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<AV出演強要>香西咲さん引退後の夢「人生楽しみたい」「消せない過去として歩む」

弁護士ドットコム 8/27(土) 9:11配信

前事務所の「囲い込み」や「洗脳」によって、AVに出演させられたと「週刊文春」などで告白した現役女優の香西咲さん。AV出演をめぐる問題が大きくなるなかで、香西さんの発言は注目をあつめている。

現在、香西さんはその事務所から独立して、フリーランスとして、AV女優の活動をつづけている。弁護士ドットコムニュースのインタビュー記事の前半(『<AV出演強要>香西咲さん「今でもフラッシュバックに悩まされる」洗脳の過去を語る』(https://www.bengo4.com/internet/n_5044/)では、彼女がどのような「被害」にあったかを説明した。インタビュー後半にあたるこの記事では、今も活動をつづける理由や業界の現状について聞いた。

●AV以外の仕事を増やしていきたい

−−AV出演を強要されたという話は、ほかに聞いたことがありますか?

わたしは、前の事務所にいる間、ほかの女優とほとんど接点がありませんでした。ほかの女の子と会って話す機会はめったになったし、業界のことはほとんど何もしりません。だから、わたしの身の回りに起きたことしかわかりません。

−−どうして、ほかの女優と接点がなかったのか?

女の子同士が接点をもたないようなシステムになっていました。女優同士が連絡先を交換するのを禁止しているプロダクションもあります。たぶん、ギャラや待遇の違いが漏れるのをふせぐためだろうと思います。

前回でお話しした通り、前の事務所にいても枕営業させられたり雑貨店の話もおざなりになったりという「飼い殺し」状態がつづいたので、わたしは独立の道を選びました。ほかのプロダクションを選んでも、やめたいときにやめられないし、そもそも相性のいい事務所を探すことのほうが難しいと思ったからです。

−−独立して変わったことは?

フリーランスだと、日々の細かい雑務のほかに、ギャラ交渉なんかがとても大変です。だけど、自分で仕事をとることができるので、基本的には楽しいです。

AV女優は、デビュー作の売り上げがマックスです。そのあと、ゆっくりと落ちていくか、一気に落ちるかの違い。だから、それにしたがってギャラを下げるか、何かを解禁するかのどちらかを迫られます。独立していると、その2パターンを選ぶ以外に別の提案をすることもできることがわかりました。たとえば「こういうイベントを増やしていきたい」といった提案などです。

−−「文春」で告白してから圧力などはありますか?

直接はありません。ただ、仲が良かった業界関係者に食事に誘われて、「業界関係者を敵に回すと東京湾に沈められるかもよ」「どんな政財界の人間が動いてどんな利権が絡んでいるかわからないから、気をつけたほうがいいよ。人が一人消えたところでどうってことないんだから」といわれたことがあります。

弁護士からは「実はそういうのが一番たちが悪い」といわれました。「本気で受け止めたり、ビビったりしたら、相手の思う壺だから」と。このタイミングで連絡をとってくる人には警戒しています。

−−どうして今もAVに出演しつづけているのですか?

家族、友だち、仕事・・・洗脳のなかで、それまで持っていたものがほとんどなくなりました。だから、今のわたしからAVをとってしまったら、何も残りません。そう考えると、今すぐに投げ出すのは得策じゃないなと思ったんです。

また、このタイミングで、大阪梅田のお初天神商店街にオープンした「LOVE TOYS SHOP MAX」の6階女性専用フロアの監修の仕事もいただきました。AV女優でありながら、AV関連じゃない仕事にすすみたいというか…夢だった雑貨店開業に向けて、まだがんばりたいという気持ちが残っているんだと思います。今まで散々傷ついた心身を回復させながら、少しずつAV関連以外の仕事も増やしていきたいと考えています。

●「AV業界を否定するつもりはない」

−−大手プロダクションの摘発事件はどう思いましたか?

わたしの事務所は最悪でしたが、ほかの事務所がどうだったかわかりません。たとえば、わたしも「楽しそうにやっていたじゃないか」と叩かれていますが、そう見えているということなので、実際に中の人たちにしかわからないことが多いと思います。

−−業界については?

わたしは、AVや業界を否定するつもりはありません。否定しているのは、あくまでもAのような悪徳事務所です。独立したあとは、とりあえず、洗脳やAV出演で失ってしまったものを取り返すまで、食いつなぐ感覚でした。だけど、そのタイミングで幸いにも本当にいいAV作品をつくろうと情熱をかけている人たちと出会いました。

−−独立後のほうが自信作が?

情熱のある製作チームが撮った作品は違いますね。ワンシーン、ワンシーンのこだわりがすごい監督たちと一緒に仕事ができています。クオリティも高い作品になっていると思います。今のほうが、AVの面白みがわかった感じがしています。

−−やりがいはありますか?

前よりはありますよ。だけど、今後はAV以外にも見つけていくべきだと思っています。わたしもいい年齢なので、ほかのやりがいを見つけていきたいです。女の幸せも…。だけど、このままだと結婚できないなんじゃないかと考えています。

−−引退したら、どういうことをしたいですか?

本当に心身ともに疲弊しているので、3カ月くらいは休みたいですね。あと、もともとバイタリティが強いので、そのあと海外のワーキングホリデーに行くとか…人生を楽しもうと思ったら、そういうことにもトライしたいと思っています。

●「気軽に入ってくる女の子が多い」

−−AV女優になりたい人が増えているといわれているが、もしそういう相談をされたらどう答えますか?

まず1回は、絶対に止めますね。一生ものだから。一瞬で世界に拡散されてしまうものだから。アメリカみたいに法律で守られていて、ポルノスターもちゃんとした地位もあってだったら別ですが、今の日本だったらどうでしょうか・・・。

少なからず悪い人もいるので、そういうのを「見極められるの?」と問いたい。それでもやりたいんだったら、「自分の相性のいいプロダクションとマネージャーのいるところを徹底的に探しなさい」といいます。繰り返しますが、AVや業界を否定しているわけじゃないんですよ。むしろより良い業界になってほしいから、自分の恥を晒すようなことまで話して注意喚起しているんです。

−−最近のAVについてどう思いますか?

気軽に入ってきている女の子が多いと思います。わたしがデビューしたころと全然状況がちがって、今のほうが大変だと思います。競争がはげしくて、ギャラも安くなっているとききます。長くやっていける子が少ない。ギャラが安くなってまで、なんでそんなにAVに出たいのかなと思うこともあります。

あと、最近のAVって、すごくかわいい子が増えた反面、エロくなくなったんじゃないかと思います。あっけらかんとしている新人さんが多いというか。悪いとまではいいませんがちょっと、そこが気になります。時代なのかな…昔のAVのほうがエロいと思います。

−−インターネットに映像が残り続ける問題についてどう思いますか?

動画サイトに消してもらっても、勝手にアップロードされつづけています。ほとんど諦めています。それを踏まえたうえで、これからの人生を選択していくつもりです。もう消せない過去として。

今でも新しい「総集編」が勝手に出つづけています。わたしは50本くらいしか撮っていないはずなのに、出演作は300本になっています。だけど、2次使用、3次使用に関しては1円も入ってきません。現実的に芸能とは違うことを改めて思い知らされました。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:8/27(土) 9:11

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