車は売れなくなったのか?

ZUU online 8/27(土) 16:40配信

軽自動車の販売不振が長期化している。7月の販売台数は13万3800台で前年同月に比べて6.3%減少した。軽自動車販売の前年同月割れは、2015年1月から19カ月連続におよんでいる。新車販売の4割強を占める軽自動車であるが、販売減少が長期化しているのはなぜか。

■三菱自動車の「燃費偽装問題」の影響は?

最近の軽自動車の販売不振の理由として、三菱自動車の燃費偽装問題をイメージする人もいるかもしれない。

同社のeKワゴン、eKスペースに加え、供給先の日産が販売していたデイズ、デイズルークスの燃費数値を偽装していたことが発覚したことは記憶に新しい。

実際、三菱自動車では4月末に該当車種の1日当たりの販売台数が燃費偽装問題が発覚する前の半分となったことを発表。5月の販売台数は4月に比べて、三菱のeKシリーズが28.4%減、日産のデイズシリーズが32.5%減となった。

もっとも、冒頭で述べたように軽自動車の販売減少は2015年1月から始まっており、三菱自動車の燃費偽装問題が直接的な引き金となったわけではない。同社の偽装は軽自動車の販売減少に拍車をかけた側面はあるが、問題の本質はそこではないだろう。

■軽自動車税の引き上げも影響する?

軽自動車特有の理由の一つとして、2015年4月から始まった軽自動車税の引き上げが考えられる。具体的には、軽自動車の保有税が50%増の1万800円に引き上げられたことだ(※2015年3月販売分までは今後も7200円で据え置き)。

軽自動車の魅力の一つが税金の安さであったことは言うまでもない。それが50%増となると、消費者の負担も決して小さくはなくなる。

軽自動車のユーザーは、特に地方では生活の足として複数台所有する向きも少なくない。その中で実質賃金が上がらない人が多くいるとすれば、新車買い替えを控える動きが広がるのは自然なことである。

■軽自動車よりも小型車を買ったほうが良い?

2つ目の理由として、軽自動車の高額化が挙げられよう。ちなみに、7月の販売上位車種ベスト10のうち、4台が160万円以上、他の4台が150万円付近である。かつては100万円台前半で推移していた軽自動車も、100万円台半ばから後半に水準を切り上げている。

ダイハツのタント、ウェイク、ホンダ N-BOXなどは150万円を超えているほか、200万円近い軽自動車も登場している。ホンダのS660、ダイハツのコペンなどのオープン2シーターは約220万円だ。

円安や原材料価格の上昇、アベノミクスによるインフレ政策、燃費や安全対策向上など、さまざまな要素が複合的に作用して、軽自動車の高額化をもたらしたと考えられる。

軽自動車の高額化は、小型車や一部輸入車と競合することを意味する。

たとえば、車両本体価格だけで150万円となると、トヨタのパッソで一番安いモデル(約115万円)が新たな選択肢として浮上する。輸入車ではフォルクスワーゲンの up!(アップ)も最廉価は150万円台、メルセデス・ベンツのスマート フォーフォーなら210万円台である。

ひと頃に比べ、軽自動車の価格面での優位性が後退しているのは明白だ。

■販売不振はさらに長引く可能性が高い

ハイブリッド化や安全装備の充実などにより、高付加価値化をユーザーが求めている以上、軽自動車の高額化を解消するのは難しいだろう。

軽自動車の19カ月連続の前年同月割れは、リーマンショック時の14カ月を超えているが、現状のままではさらに長引く可能性が高い。

せめて、消費税が10%に引き上げられる前に、軽自動車の税制見直しをすべきではないだろうか。(モータージャーナリスト 高橋大介)

最終更新:8/27(土) 16:40

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